ダスティ・ローデスのプロフィール

詳し過ぎるプロフィールは退屈になる可能性(危険性)があるので、簡単なプロフィールを紹介し、早く試合の話をしたい。
ダスティ・ローデスの本名は、ヴァージル・ラネルズ・ジュニア。
1945年10月12日生まれ。
出身はアメリカ合衆国テキサス州オースティン。
プロレスデビューは1968年。
アメリカンフットボールをやっていたローデスは、同期にブルーザー・ブロディ、ボビー・ダンガン。先輩にはザ・ファンクス、後輩にはスタン・ハンセン、テッド・デビアスと何とも豪華な顔ぶれ。
ダスティ・ローデスは、身長187センチ、体重137キロ。
何といってもダスティ・ローデスにとって、最初の大きな出会いは、あの狂犬・ディック・マードックだ。

テキサス・アウトローズ

ダスティ・ローデスは、セントラル・ステーツ地区でディック・マードックとコンビを組み、テキサスアウトローズを結成し、NWA、AWAのリングで大暴れ。
二人ともラフファイターで、強気の性格。
ディック・マードックは控室で先輩レスラーがいても、「知るか」「関係ねえ」という態度で、挨拶するようなレスラーではなかった。
テキサスアウトローズは、日本のリングでもファイトしている。
国際プロレス、全日本プロレス、新日本プロレスでも、ディック・マードックとダスティ・ローデスのタッグは、ファンを熱狂させた。
テキサスアウトロースは、生傷男・ディック・ザ・ブルーザーと破壊者・クラッシャー・リソワスキーの最凶コンビとも抗争を繰り広げた。
ここでダスティ・ローデスに転機が訪れる。
1974年、ダスティ・ローデスはベビーフェイスに転向し、新たな活躍の場が広がるのだ。

全米で暴れまくったテキサス・ジ・アウトローズが新日本プロレスのリングで復活。
対するは相手にとって不足なしの強豪タッグ、ラッシャー木村とタイガー戸口。
木村と戸口はローデスに的を絞り、パンチ、キック、エルボー、ヘッドバットでローデスの額を割り流血戦。
素早くマードックにタッチしたローデス。怒りのマードックはキック、エルボー、二人の頭をつかまえて同士打ちのラフファイト。
そして、ついに出たマードックの必殺技、戸口に垂直落下式ブレーンバスター! 決まれば誰も返したことがない大技だけに、木村がすぐにカット。
ローデスも痛烈なエルボースタンプを戸口と木村にお見舞いするが、再び場外乱闘。木村がローデスをフェンスに叩きつけるが、勢い余ってオーバー・ザ・フェンスで木村、戸口組の反則負け。
オーバー・ザ・フェンスのルールは意味がないとマサ斉藤が長州力に語っていたが、後にこのルールはなくなった。
今はフェンスを超えても反則負けにはならない。
アメリカンドリーム

ご存知の通り、アメリカンプロレスは、ベビーフェイスVSヒールの図式で試合が組まれることが多い。
ダスティ・ローデスは、1974年頃から、CWFを主戦場に完全にベビーフェイスとしてファイトすることになる。
観客を大熱狂させるアメリカンドリーム・ダスティ・ローデスの誕生だ。ローデスはまさにアメリカマット界でスーパーヒーローになった。

ダスティ・ローデスの特長は、何といっても明るいパフォーマンス。
初めてダスティ・ローデスの試合を観た時は衝撃的だった。
1979年、新日本プロレスのリングに初登場する前、ダスティ・ローデスを紹介するVTRはアメリカの試合だった。
ダウンした相手にジャンピングエルボードロップを炸裂させるシーンなのだが、ローデスは自らロープに飛ぶと、いきなり凄い踊り、凄い踊り、踊りに踊りまくってから高々とハイジャンプしての強烈なジャンピングエルボードロップ!
こんなレスラーは見たことがなかった。
キレイなホワイトの頭髪、太った肉体、試合中のダンス。
あまりにもインパクトが強く、ひと目見ただけで記憶に残る。
パイルドライバーも、相手選手を持ち上げたら、わざわざ四方に見せてからのジャンピングパイルドライバー!
プロレス専門誌でも、アメリカンドリーム・ダスティ・ローデスの記事や写真は、心躍る思いで見ていた。
ダスティ・ローデスの魅力を言葉で表現するのは難しいが、アメリカのファンがこれほど大熱狂するのは、やはり魅力的だからだと思う。
ダスティ・ローデスVSスーパースター・ビリー・グラハム
1977年、WWWFヘビー級選手権。王者のスーパースター・ビリー・グラハムに挑戦したダスティ・ローデス。
MSGは、ダスティ・ローデスがリングに登場しただけで大歓声が巻き起こり、抜群のフットワークでボクシングスタイルを見せると観客は立ち上がって大騒ぎ。
アメリカのファン気質として自分たちも派手にはしゃぎたいというものがあるにせよ、会場がずっと湧きっ放しというのが凄い。
対戦相手のスーパースター・ビリー・グラハムがマネージャーと一緒にリングに上がると、たちまちブーイング。
ダスティ・ローデスがオーバーアクションでグラハムを挑発すると大歓声が湧く。
マネージャーがゆっくりとグラハムのTシャツを脱がそうとすると、ゴングがまだ鳴っていないが、ローデスはグラハムにキック!
そしてマネージャーを蹴散らしてリング外に下がらせ、試合を始めてしまう。
ローデスの得意技であるエルボースタンプをグラハムの脳天に炸裂させるたびに大歓声。
卒倒するグラハムには深追いせずに、ローデスはダンスを踊り、観客もオーバーヒート。
怪力で知られるビリー・グラハムは強敵だからこそ、試合も面白くなる。
場外乱闘の流血戦となったが、ダスティ・ローデスはテキサスアウトローズ時代に培ったラフファイトもお手のもの。
フライングメイヤーから全体重を浴びせた顔面へのパンチ攻撃でグラハムを追い込む。
とにかくダスティ・ローデスの間合いが素晴らしく、観客を1秒たりとも飽きさせない。
最後は、ローデスがグラハムからフォールを奪おうとするが、ローデスが両脚をロープに引っ掛けていることがバレて、レフェリーがカウントを取らない。
しかしカウントスリーが入ったと思い、ローデスが両手を上げて観客にアピール。
レフェリーが「NO!」と言い、ローデスと口論しているところへビリー・グラハムが強烈なタックル!
脳震盪を起こしたかダウンしているローデスにグラハムがカバーに入り、カウントスリーで勝利。
気づいたローデスは怒り心頭。
グラハムをダウンさせ、十八番のジャンピングエルボードロップ4連発! ファンは大熱狂。
さらにロープに飛ばしてエルボーバットでグラハムを場外に吹っ飛ばす。
試合には敗れたが、ダスティ・ローデスの上手さと強さが光ったプロレスだった。
因縁の対決。
スーパースター・ビリー・グラハムとブルロープマッチで決着をつけようとするダスティ・ローデス。
ローデスはブルロープマッチの戦い方を熟知している。
いきなり凶器(カーベル)攻撃でグラハムを一撃で倒したが、深追いはせずに挑発的なダンスで会場も大歓声。
間合いと駆け引きの上手さは、天性のものか。
魅せるプロレスは単なるショーではない。アメリカのファンは目が肥えている。ショーアップし過ぎの派手なだけのパフォーマンスは、一歩間違えばお遊戯になってしまう。
ダスティ・ローデスはあくまでも勝負をしているから受けている。
グラハムの脳天に痛烈なエルボースタンプを見舞い、グラハムが場外に逃げようとするとロープを引っ張って逃がさない。
ローデスは強烈なストンピング。さらにエルボーと攻めるが、グラハムもロープでローデスの首を絞める。
チョーク攻撃で苦悶の表情のローデスに声援が飛び、グラハムにはブーイング。
ローデスは反撃し、フライングメイヤーからストンピング。しかし必殺技エルボードロップは交わされ、グラハムはローデスの額にバイク、凶器攻撃のラフファイト。流血戦となり観客もエキサイト。
グラハムは怪力を利してローデスにベアハッグ。ローデスは技を掛けられながらグラハムの脳天にエルボースタンプ!
一進一退の攻防。
グラハムも負けていない。コーナーポスト最上段に上がるが、ローデスはロープを引っ張って落下させる。
ローデスの反撃。凶器攻撃2連発。ローデスが叫べばもう会場はオーバーヒート。
コーナーに追い込み、ニーパット! 凶器! グラハムは場外転落。そのまま上がれずにリングアウト。
ダスティ・ローデスの完勝だ。
ダスティ・ローデスのライバルレスラー

1974年~1980年半ばまで、ダスティ・ローデスはスーパーヒーローとしてアメリカマット界に君臨していたが、その当時の対戦相手の顔ぶれが凄い。
テキサスの荒馬・テリー・ファンク、流血大王・キング・イヤウケア、アラビアの怪人・ザ・シーク、喧嘩番長・ディック・スレーター、キングコング・ブルーザー・ブロディ、呪術師・アブドーラ・ザ・ブッチャー。
ほかにも、モンゴリアン・ストンパー、アーニー・ラッド、バロン・フォン・ラシク、アレックス・スミルノフ、マーク・ルーイン、キラー・トーア・カマタ、アンジェロ・モスカ、ケン・パテラ。
日本人レスラーでも、ザ・グレート・カブキ、ケンドー・ナガサキ、キラー・カーン。
そして、スーパースター・ビリー・グラハム、美獣・ハンサム・ハーリー・レイス、狂乱の貴公子・リック・フレアー。
これだけの強豪を相手にしてきたダスティ・ローデス。

アメリカマットでしか実現不可能なスーパースタートリオが6人タッグマッチを行った時は驚いた。
ダスティ・ローデスのパートナーは、世界の大巨人・アンドレ・ザ・ジャイアントと、仮面貴族・ミル・マスカラスだ。
対戦相手は、ケン・パテラ、トール・タナカ、ミスターフジ。
怪力のケン・パテラも強敵としてダスティ・ローデスとは熱戦を展開していた。

世界で一番強い男・ハーリー・レイスとは、何度も対戦したダスティ・ローデス。
ハーリー・レイスこそ、最強ライバルの一人だと思う。
ダスティ・ローデスVSハーリー・レイス

NWA世界ヘビー級チャンピオンベルトを8度腰に巻いたミスタープロレス・ハーリー・レイス。
まさに王者の風貌。キングの風格。
それでは、ダスティ・ローデスVSハーリー・レイスの試合を振り返りながら、極上のプロレスリングを語り尽くしたい。
全日本プロレス主催のオープン選手権。
現在のチャンピオン・カーニバルの前身ともいえる大会だろうか。
開幕戦で激突したダスティ・ローデスとハーリー・レイス。
面白い試合をして高い入場料を払った観客を大満足させることを、最も重要視するプロフェッショナルの両雄。
だからこそ、いつでもどこでもエキサイティングな試合を魅せてくれる。
ダスティ・ローデスはヘッドロック、ショルダースルーとハーリー・レイスを攻める。
レイスもローデスのボディにニーパット、前頭部へのパンチ、さらに顔面パンチのラフファイト。
場外乱闘も得意な二人。
レイスはローデスの頭部を思いきり放送席! パイプイスでローデスを殴打と思ったらイスを奪ったローデスがレイスに一撃!
怒ったローデスはレイスを鉄柱!
素早くリングに上がったローデス。レイスも戻る。ローデスはフライングメイヤーから全体重を浴びせた顔面パンチ攻撃!
観客に人差指を立ててアピールし、もう一回放つ!
しかしレイスも負けていない。得意技のペンデュラムバックブリーカー!
さらにパンチ攻撃連打でローデスを追い込む。ローデスもパンチを返し、脳天に痛烈なエルボースタンプ!
そしてローデスの十八番、ジャンピングエルボードロップ! カウントツーでレイスの足がロープにかかる。なおもエルボードロップを狙ったがレイスがよけてローデスは自爆。
レイス得意のニードロップを顔面に叩き落とす!
コーナーポスト最上段に上がったレイスが、十八番、ダイビングヘッドバット! カウントスリー入ってしまった。
やはりハーリー・レイスは強かった。
しかし大技の応酬は見応え十分だった。
ちなみにこのオープン選手権は豪華絢爛。
参加選手は、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、大木金太郎、ラッシャー木村、マイティ井上、グレート草津、ザ・デストロイヤー、ヒロ・マツダ。
ドリーファンク・ジュニア、アブドーラ・ザ・ブッチャー、ホースト・ホフマン、ディック・マードック、バロン・フォン・ラシク、パット・オコーナー、ドンレオ・ジョナサン、ミスター・レスリング、ケン・マンテル、アントン・ヘーシンク。
そしてハーリー・レイスとダスティ・ローデス。
優勝はジャイアント馬場。このメンバーの中でさすがに強い。
1981年6月。ダスティ・ローデスが王者ハーリー・レイスに挑戦。
ブレーンバスターを狙うハーリー・レイスを逆にブレーンバスターで叩きつけるダスティ・ローデス。
ダウンするレイスにローデスはエルボードロップ・・・よけられた。
場外乱闘。パンチ合戦。レイスはローデスの頭部を放送席! リングに戻ろうとしたレイスをローデスはリング下から足を引っ張る。
まさかこのまま両者リングアウトで防衛かと思われた次の瞬間、ローデスは素早くコーナーポスト最上段に上がり、まさかのダイビングボディアタック!
そのままローデスがレイスを押さえ込み、カウントスリー! 大歓声が上がる。
ダスティ・ローデスがNWA世界ヘビー級チャンピオンになったのは、この試合が2度目。
ローデスは3度、NWA世界最高峰のベルトを腰に巻いている。
1度目は1979年8月21日。タンパでハーリー・レイスから奪取。
2度目はこのアトランタの試合。
3度目は1986年7月26日。グリーンズボロでリック・フレアーから奪取。
美獣・ハーリー・レイスと狂乱の貴公子・リック・フレアーは、ダスティ・ローデスにとって、NWAのベルトを奪い合った忘れ得ぬ好敵手だ。
ダスティ・ローデスVSアントニオ猪木

ダスティ・ローデスが入場してくると大歓声が巻き起こり、リングに登場してダンスを踊れば大熱狂!
そんなアメリカとは違い、日本ではそこまでのスーパースターではなかった。
全日本プロレスのリングでは、ジャイアント馬場がローデスのファイトスタイルをあまり好きではないらしく、見せ場は少なかった。
しかし新日本プロレスでは、外国人のトップとしてダスティ・ローデスは熱烈歓迎された。
1979年11月1日、札幌中島スポーツセンターで行われたNWFヘビー級選手権。
アントニオ猪木VSダスティ・ローデスは、本当に盛り上がった。
水と油の猪木とローデスが、見事にフィットした。
まさに「名勝負」と呼んでも過言ではない面白い試合だった。

過激なプロレス・ストロングスタイルのアントニオ猪木に対して、ダスティ・ローデスは踊って見せる。
怒りで熱くなる猪木。会場もヒートアップする。
ローデスのボクシングスタイル。左ジャブ連打から右ストレートを、猪木が受けるわけもなく、両拳を構えて目が血走る。
「やるのかこのヤロー!」
まさに魅せる格闘プロレス。異なるファイトスタイルのレスラー同士が見事に融合すると、最高の名勝負が生まれるのだ。
圧巻シーンは、リング中央で猪木のコブラツイストが完璧に決まった。
しかしローデスは相撲のすくい投げのように猪木を投げた。
コブラツイストを掛けられてこんな返し方をするレスラーはあまり見たことがない。
今も昔もタイトルマッチで乱入は本当に勘弁してほしいが、この日も猪木がリング下を気にしてローデスに背を向ける。
ローデスは、スローモーションでゆっくり踊りながら歩み寄り、猪木の脳天に強烈なエルボースタンプ!
普段は見せない猪木の藤波辰巳ばりのジャパニーズレッグロックまで炸裂した。
最後はローデスの反則負けという不透明決着はもったいなかったが、満足のいく試合だった。
ダスティ・ローデスVSスタン・ハンセン

ダスティ・ローデスは、新日本プロレスのリングで、外国人同士のドリームカードを何試合も実現させた。
アンドレ・ザ・ジャイアントやハルク・ホーガン、ボブ・バックランドなどとシングルマッチやタッグマッチで激突。
会場を大いに盛り上げた。
その中でも不沈艦・スタン・ハンセンとの抗争が一番激しかった。
70年代のスーパースターを引きずり下ろそうと、世代交代を狙う80年代のスーパースター・スタン・ハンセン。
アメリカではヒールのスタン・ハンセンだが、日本のマットではトップクラスの人気者だった。

因縁の対決の発端は、タッグマッチ。
藤波辰巳、ボブ・バックランドVSスタン・ハンセン、ダスティ・ローデスという夢のゴールデンカードが実現。
藤波とバックランドのスピードに翻弄される大型レスラーの二人。
ローデスのエルボースタンプがハンセンに誤爆!
ハンセンは「何やってんだ!」という感じで怒ってローデスをどつくと、ローデスがハンセンの脳天にエルボースタンプ! そして殴り合いの仲間割れ。
サイドストーリーはバッチリだ。
もともとスタン・ハンセンは真剣勝負のファイトスタイルだけに、試合中にダンスを踊るローデスとは合わなかった。
1980年5月16日、刈谷市体育館でダスティ・ローデスVSスタン・ハンセンの夢の対決のゴングが鳴った。
ダスティ・ローデスはどんなタイプのレスラーと対戦しても面白い試合になる。これぞプロフェッショナルだ。
スタン・ハンセンに対してローデス得意の左ジャブ、右ジャブのパンチ連打。大歓声。両腕をクルクル回してのストレートパンチ!
場外乱闘。ローデスはハンセンの頭を思いきり放送席! リングに上がるローデスを怒りのハンセンがすぐに追いかけるが、ローデスは腰振りダンスで挑発。
エキサイトしたハンセンが反撃。フライングメイヤーから脳天にエルボー! スリーパー、背中にニーパット、キックのブルファイト。
しかしローデスも一本背負いで巨体のハンセンをぶん投げ、アームブリーカー、腕にエルボー!
ハンセンもボディスラムからのニードロップ! さらにエルボードロップはローデスがよける。
互いにエルボーの使い手の両雄。
再び場外乱闘。ハンセンがローデスの脳天にイス攻撃! ローデスもイスを奪って殴打! ハンセンはローデスの肩を鉄柱!
両者リングアウトだけは見たくないファンの気持ちに応え、リング上へ。ハンセンはパンチ、キック連打。ローデスも脳天に強烈なエルボースタンプ!
会場は湧きっ放しだ。三度の場外乱闘。リング下でスタン・ハンセンの必殺ウエスタン・ラリアットが炸裂!
ローデスがダウンし、ハンセンはリングに上がる。ローデスもエプロンサイドに上がるが、もう一度ウエスタン・ラリアット!
場外に転落はせず、エプロンでダウンするローデス。そのまま10カウントでKO負け。
ローデスがエプロンも場外と同じ20カウントと勘違いしたのかと山本小鉄名解説がフォロー。
因縁の対決はスタン・ハンセンに軍配が上がったが、両雄の抗争はまだまだ続く。

これまた、よくぞ実現したという夢のゴールデンカード。
ダスティ・ローデス、ボブ・バックランドVSスタン・ハンセン、ハルク・ホーガン。
1981年5月29日、高松文化市民センター。第4回MSGシリーズで組まれた超豪華なタッグマッチ。

ブレーキを失った重戦車・スタン・ハンセンと超人・ハルク・ホーガンの猛攻を食い止め、ボブ・バックランドがハルク・ホーガンにアトミックドロップ、パイルドライバーと大技を炸裂させる。
ダスティ・ローデスも踊るようなフットワークでパンチ連打。
タッグマッチで重要なのは、パートナーの見せ場をつくること。自分だけが目立ってもいけない。その点ローデスは、バックランドと組んでも、マードックと組んでも、パートナーの見せ場が多い。
とにかくダスティ・ローデスは、会場を盛り上げることを重要視する。


最後は両軍リングアウト。見応え十分の試合内容なら両者リングアウトの決着でもファンは満足し納得する。
プロレスはやはりプロセスが命なのだ。
プロレスを観始めの頃、誰もが一度は疑問に思うことがある。なぜレスラーはロープに飛ばされたら、おとなしく返って来てドロップキックなど技を食らうのか?
なぜ相手の大技をよけないで受けるのか?
アメリカでは観客をオーバーヒートさせるレスラーが超一流という位置づけ。高い入場料を払って会場に足を運ぶファンに「来て本当に良かった」「また来たい」と心から思えるような興奮と感動を与えるのがプロレスラーの仕事だ。
レスラーのリングと俳優の舞台は似ている。
ダスティ・ローデスがアメリカでスーパースターになり、新日本プロレスでも成功したのは、そこにこだわるレスラーだったからだと思う。

夢のカードが止まらない。
1981年6月。アントニオ猪木、ダスティ・ローデスVSスタン・ハンセン、ハルク・ホーガン。
さすがは毎週のテレビ中継で20%の視聴率を弾き出したプロレス黄金期。
この試合ではローデスが大暴れ。ハンセンを腰振りダンスで挑発し、ホーガンに必殺技ジャンピングエルボードロップを炸裂させる。
最後はインドの猛虎・タイガー・ジェット・シンが乱入して無効試合。
熱狂のエルボードロップ
やはり一番感動的な試合は、ダスティ・ローデスが初めてNWA世界ヘビー級チャンピオンになったタイトルマッチだ。
この日のハーリー・レイスは本当に強く、パンチ攻撃のラフファイトに、執拗なニードロップとヘッドバットでローデスを追い込む。
しかしローデスのエルボーバットはあまりにも強烈で、一発で試合の流れを変えた。
フィニッシュが得意技のジャンピングエルボードロップだからこそ、余計に感動的で、観客も大熱狂。
アメリカンドリーム・ダスティ・ローデスは記憶に残る名レスラーだ。
まだまだ語り足らないが、晩年まで話すとキリがないのでこの辺で。
ダスティ・ローデスは2007年に引退した後も、2015年6月11日、69歳で旅立つまで、プロレスに貢献し続けた偉大なプロレスラーである。
ダスティ・ローデスの熱狂のエルボードロップは忘れられない。