『アリエスの乙女たち』(1987年・大映テレビ制作・フジテレビ系列放送)

『アリエスの乙女たち』(1987年・大映テレビ制作・フジテレビ系列放送)
名門私立・仰星高校に、水穂薫(南野陽子)が転校してくる。

名門私立・仰星高校に、水穂薫が転校してくる。

水穂 薫 - 南野陽子

久保恵美子:佐倉しおり
不良の1人が、恵美子の肩にわざとぶつかった。その拍子で、不良は本を床に落とした。エロ本だった。
不良「拾ってくれよ」
不良に言い掛かりを付けられて恵美子が困っていると、丁度通りがかった高志が割って入った。
高志「馬鹿な真似は止めろ。女の子にこんな物を見せて何が面白いんだ」
待ってましたとばかりに不良の1人が高志に詰め寄った。番長の結城司(松村雄基)だった。

結城司(松村雄基)「こんな物(エロ本)って言ったな。生徒会長さんはこんな物には興味が無いって言うのか?こんな物見たくもねえって言うのかよ?」

磯崎 高志(石橋保)「見たくないと言えば嘘になるな。 俺だって男だ。 綺麗なヌードには興味がある」
高志と結城が言い争っている間に、恵美子はそそくさとその場から逃げ出した。
恵美子は少々複雑な気持ちだった。高志がかばってくれて助かった。しかし、ヌードに興味があると言い返した高志の台詞はショックだった。
「あの人があんな事言うなんて、信じられない」
多感な恵美子は、高志に抱いていた憧れが急に崩れ去るのを感じていた。
薫は愛馬エレクトラに乗り颯爽と馬術部に現れ、大会への選手として抜擢されたことから、部員たちの反感を買ってしまう。

新入部員の薫が、自分の馬であるエレクトラ以外には乗らないと主張したことで、 先輩部員たちと衝突している。
馬場では数人の不良たちがエレクトラを追い掛け回していた。薫は乗馬用ステッキを手に取ると、不良たちを相手に鞭を振り回した。
薫「よくも私のエレクトラを」
それに怒った不良たちが薫を取り囲むと、騒ぎに気付いて駆け付けた番長・結城が一同を諌めた。
司「テメエら。何をやってるんだ。誰がこんな事しろって言った」
遅れて駆け付けた恵美子が間に割って入った。
恵美子「止めて!私の薫さんに手を出したら承知しないわよ」
騒ぎを見守っていた一同が静まり返った。普段大人しい恵美子の予想外の一言だった。恵美子と薫はレズビアンなのか。唖然とする一同・・・

薫(南野陽子)「エレクトラは私の命よ。 この馬を傷つけたら誰であろうと私は殺す!」

結城司の恋人・津川敬子(相楽ハル子)は「司が薫に強い関心を持っている」ことを不安に思っている。
馬術部の部室に閉じ込められた司と薫
女子高生・水穂薫(南野陽子)は、シャワーから出て異変に気付いた。部室に閉じ込められている。
ドアは外から施錠され、窓には鉄格子が嵌っている。
密室となった部室に、部員は誰も居なかった。
居たのは、以前馬場で薫を襲った番長・結城司(松村雄基)だけだ。

司「安心しな。俺だってレディーへの礼儀くらい守ってやるさ」

薫「何するの!礼儀を守るって言ったじゃない」
結城は薫を組み伏せた。薫が抵抗して暴れても、男の結城を跳ね除けることは出来ない。
司「男の言葉なんか信用するな。いいかよく覚えとけ。男にとって行動は第二、言葉は第三の価値しかないんだよ」
薫「第一は何よ?」
司「そいつは自分で考えるんだな」
結城は謎めいた持論を薫に説くと、薫を抑えていた腕をあっさり解いた。
司「とにかく言葉にすがると傷付くだけだ。判ったか?」

司「駄目な男よ。いつかきっとお前の方から飛び込んで来るようにしてやるぜ」
こうして緊張の一夜が明けた。
朝練の高志が、鍵を開けて部室に入ってきた。
薫と結城に出迎えられて、高志は目を丸くした。

高志「君たち、どうしてここに?!」
薫「誰かに閉じ込められたんです」
薫の言葉に高志はますます驚いた。ということは、薫と結城は2人で夜明かししたことになる。
誤解を解こうと薫は高志に説明した。
薫「何にもありませんでした。この人意外に意気地がないんです」
戸惑う高志を尻目に、結城はさっさと部室を出て行ってしまった。
誰が2人を閉じ込めたのか?
鍵を持っているのが馬術部員である以上、他に犯人はあり得ない。

芝園校長は「分かりました」と言って薫に退室を命じた。

馬術大会の代表に、薫が選ばれ、先輩部員たちの反感を買ってしまう。
生徒会長で馬術部主将の磯崎高志、不良グループのリーダー格である結城司、馬術部顧問教師の大下直樹らは薫に心ひかれていく。
磯崎高志と結城司が薫をめぐって対立を深める

司「お前も結構器用だな。 恵美子ってものがありながら薫にまで。 増して、お前は磯崎の息子だからな」

『水穂薫を巡る愛の様相は、増々波乱の極に達しつつあった。 それは、アリエスの星の下に生まれた薫の宿命であったろうか』
薫と高志が抱擁を交わしていると、番長・結城がふらりと現れて2人の元に歩み寄って来た。
司「結構な眺めだぜ。磯崎、お前ほざいたな。
生涯掛けて恵美子だけを、1人の女だけを愛し抜くってな。
それがどうだ?聞いて呆れるぜ」
高志は結城に弁解した「結城、薫さんが悪いんじゃない。
僕の方からしたことだ」
結城は、これ迄何度となく高志に絡んでいた。
高志が憎い訳ではなかったが、高志の父に姉を取られたのが許せなかった。
八当りと知りつつ、結城はついつい高志に因縁を付けてしまうのだった。
結城司「恵美子も好き、薫も好き。
お前、女ったらしの親父と何処がどう違うんだよ」
この一言にカチンと来た高志は、思わず結城を殴り飛ばしていた。
結城は捨て台詞を残して高志の元から立ち去った。
司「恵美子もお前らを見てたよ。泣いてたぜ」

結城司は薫の愛馬エレクトラの世話をしていた。
いよいよ馬術大会の日が来たが・・・

薫「先生、すみませんでした。 私、出場します。 私、無理は承知でエレクトラに賭けるわ。 いいえ、出るからには勝ってみせる! 誰が何と言おうと、私は決めたわ」

エレクトラはもう限界だった。「エレクトラ、もういいの。お止め」
それでも、エレクトラは競技をやり遂げようとバーに挑み続けた。
主人の要求に答えようと、痛む脚を堪えて走り続けた。
そして、最後のバーを飛び越えたところで力尽きて地面に横倒しになってしまうのだった。
こうして、事態は最悪の結果に終った。
競技に失格しただけでなく、エレクトラには致命的な傷を負わせてしまった。
獣医師による診察の結果、エレクトラはもう手遅れだと診断がなされた。
馬がここまで脚を駄目にすると、もう生きていくことは出来ない。
いっそのこと楽にしてやった方が馬のためにもいい。
獣医師は、そう言ってエレクトラの薬殺を打診した。

涙目の番長・結城司「何が天国だ。地獄だよ。そうさ。 エレクトラはお前のために地獄に堕ちたんだ。 馬鹿野郎。馬鹿野郎!」
高志が結城に半殺しにされたという噂はすぐに学校中に広まった。
翌日の放課後、結城は磯崎の息子・高志を雑木林に呼び出して詰め寄った。
「姉貴はやっとお前の親父と別れる気になったらしい。
とは言うものの、早い話が捨てられたんだ。
何だかんだと小難しい屁理屈を並べ立てていたが、
お前の親父が姉貴を弄んで捨てたことに変わりはねえ」
結城が毒突くと、高志は言い返した。
「それで俺にどうしろって言うんだ?
親父から慰謝料でも取って来いって言うのか?
自分だけが被害者だと思うな。
親父のせいで、母は完全にノイローゼになった。
お前の所だけじゃない。
俺の家だって地獄なんだよ!」
高志が立ち去ろうとすると、結城は呼び止めて続けた。

司「未だ終わっちゃいねえよ。 磯崎、お前薫とエクボのどっちが本当に好きなんだ? 2人に俺の姉貴みたいな思いはさせたくないからな。 どっちだ?どっちを取るんだ?」
問われた高志は、結城を睨み付けて答えた。
「俺は、薫さんも恵美子さんも好きだ。
どっちも同じ位好きなんだ。
自分でもどうしていいのか分からない。
どっちを取るかなんて、今の俺にはどうしても判断が付かないんだよ。
そうさ。俺はやっぱり磯崎淳一郎の息子だ。
俺の中にも親父と同じ淫蕩な血が流れているんだよ」
これを聞いて、結城は高志を殴り飛ばした。
高志は一歩も引かずに結城に叫んだ。
「殴れ。もっと殴ってくれ。
俺の中の汚れた血が残らず、残らず流れ出るまで殴ってくれ!」
それを受けて、結城は更に高志を殴った。
殴って殴って殴り続けた。
高志は無抵抗のまま結城に殴られ続け、顔中を腫れ上がらせて血を吹き出した。

高志が結城に半殺しにされたという噂はすぐに学校中に広まった。
薫は司を愛するようになる

薫「あなた、結城さんのことが好きだったんじゃないの?」
敬子「好きよ。死ぬ程好きよ。好きだから、彼に辛い思いをさせたくないの。
こんな事、あんたに頼むなんて悔しい。殺してやりたい程悔しい。
でも、彼の事考えると……」
敬子はその場に泣き崩れた。

薫「前にあなたこんな事言ったわね。 男にとって行動は第二、言葉は第三の価値しかないんだよ。 教えて、男にとって一番価値のあるものって何なの?」
結城司は、薫の真剣な眼差しを見て取って応えた。
司「言葉は行動を説明し、付け足す為の表現だ。そして、行動は生きる姿勢。
人はその生き方によって行動が決まり、
行動によって言葉が生まれるんだ。違うか?」
それは結城の哲学だった。

『今、薫は司への愛に目覚めていた。 その愛が、堰を切った奔流のように駆け巡った。 何と言われてもいい。 この想いを司に伝えたいと思った』

敬子「私と司は深い関係だったのよ。私はあんたには負けない。男と女の体の関係はそう、簡単にきれるもんじゃないのよ。さっきも私と司は・・・」
司は敬子と結婚してしまう。司は陶芸家に弟子入りし、陶芸を学びながら結婚生活を送る。
司の元彼女・津川敬子が司の子を妊娠。結局、司は敬子と結婚してしまう。
陶工見習い・結城司(松村雄基)の前に、恋人・津川敬子(相楽晴子)の両親(平泉成、結城美栄子)が現れた。両親は、結城に衝撃的な事実を告げた。
それは、敬子が妊娠したという報せであった。遅れて敬子本人がやって来た為、結城は敬子と一対一で話し合うことになった。
敬子の希望は一つだった。結婚して欲しい。それだけだ。
敬子はどうしても結婚して欲しいと言って聞かなかった。
結城がなおも断り続けていると、敬子は意を決して踏切の中に飛び込んだ。

敬子「あたし死ぬわ。お腹の子供と一緒に」
丁度、列車が来たところだ。結城は慌てて踏切の中から敬子を引き摺り出した。
敬子は興奮状態で絶叫した「離してよ!あなたと一緒になれないなら死んだ方がマシよ。幾ら頼んでもこの次は死んでみせるわ」
ここまでされると、結城も折れざるを得なかった。
司「敬子、お前の言う通りにしよう。産まれてくる子は力を合わせて育てよう」
とうとう、結城は敬子との結婚を承諾した。

敬子「お早う御座います、お義姉さん。 お掃除しに参りましたわ。 それとも、洗濯を先にしましょうか? 私はこの家に嫁いでくるんですもの、その位のことするの当たり前です」
薫「何ですって?!」
敬子は勝ち誇った顔で答えた「あら、知らなかったの?
司はあたしと婚約したのよ。ねえ、お義姉さん。
司とあたしはもうすぐ結婚するんですよね?」
敬子に振られると、小百合は気不味そうにそれを認めた。

薫は、その足で結城司の工房へ飛んだ。 直接事情を訊こうと、結城司を捕まえて問い質した。
そんな薫に、結城は苦しい胸の内を明かした。それは、敬子が妊娠したという事実であった。結婚しないと敬子は死ぬと断言している。
本気でやりかねない。生れてくる命のためにも、それだけは阻止せねばならなかった。
司「俺は愚かな男だ。敬子とは遊びだった。遊びで済むことと済まないことがあるのに、
俺は軽はずみな真似をした。
心底愛しているのは、あんた1人なのに。後にも先にもあんた1人なのに。
俺は愚かなことを……
こうなったら、敬子を愛するように努力するしかない。
俺は愛してもいない女と結婚するようないい加減な男だ。
最低の男だ。薫。忘れてくれ、俺のことは」
結城はそう言って項垂れた。薫は、思わず結城に縋り付いていた。
結城は、薫を受け止めながらなおも続けた。
「薫、俺はお前を愛してる。俺はお前を幸せにしてやりたいと思ってる。
だが、それはもう出来ない。俺のことは忘れてくれ。
俺も、忘れるようにする。これ以上話していてもお互い辛くなるだけだ。
帰ってくれ。頼む、帰ってくれと言ってるんだ!」
結城は、縋りつく薫を強引に引き離した。

司と敬子、二人は結婚した。

敬子「薫さん、あなたはその陶器を眺めて司を偲ぶつもりらしいけど、 あなたに出来るのはそれだけよ。」

敬子「薫、司はどんなことがあっても渡さないわよ。 あんたなんか……あんたなんか死ねばいい!」
司は失明してしまう。

バーナーが異常を起こしていることに気付いて、慌てて元栓に手を掛けた。 その瞬間、窯は大爆発を起こして司の体を吹き飛ばしてしまうのだった。

窯焚き中の爆発事故に巻き込まれて病院に担ぎ込まれた。
幸い命に別状はなかったが、
診察の結果角膜が熱損傷していることが判明した。
疲労が蓄積していたこともあり、
司は医師から絶対安静を告げられた。
目に包帯を巻かれた状態で自宅療養に入った司は、
暗闇の中で様々な思案に暮れた。
このまま目が見えなくなるのではないか。

司「見えない。お前が見えない」
『陶芸家としての輝ける第一歩を踏み出したその日はまた、
結城司に失明の宣告が下された日であった』

完全失明。 回復の見込みなし。 医師は、司に盲人用の白い杖を手渡した。

司は一心不乱に陶芸に打ち込んだ。 点字本を頼りに、新しい作品を生み出そうと懸命に頑張り続けた。 土を捏ね、轆轤を回し、分からないことがあれば点字本で調べる。

敬子「司、あたしが抱けないのね。 あたしは貧乏だけなら辛抱するわよ。 どうにも我慢出来ないのは、あなたがその見えない目の奥底でも、 ずっと薫の姿を見続けていることよ」
司「薫、俺や敬子のところにもう来るな。
お前俺に同情してくれてるようだが、もうたくさんだ。
愛だのヘチマだの言ったところで、目の見えるお前に俺の身になれる訳がない。
無駄な同情など豚にやってくれ」
言い捨てて、司は夜の街へ手探りで出て行った。

薫はポーチから針を取り出した。「私も何も見えなくなれば、司と同じになれる」
意を決して自分の目を突き刺そうとしたその時、誰かの手が薫から針をもぎ取った。
司の姉・小百合だった。

司の姉・小百合「薫さん、いつも針を持っているのは女としてとてもいい心掛けよね。 でも、針は物を繕うために使うものでしょ。 あなたに繕って貰いたいのは、司の心」

薫は司の目になろうと誓う
敬子「あんた、また司とあっていたのね!」と殴ろうとする。
それを止める薫。
薫「敬子さん、あなた本当に司の妻なの?司を苦しめることしかしてないじゃない。私はもう司とはあいません。」

敬子「そんな言葉信じるもんか!」
薫「信じるも信じないのも勝手になさい。ただこれだけは言っておくわ。私は司を一生愛し続けます。」ときっぱり言って薫は立ち去る。

陶芸に打ち込む司。その出来栄えは素晴らしいものだった。
女子高生・久保恵美子(佐倉しおり)は、一つの決断を下した。 家を捨てて、身一つで愛する人に飛び込むこと。
磯崎は北海道に出張になる事を告げ、「自分が本当に好きなら、東京駅に来てくれ。」と恵美子に告げる。

恵美子「高志さん。私も行くわ、あなたの出張先まで。私、家を捨てるわ」

恵美子は家を飛び出し、磯崎の元へ行く。

次の朝、恵美子は高志と海で夜明けを見た。

仰星高校では、薫の不倫と恵美子の同棲が問題視されていた。校長室に呼び出された2人は、退学する事を告げ、学校を後にした。

司「敬子、俺にも覚悟があるぞ。俺は、お前と別れる。 俺も辛抱してきたがもう我慢出来ん。敬子、別れてくれ。 気の合わない俺と暮すのはお前だって不幸だ。 大介は俺が引き取って育てる。お互い別れた方が一番いい」
敬子「司、あんたあたしと別れて薫と一緒になりたいんでしょ?
だけど、そうはいかないわ。
あたしはどんな事があっても籍は抜かないわよ。あたしにも覚悟があるってことよ。
あんた達がどんなに好き合ったところで、意地でも結婚なんかさせてやるもんか。
いいわね、薫。司と一緒の墓に入るのはあんたじゃないわよ。このあたしよ!」
敬子はとうとう薫と司を憎み続ける事に疲れ、司と離婚した。
敬子「別れてあげる。いずれ離婚届ももってくるわ」

司「そうか、俺はあえて引き止めない。すまないと思ってる」
敬子「これだけは信じて。私は、あなたが好きだった。できればいつまでも一緒にいたかった」
司「短い間だったが、俺たちは夫婦だった。もし町ですれ違ったらお互い気持ちよく挨拶しよう。俺が言うのもなんだがお前の幸せを祈ってる。」
敬子「薫と一緒になるつもりかしらないけど、目の不自由なあんたと大輔の世話で疲れ果てぼろぼろになるわよ。私のようにね。」と最後に捨て台詞をはいて出て行く。

敬子「・・・終った。 何もかも終った。 あたしの恋が敗れた・・・」
出たところで敬子は薫とは鉢合わせる。
敬子「司はあんたにくれてやるわ!」
薫「どうして・・・敬子さん」
敬子「疲れたのよ・・・嫉妬するのもあんたちの仲を引き裂くことにも疲れた・・・けど司と一緒になったって、ぼろぼろになって不幸のどん底になるわよ!」

薫は浮かない顔で「敬子さんきっとつらかったはず・・」
恵美子「なにをゆうの!素直によろこばなきゃ!」
薫「そうね!」と笑顔で乾杯
一人帰る薫は、夜空の星に語り掛けていた。
ママ・・・喜んで。薫は今、幸せです。ママと、この喜びをわかちあいたかった。。。
薫は、「口がきけないおばさん」として、司の世話をする事に。司は晴れの舞台にむけて、陶芸展を目標としていた。

結城 小百合(大場久美子)「また一からなの?」

司と薫は休憩していた。
司「これは色んな年代の焼き物が入っているんです。手触りでわかるんですよ。
この間の作品は心を忘れていました。目の見えない俺に残されてるのはこの手だってこと。
この手で土を愛し、火を愛し、1つの形を焼き上げる。
これがおれに残された唯一の道なんです。前にコーヒー飲んだ女の子の話、しましたね。
目が見えていたころ、俺はその女の子のイメージを真っ赤な色でやきあげました。今度はその人の肌を焼き上げたいんです。その子とはキスもしたことありません、けれどたとえ目が見得なくても、この手はあの人の肌をはっきり覚えています。」

薫は心の中で母・マキに語り掛ける。

長谷川 信吉(高橋昌也)「いや、いい土をみつけたんで持ってきた。今の話だが・・」
長谷川「薫さんにとって幸福はお前に尽くすことだ。
苦労することが喜びなんだ。薫さんはお前のためなら死ねる」
司「先生!俺も薫のためなら死ねます」
長谷川「だったら、彼女と一緒になれ。お前にとって、共に生き、共に死ぬことに喜びを感じる人間は、
水穂薫をおいて他にはおらんのだぞ」

失明してしまった結城 司(松村雄基)が、心の目で作り上げたまさに本物の作品・陶器がとうとう出来上がった。

司「この壷は、お前だ。薫・・・お前はここにいる」
薫「知ってたの?司」
司「途中でうすうす感じてた。けど言い出せなかった。お前にむくいるために、たった1つだけ残された道は焼き物を移し替えるだけだった。そして俺はついに・・・」
司「ありがとう。薫。長い間、本当にありがとう」
薫「司・・・」
司「薫・・・」
手を取り合う二人
司「俺はこの手を一生離したくない」
薫「離さないで司!この手も心も一生離さないで!愛してる司!」
司「薫・・・心から愛している!」

抱き合う二人

司と薫は恵美子(佐倉しおり)を祝福。

磯崎 高志 - 石橋保、久保 恵美子 - 佐倉しおり
「ナレーター」 今1つの愛が形となって結ばれようとしていた。 そしてもう1つ激しく燃え苦しみぬいて、そしてついに勝ち取った愛があった。
http://blogs.yahoo.co.jp/anko_tamagoyaki/16124474.html美味しいものを好きなだけ!!&趣味のお部屋Ⅰ「アリエスの乙女達最終回あらすじ」

ついに二人は結ばれる・・・水穂 薫 - 南野陽子

結城 司 - 松村雄基

・・・・おわり