
とり・みきギャグ確立の祖
「るんるんカンパニー」は80年から82年まで週刊少年チャンピオンで連載、81年から82年に単行本全6巻が刊行されたとり・みきのギャグ漫画です。
デビュー以来、秋田書店で作品を発表して来た、とり氏の連載4作目。月刊少年チャンピオンで連載した前作「たまねぎぱるこ」は、とっぽい魅力の女の子ぱるこを主人公に据え、かわいいドジっ娘ねむりを脇においたギャグ漫画でしたが、今作は女の子バリエーションを増やすべく女主人公3人と主人公の男の子を据えています。またその後のとり作品の大きな要素となる「スター・システム」の走りとなるのもこの作品です。
とり氏の別の作品紹介でもふれましたが、スター・システムとは、
引用にあるように手塚治虫作品におけるスター・システムが知られていますね。ヒゲおやじ、ヒョタンツギといったキャラクターご存知でしょうか?ああいったキャラクターは、あたかも俳優がいろんな役をやるように、あのキャラクターの姿ながら、その時その時で別の役で(まあヒョウタンツギとかには役もへったくれもありませんがf^^;)登場しますよね。
今作にも、その後のとり作品で活躍する“名俳優”が数多く登場します^^
またとり作品のギャグの基本、リズムといったものも、この作品に源流となる部分が大きいと、とり信仰の筆者は独断と偏見で思う次第ですf^^;
とりかまワールドへの招待
さて、おハナシといいますか、、
まあギャグ漫画ですから、そういったもんですね。
とくに引用のように、最初の学園ものという設定は次第にとくに重きを置かれず、どんどんギャグ漫画として自由になっていく感じですね。
第1話「学校にもどってみればの巻」
といっても、設定が出てくる最初の方だけはご紹介を、、
主人公・葵達郎が盲腸手術での入院から学校へ戻ると、見知らぬかわい子ちゃん三人が生徒会三役となっていました。野泉かつら、北沢静、深水くるみの三人です。二学期初めに転校して来て、男子の圧倒的人気で当選したのです。
三人に振り回されるタツローくん。しかも彼の一人住まいのおんぼろアパートの横にはマンションが建っていて、向かいの部屋にはカーテンを開け放って下着姿の三人が、、タツローくんの受難の日々が始まります、、>_<
第2話「見たな〜!!の巻」
生徒会室を窓から覗き見たタツローくんは、男子生徒らに人気のカマトトな三人の姿は表の顔で、実際は頭もきれて腕っ節もあり(くるみだけは表裏なく小学生のような子ですが^^;)、「裏の生徒会」として女性上位な理想を追求しようとしていることを知ります。
知られたからには、、とタツローくんを裏の生徒会の僕とすることに。前話でタツローに意図せずちょんと手に触れられたくるみは、ウブすぎて子どもができたらどうしようとタツローに結婚を申し込む始末。いずれにしても三人の僕としての地位は確定したのでした、、T^T
とりギャグのプレーヤーたち
主人公(?)と主人公三人組
、、といったおハナシよりも、やはりギャグ漫画で大きいのはキャラクターですね。
以下、登場人物たちをご紹介します。

葵達郎
1年生。アパート「あくつ荘」に一人住まい。前述のように裏の生徒会の秘密を知ってしまい、彼女らの僕のように使われる。
野泉かつら
2年生、生徒会長。裏の生徒会の頭脳。
北沢静
2年生、副会長。裏の生徒会の武闘派。空手などを使うよう。
深水くるみ
1年生、書記。小学生のような容姿と行動だが、高校生。

異次元兄弟〜 秋田冒険王、まんが王


その他、学園の生徒や周辺の登場人物





とりスター・システムの“名優”たち
先述の通り、とり作品には違う役で同じキャラクターが登場することが多いのですが、その走りが今作と言えます。
手塚の先例にもあるように、その一部は作者とり氏の友人知人がモデルであったりします。

左から一人づつ商会いたします。
今作ではあくつ荘の大家など:コマケン(とり氏もメンバーの小松左京研究会「コマケン」)のツチヤさん
今作では「解説者」としての出演が多い:ウブタ(などの名前が代表的)
今作ではあくつ荘の住人などで登場:タキタさんこと田北鑑生氏。「漫画俳優」の代名詞、とり作品にもっとも古くから、そして数多く登場する最重要俳優。とり氏の古くからの友人で、本職(?)である書店員として登場することも
今作ではタツローたちの級友ヨネダ氏などで登場:イラストレーターの米田裕氏
(前のしゃがんだ男性)
小松左京作品のカバー画などを手がけている、イラストレーターの長谷川正治氏
そして大御所、とり氏らのアイドル、SF作家の小松左京氏
また、モデルがいる訳ではないようですが、既にご紹介した秋田兄弟、吉田さんは、その味わい深いキャラクターで、タキタ氏に列ぶほどに他作品でも登場する“スター”となっていきます。


このような、とり作品の特徴が、あとであんな悲劇(?^^;)を招こうとは、、(後述いたしますf^^;)
とりかまワールド、大団円
以上、るんるんカンパニーの世界をご紹介してまいりましたが、そのギャグ、面白さは、紹介のしようがありません!と居直らせていただきますf^^;
ギャグを説明することほど野暮で無粋で甲斐なく無理なことはございません。この機会にぜひご一読いただければ、、f^^;
その代わりにはなりませんが、第1話のとりかま世界への導入をご紹介したのだから、最後にその大団円、最終話をご紹介して、本稿を締めさせていただきたいと思います。
さらば!るんるんカンパニー!!の巻
最終話はPART.I、II、IIIと3話構成となっています。
ご紹介しそこないましたが、秋田兄弟の父は日本人ですが、いまはアキタ王国の王なのです。
若い頃にボクシングの(少年)チャンピオンだった父は、アキタ王国での試合を観戦に来ていた王女と恋に落ち結婚、アキタ王国の王となっていたのでした。前述のように、秋田兄の名は冒険王、弟はまんが王、、とうぜん妹は、ひとみ。
とり作品のギャグは「説明しないこと」でもあるので、これ以上は説明しません、、f^^;
さて、そのアキタ王国から妹のひとみが消えます。現場にはなぜか納豆が、、
一方、裏の生徒会として学園の平和を取り戻したとするかつらは、次なるターゲットを求め転校することにします。タツローを思う気持ちから一人反対するくるみ。
そんなとき、学内のタブロイド紙「とりかま真実」に生徒会の裏の顔が暴露されます。編集長敵田鑑生(もちろんタキタ氏演じる(?))を使い、羽高求が裏で糸を引いていたのです。三人を追及し、学園からの追放を告げる羽高。タツローは三人を庇いますが、かつらは別れを告げます。
学園のスポンサー、宗教法人「おどろ教団」と対立し、いままでも三人に煮え湯を飲まされてきた、宗教団体「納豆の光」—。
学園に隠された「最終兵器」を狙った彼らは、三人が去って無防備な学園を襲い、ひとみを人質に、最終兵器の制御室をも手にします。
、、というのが、PART.IIまでのおハナシ。
さて、最終回PART.IIIは、、

過去に登場した武器を駆使、助っ人も駆けつけますが、
タツローたちの前には納豆六人衆が立ちはだかります。
まずは、ひきわりの小源太が襲いかかります。
しかし、、


続く六人衆は、作者とり氏が“演じている”ので、原稿催促の電話であっさり撃退。
制御室まで迫ったタツローたちですが、最終的にはやはり、ひとみを盾にされてしまいます。
万事休すか、その時—
懐かしいコスチュームに身を包んだ三人娘、るんるんカンパニーの登場です!
学園を去ったのは敵のスパイが監視している手前の偽装だったのです。逃走しようとする教祖には羽高が立ちはだかります。さらにインターポールからもひとみ誘拐の容疑で捜査官が。
納豆の光の脅威は去り、最終兵器の悪用は免れました。
、、はずが。二人でキーを差し込みスイッチを押して最終兵器を作動させてしまう秋田兄弟!(あいかわらず行動に脈絡がありません、、!)

