1989年4月、レーサーレプリカブーム衰退の大きな契機となる一台のバイクが登場しました。
「カワサキ・ゼファー」の登場!-ネイキッドブームのはじまり-

カワサキ・ゼファー / KAWASAKI ZEPHYR (1989年)

「西風」に由来したネーミングの通り、関西・明石に位置するカワサキが投入した「ゼファー」は、新鮮な息吹を呼び覚ます“ネイキッドブーム”の始まりとなりました。
レーサーレプリカブームだった80年代

日本はまさにレーサーレプリカブーム
当時、ライダーから絶大な支持を受けたのが「レーサーレプリカ」と呼ばれるバイク達。レーサーをイメージさせるフルカウルを身にまとい、過激な動力性能と運動性を持たされたバイクが、街に峠に溢れました。

週末となればワインディングを攻めて楽しむ“ローリング族”と呼ばれるライダーが峠を占拠
レーサーレプリカブームの頂点にいたバイク「RC30」「OW01」

ホンダ・VFR750R [型式名RC30] (1987年)

ヤマハ・FZR750R [OW01] (1989年)
フルカウルを装着した車種が当たり前になっていたレーサーレプリカ全盛の時代に、あえてカウルなしの懐古的なスタイルを売りにした「ゼファー」の登場はある意味衝撃でしたが、「これを待っていた」とばかりに多くのライダーの支持を受けました。

ミスター・バイク(1989年5月号)に掲載されたゼファーのスクープ!?記事
「バイク界に新たなるブームを吹き込んだ西風」 ZEPHYR大全1 ZEPHYR 1989~1995 | WEB Mr.BIKE
ネイキッドブーム到来!
ゼファーの発売をきっかけに、これまでのカウル付きモデルからカウルを外しただけの派生車種とは異なる、カウルで覆われていないエンジンの機能美や無骨な外観をデザインとして前面に出し、常用域に重点を置いた出力特性に設定されたエンジンを搭載した車種が登場し、日本のバイク市場はレーサーレプリカブームからネイキッドブームへ遷移していきました。
ホンダ・CB400スーパーフォア / HONDA CB400 SUPER FOUR(略称:CB400SF)

1992年、ホンダは精惺なフォルムと優れた使い勝手を融合させたネイキッド・ロードスポーツバイク「CB400 SUPER FOUR」を発売


CB400スーパーフォアのご先祖様ともいえるモデル「CB-1」は、ゼファーと同じ1989年に発売
400ccクラス 不動の人気車CB400SFの2015年までの流れを振り返る | バイクイチバン
ちなみに、カワサキ「ゼファー」、ホンダ「CB-1」と同じ1989年に、スズキからもネイキッドモデルが発売されています。
スズキ・バンディット400 / SUZUKI Bandit400

スズキ・バンディット400 / SUZUKI Bandit400 (1989年)
そこで、ゼファーやCB400SFの対抗馬として3代目インパルス「GSX400インパルス(GK79A)」がデビューします。
一方ゼファー発売当初は静観の構えを見せていたヤマハも1993年にはXJR400を投入し、各社400ccクラスネイキッドの布陣が出揃うことになりました。
スズキ・GSX400インパルス / SUZUKI GSX400 IMPULSE

スズキ・GSX400インパルス[GK79A] / SUZUKI GSX400 IMPULSE (1994年)

ユーザーから人気を呼びインパルスの名を押し上げたのは何と言ってもタイプS
ヤマハ・XJR400 / YAMAHA XJR400

今でも通用するスタンダード空冷ネイキッド、ヤマハ・XJR400 / YAMAHA XJR400
高年式絶版車│END OF PRODUCTION ゼファーシリーズが熱い | 新車・中古バイク検索サイト GooBike.com
ネイキッドブームのはじまりとなった「ゼファー」を生み出したカワサキのCB400スーパーフォア(CB400SF)に対抗する答えは、ゼファーの高性能化ではなく2年後のZRXの投入でした。
カワサキ・ZRX400 / KAWASAKI ZRX400

カワサキ・ZRX400 / KAWASAKI ZRX400

カラーリングも個性的な カウルレス版ZRX
400ccクラスがきっかけとなったネイキッド人気は、下は250ccクラスから、上はナナハン・リッタークラスまで飛び火!
750ccクラス(ナナハン)

カワサキ・ゼファー750 / KAWASAKI ZEPHYR750

Z2
リッタークラス

カワサキ・ゼファー1100 / KAWASAKI ZEPHYR1100
250ccクラス

バンディット250・BANDIT250(GJ74A)
ネイキッドブームは、1990年代半ばのアメリカン(クルーザー)ブームとそれに続くビッグスクーターの台頭によって一応の終焉を迎えることとなります。
しかし、普通二輪のラインナップが手薄な現在の国内市場において、ネイキッドモデルは、今もってバイクの主力モデルとなっていますね♪