【平井正史】かって被災者の想いを乗せてマウンドに上がったストッパーは、不死鳥の如く蘇った!

【平井正史】かって被災者の想いを乗せてマウンドに上がったストッパーは、不死鳥の如く蘇った!

「がんばろう神戸」ユニフォームに縫い付けられたこの言葉と共に、オリックスの選手達は戦い続けた。 球史に残る1995年そして1996年のペナントレース。そして平井投手の球歴を振り返る。


●高校時代から評判の豪腕

平井正史投手は、宇和島東高校時代から評判の豪腕投手でした。1993年の甲子園に春夏連続出場を果たし、ストレートは最速147キロ。ドラフト1位でオリックス入団を果たします。

平井投手は入団1年目から1軍に昇格し、1994年の9月10日、対近鉄戦で初めて一軍のマウンドに上がります。その初登板のマウンドは、同点で迎えた9回裏・無死満塁というなんとも酷な場面。平井選手は最初の打者こそ三振に討ち取るものの、続く大島公一選手にサヨナラ犠牲フライを打たれて、チームは負けてしまいます。
※この敗戦の後、仰木監督は19歳の平井選手を宿舎の部屋に呼び「これで新地にでも行って飲んで来い」と10万円が入った封筒を手渡したといいます。

力投する平井投手

初登板でプロの厳しさを知った平井選手ですが、この年の最終戦では先発を経験。西武相手に5回を無失点に抑える好投。当時投手コーチだった山田久志コーチに「平井は先発の軸になる」と大きな期待を抱かせて1994年のシーズンは終了しました。

●阪神大震災発生。そして「がんばろうKOBE」

平井選手らオリックスの選手達が、キャンプに向けて自主トレを開始していた1995年の1月17日の午前5時46分。明石海峡を震源とする直下型地震、「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)」が発生します。

阪神大震災で倒壊する高速道路

オリックスの本拠地・神戸グリーンスタジアムも被災。多くのチーム関係者、そしてファンがこの地震による被害を受けました。そして、1995年シーズンが開幕する前、オリックスの選手達が着るユニフォームに「あの言葉」が縫い付けられたのです。「がんばれ」ではなく「がんばろう」という表現に、多くの人の心が揺さぶられたのです。

ユニフォームに縫い付けられた「がんばろうKOBE」

そもそもこの前年のシーズンでイチロー選手が年間200本安打を達成し大ブレイク。「優勝候補」にはあげられていたものの、優勝した西武とは7.5ゲームの大差をつけられての2位。この差を埋めて優勝する為には、どうしても接戦を勝ちきる為のストッパーを確立させる事が必要不可欠だったのです。
キャンプ、オープン戦と進んでいく中で仰木監督がストッパーとして白羽の矢を立てたのが、高卒2年目ながらチームナンバーワンの豪速球と落差のあるフォークを投げこむ平井投手でした。
オープン戦の序盤は先発として投げていましたが、戦いが進む中で仰木監督は山田投手コーチに平井投手のリリーフ起用を伝えるのです。
(※高卒2年目でまだプロとして未成熟な平井投手にリリーフをさせた事を後々まで山田投手コーチは後悔していたといいます)

イチロー選手と仰木監督

そしてシーズン開幕。平井投手はロッテとの開幕戦で8回から登板、初セーブを挙げ、ここに「ストッパー」としての起用が決定します。オリックスは4月、5月こそ5割前後で首位を西武に譲っていたものの、6月に24戦19勝4敗1分という驚異的な成績をあげて首位を奪取。その後も勝利を重ねて一気に2位以下を突き放します。その「打」の主役はイチロー選手、そして「投」の主役は平井投手でした。

●何が何でも神戸で優勝を決める!

1995年の平井投手の成績は驚異的でした。リリーフ投手であるというのに、あわや(というのは変ですが…)最多勝にあと一歩の15勝(5敗)、27セーブの42セーブポイントを挙げて最優秀救援投手と最高勝率のタイトルを獲得。新人王にも選出されました。(防御率は2.32)
※ちなみに最多勝は16勝のグロス投手(日本ハム)
※ストッパーを務めた平井投手にこれほど勝利がついたのは同点の場面でも構わず登板していた事、そしてまれにリリーフ失敗した時でも味方が逆転してくれた事を示しています。

他チームの守護神を大きく引き離して…

独走状態に入ると、世間の興味は「どこの球場でオリックスの優勝が決まるか?」という事に移っていきます。オリックスとしてはなんとしても本拠地、グリーンスタジアム神戸で優勝を決めたいと、1995年9月13日からバレンタイン監督率いるロッテとの3連戦に挑むのですが、優勝のプレッシャーで硬くなったオリックスの選手達に対し、ロッテは平井投手を打ち込むなど3連勝。オリックスの本拠地胴上げを阻止。その2日後、平井投手が最後を締めたオリックスは西武球場で優勝を決めるのです。

オリックスに立ちはだかったのは、野村監督のIDが浸透し黄金時代を築いていたヤクルトでした。
平井投手は日本シリーズにも登板しましたが第2戦では勝ち越しホームラン。第3戦ではサヨナラホームランを打たれて2連敗。更にイチロー選手も封じ込まれ(19打数5安打2打点で打率2割6分3厘)、投打の主役がシーズン中の様な活躍を見せることはできなかったオリックスは、結局1勝4敗でヤクルトに敗れるのです。
※野村監督は、シリーズ前からマスコミを通じて「内角高めの速球」にイチローは弱い」などとイチロー選手を挑発していました。

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