当時まだ新人だった杉浦幸さん主演のドラマ。2役という難しい役柄を演じきった杉浦さん、今でも素敵な女優さんですね。
裕美にもユミにも共感できるところがまたすごい!
ヤヌスの鏡
当時多重人格という衝撃的な内容のこのドラマは伊藤かずえさんの愛読書が原作とのこと。
新人でありながら、内気でおとなしい裕美と自由奔放なユミの真逆の二面性を演じた杉浦幸さんの実力にくぎ付けです!

リアルタイムで見ていた当時は、特別気にしたことはなかったのですが、実は裕美とユミの声は別人だったんですね。どちらも杉浦幸さんが演じているのですが、裕美は杉浦さんご自身の声、ユミは「野口早苗」さんの声だそうです。そういえば、迫力のある名台詞がいくつもありましたね・・・
ストーリー
良家の箱入り娘、小沢裕美(杉浦幸)は幼いころから小沢家の家長である祖母、小沢初江(初井言榮)から厳格にしつけられていた。挨拶はもちろん持ち物や生活すべてにかかわるものを厳しく管理し、間違いをただすために厳しい叱責と体罰をあたえるほどのものだった。
裕美の母親が高校生の頃、交際相手との子供を妊娠し、反対を押し切って私生児として裕美を出産、その後自殺したことが原因だった。
しかし、その異常なまでの抑圧に対し、お香の香りやガラスの割れる音、裕美自身がぶたれることなどをきっかけに裕美とは正反対の性格を持つユミがあらわれてしまうことを、その時の裕美はもちろん、周りの人間さえ誰一人まだ気づいていなかった。
合気道の達人で自由で奔放なユミは裕美の別人格として、やがて夜の繁華街で君臨するようになっていく。
裕美の多重人格をいち早く見抜いた裕美の通う高校教師、堤邦彦(山下真二)は、元の人格である裕美、そして別人格のユミまでも全力で救うため、奔走する。
ユミに一目ぼれした達郎(風見慎吾)と出会い、野獣会会長・東涼子(大沢逸美)と対立しながら、ユミの存在は大きなものとなっていく。
昼間の裕美と夜のユミ。それぞれ全く別の人格をもった少女の世界が交錯し、運命の歯車が回りだす・・・
登場人物
新しいキャスティングが新鮮だった大映ドラマ「ヤヌスの鏡」!








走り出したくなる椎名恵の名曲!!
この曲のイントロが流れるだけで、このドラマの主人公ユミの声が聞こえてきます。「誰でも天使のように自由になりたい~」歌いだしはまさに裕美とユミのイメージにぴったりです。
椎名恵さんの力強い歌声が魅力でしたね。

今夜はエンジェル/椎名恵
名言続出のドラマ!?
おばあちゃまや涼子はじめ、キャラクター一人一人のセリフはまさに名言です!
ネタバレ
がんを患っていた祖母・初江。裕美や養父と養母、そして実父である河本一家や堤など関係者が集められる。裕美はそこで、これまで記憶をなくし、別人格であるユミとして数々の犯罪に手を染めてきたことなどの経緯を初江に伝えます。そして、なぜそんな人格が生まれたのか、ユミはなぜ暴れるのか理由を知りたいと初江に詰め寄ります。
「私考えました。
まず真っ先に浮かぶのは、私がお婆ちゃまに受けた折檻でした。
折檻の中でも特に辛かったのは、
私の産みの母に対する憎しみの言葉を浴びせられた時でした。
母を罵られると、私の体は痺れて感覚がなくなっていました。
母の淫らな血が私にも流れていると思うと、
それだけで私は生きていく勇気を失いました。
人を愛することも、愛されることも出来ないんだと思って、
何度泣き明かしたか判りません。
私の母の姿を、ありのまま話して下さい」。
初江はついに、過去を話しだします。
初江は、裕美の生みの親である娘・由紀子を大切に大切に育てていました。
いずれは一流の女性になってもらいたいと数々の英才教育をしてきた娘から妊娠したことを告げられた初江は、由紀子を叱りつけます。家を飛び出したった一人で裕美を出産した由紀子。父親の恋人も去り、一人夜の街をさまよう由紀子。
初江はすぐに由紀子を探し出すが、裕美を見せられ恋人をまつ由紀子に、残酷な言葉を言い放ってしまいます。
すべてを否定された由紀子は絶望し、生きる気力をなくしたまま「赤ちゃんだけは助けてください」と書置きを残し、入水自殺をしてしまいます。
すべてを語った初江は、裕美に対し、由紀子を愛していたこと、名誉や世間体を気にして非情な親だったことを悔やみ、許してほしいと言います。
そして「死にたくない。生きたい・・・生きていたい」という言葉を最期に絶命してしまう初江。
裕美は泣きながら家を飛び出し、ユミへと変身します。
追いかけていた涼子に対し、ユミは「決着をつけよう」といいます。
それを受けた涼子はナイフで切りかかります。ナイフを奪ったユミは、同じく裕美を追いかけてきた堤へと攻撃の矛先を向けます。
しかし、堤へと向かったナイフは直前で停止します。
涙を流すユミに「ユミどうしたんだ?ナイフを突き出さないのか?」と堤が問いかけると、「ついたら選考が死んじまうじゃないか。
死んじまったら先公会えなくなっちまうじゃないか。
先公の説教が聞けなくなっちまうよ」と言い残し、裕美の体から消えてしまいます。
そして、それぞれに訪れた平穏な日々。
堤は一人九州へと旅立ちます。
裕美に一通の手紙を残して・・・
裕美は堤が乗る新幹線を橋の上から眺め、「先生、さようなら」と涙を流しながら見送るのでした。

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