映画ファン、そしてアート愛好家にとって待望の一冊が登場する。株式会社トゥーヴァージンズは、2026年3月27日、SF映画が最も輝きを放った時代のビジュアルを網羅した書籍『SF映画ポスター・コレクション '60s - '80s』を発売する。
SF映画が「キワモノ」から「芸術」へ変わった20年間
SF映画の歴史を振り返る際、1968年は特別な意味を持つ。キューブリックの金字塔『2001年宇宙の旅』、社会風刺に満ちた『猿の惑星』、そして官能的なポップアートの極致『バーバレラ』。これら3作が公開されたこの年、SF映画はそれまでの「低予算のキワモノ」というレッテルを脱ぎ捨て、一躍映画芸術の最前線へと躍り出た。
本書は、その劇的な転換点から、サイバーパンクの夜明けを告げた1987年の『ロボコップ』までの約20年間を「SF映画黄金期」と定義。世界的大ヒット作からカルト的な人気を誇るB級作品まで、約230本におよぶ映画のポスターを収録している。
世界24カ国から集結した550点以上の圧倒的ビジュアル
本書の最大の魅力は、その資料性の高さと圧倒的なボリュームだ。アメリカやイギリス、日本といった主要国はもちろん、フランス、イタリア、さらにはポーランド、ハンガリー、チェコといった東欧諸国まで、世界24カ国から傑作ポスターが集められた。
掲載数はなんと550点以上。単に有名なデザインを並べるだけでなく、各国独自の解釈に基づいた多様なアートワークをオールカラーで楽しむことができる。特筆すべきは、本邦初公開となる貴重なアイテムの数々だ。
・『2001年宇宙の旅』や『猿の惑星』の日本版大型ポスター
・『エイリアン』のアメリカ版試作用アートワーク
・『ブレードランナー』のイタリア版超大型ポスター
・『砂の惑星』の日本版ポスター原画
これら歴史的に価値の高い資料が誌面を飾り、当時の宣伝手法やデザインの変遷を生々しく伝えている。
書店員たちが語る「手描き時代の熱量」
発売に際し、映画を愛する書店員たちからも熱いコメントが寄せられている。
紀伊國屋書店新宿本店の櫛田耕太氏は、デジタル技術が未発達だった時代、デザイナーたちの自由な裁量によって生まれた「過剰で独創的な表現」を絶賛。「掌には到底収まりきらない異常なまでの密度の濃さ」と表現している。
また、ヴィレッジヴァンガード下北沢店の長谷川朗氏は、特に東欧諸国のデザインに注目。映画の情報を断片的に得て描いたのではないかと思わせるほど個性が爆発したアートワークを「カウンターパンチ」と称した。
代官山 蔦屋書店のシネマコンシェルジュ、吉川明利氏は「AIが何でも行ってしまう現代、夢そのものが消え失せてしまったと思いませんか?」と問いかける。本書に収められたポスターは、すべてが「人の手」によって作られた証明であり、ページをめくるごとに失われつつあるSFのレガシー(遺産)が襲いかかってくると語っている。
編著者・井上由一氏による情熱の結晶
本書の編著を務めるのは、映画配給の第一線で活躍しながら、世界的な映画ポスターコレクターとしても知られる井上由一氏。これまでにも黒澤明やアラン・ドロンなどのポスター集を手掛けてきた同氏が、自身のネットワークを駆使して構築した究極のコレクションは、単なるカタログを超えた「映画へのラブレター」ともいえる仕上がりだ。
収録作品(一部抜粋)
『時計じかけのオレンジ』『惑星ソラリス』『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』『マッドマックス』『ブレードランナー』『E.T.』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『未来世紀ブラジル』『エイリアン2』『不思議惑星キン・ザ・ザ』ほか
スマホの画面で映画を消費する現代において、かつて映画館のロビーや街角で人々を魅了したポスターの力は、今なお色褪せない。SFという「夢」が最も熱かった時代の息吹を、ぜひその手で感じてほしい。
■【書籍情報】
書名: SF映画ポスター・コレクション '60s - '80s
編著: 井上由一
発売日: 2026年3月27日(金)
定価: 4,510円(本体4,100円+税)
仕様: A4変型/256頁/オールカラー
発行: 株式会社トゥーヴァージンズ