【12人の優しい日本人】アメリカ映画のパロディ!? 初期の三谷幸喜の傑作!

【12人の優しい日本人】アメリカ映画のパロディ!? 初期の三谷幸喜の傑作!

三谷幸喜脚本の初期の映画といえば、監督も務めた『ラヂオの時間』を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、そこから遡ること6年、『12人の優しい日本人』という映画があったのを知る人は少ないかもしれません。今回は、ネタバレにならない程度に、本映画の見どころについてご紹介します。


三谷幸喜の初期の作品『12人の優しい日本人』

今や日本で知らない人はいないであろう、日本で最も有名な脚本家と言っても過言ではない「三谷幸喜」。彼の代表作はその時代ごとに数多とあり、彼を知るきっかけとなった作品もまた人それぞれでしょう。



では、みなさんは、三谷幸喜の存在を知ったのはいつ頃でしょうか?



『古畑任三郎』?

『王様のレストラン』?

『ラヂオの時間』?



もっと前、

『振り返れば奴がいる』

の頃には知っていたという方もたくさんいるでしょう。



今回ご紹介する『12人の優しい日本人』は、そのさらに前、『やっぱり猫が好き』の直後となる、1991年12月14日に公開された "映画" です。1997年の大ヒット映画『ラヂオの時間』はデビュー作ではなく、6年も前に三谷脚本の映画があったのです。



元々は、自身が主催する劇団、東京サンシャインボーイズのために書き下ろした戯曲で、劇団が舞台公演を行った後、映画化されました。原作・脚本は三谷幸喜監督は中原俊

名画『十二人の怒れる男』との関係

『12人の優しい日本人』と聞いて、アメリカの歴史的名画『十二人の怒れる男(原題:12 Angry Men)』を思い浮かべた方は少なくないでしょう。それもそのはずで、実は『12人の優しい日本人』は『十二人の怒れる男』へのオマージュとして作られた映画なのです。



『十二人の怒れる男』といえば、アメリカの陪審員制度を題材にし、一室で陪審員同士が激論を交わす様子と変わりゆく評決を描いた密室劇の最高傑作。以下は、冒頭の内容です。



殺人事件の裁判で、証拠や証言は被告人が犯人だと印象付けるものばかり。陪審員満場一致で有罪になるかと思いきや、一人だけが無罪を主張。その一人を説得すれば有罪が確定するのですが、、、



その無罪を主張した主人公を演じたのが名優、ヘンリー・フォンダです。



一方、アメリカと違って、日本には陪審員制度はありません。映画が公開された1991年は、裁判員制度すら影も形もない頃です。『12人の優しい日本人』は、「もし日本に陪審員制度があったら?」「もし日本人が陪審員になったら?」という仮定のもと、日本人の特徴を踏まえて陪審員の様子をおもしろおかしく描いたコメディ映画です。



以下は、『12人の優しい日本人』の冒頭の内容です。



殺人事件の裁判で、陪審員は満場一致で無罪を主張。と思いきや、突然、一人の陪審員が「話し合おう」と言って有罪を主張し始めます。その一人を説得すれば無罪が確定するのですが、、、

『12人の優しい日本人』 vs. 『十二人の怒れる男』

では、この二つの映画を比較してみましょう。

(ネタバレはできるだけ少ない範囲にとどめます。)



まず、最大の違いが、映画の冒頭にあります。



『12人の優しい日本人』

 一人を除いて全員が無罪を主張




『十二人の怒れる男』

 一人を除いて全員が有罪を主張




陪審員制度は全員一致が大原則。いずれの映画も、一人を説得すれば全員一致となる状況ですが、それが「有罪」か「無罪」かでは、その後の展開が大きく変わってきます。実際には、無罪(有罪)を主張する一人の陪審員が、有罪(無罪)を主張する残り多数の陪審員を次々に説得していくのですが、そこからもう一波乱あるのが三谷脚本です。



そして、もう一つの大きな違いが、『12人の優しい日本人』コメディタッチで描かれているところ。『十二人の怒れる男』は、ただただシリアスな映画ですが、『12人の優しい日本人』は話し合いは真面目ながら、そこに日本人らしい優柔不断な様子、付和雷同する様子を付加して、おもしろおかしく描いているのが特徴です。

『12人の優しい日本人』の出演者

では、映画『12人の優しい日本人』の出演者を見てみましょう。

役名 俳優
陪審員1号(40歳の体育教師・陪審員長) 塩見三省
陪審員2号(28歳の会社員) 相島一之
陪審員3号(49歳の喫茶店店主) 上田耕一
陪審員4号(61歳の元信用金庫職員) 二瓶鮫一
陪審員5号(37歳の庶務係OL) 中村まり子
陪審員6号(34歳のセールスマン)
大河内浩
陪審員7号(33歳のタイル職人) 梶原善
陪審員8号(29歳の主婦) 山下容莉枝
陪審員9号(51歳の歯科医) 村松克己
陪審員10号(50歳のクリーニング店おかみ) 林美智子
陪審員11号(30歳の売れない役者) 豊川悦司
陪審員12号(30歳の大手スーパー課長補佐) 加藤善博
守衛 久保晶
ピザ屋の配達員 近藤芳正

東京サンシャインボーイズの一員で、舞台にも出演した相島一之梶原善は、それぞれ舞台と同じ役柄の陪審員2号、陪審員7号を演じました。相島一之が演じた陪審員2号こそ、最初に話し合いを持ちかけて有罪を主張する曲者の役柄です。



一番の注目は、陪審員11号を演じた豊川悦司。まだ人気が出る前の知名度も低かった頃で、最近この映画を視聴した筆者の周辺では、最後まで "トヨエツ" と気づかなかった人が何人かいました。彼の役柄を説明すると、完全なネタバレになってしまうので割愛しますが、最後に一番美味しいところを持って行ったのは "トヨエツ" の陪審員11号かもしれません。

『12人の優しい日本人』はVODで視聴可能!

本記事執筆時点の2024年10月現在、『12人の優しい日本人』は、各種VODサービス(YouTube、Prime Video、U-NEXTなど)で視聴できます。『十二人の怒れる男』も、Prime Videoで視聴できそうです。



いずれも未視聴で、両者を比較されたい方は、『十二人の怒れる男』の方を先に視聴することをおすすめします。理由は、両者の視聴後にわかります。(笑)

『12人の優しい日本人』

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