ビートルズ来日の際、唯一の裏方サポート役を果たした加山雄三とすき焼き

ビートルズ来日の際、唯一の裏方サポート役を果たした加山雄三とすき焼き

世界中を人気の渦に巻き込んだザ・ビートルズ。1966年には初来日を実現して、日本の若者たちを熱狂させました。来日当時、ビートルズと接見できたのは、音楽評論家の星加ルミ子さんやファンクラブの会長くらいで、ごく限られた関係者だけに限られていました。特に、メンバー全員と一緒に食事をした日本人というのは、唯一加山雄三だけだったのです。


加山雄三

若大将として永遠の青年として有名な加山雄三さん、本名は池端直亮(いけはたなおあき)で、神奈川県茅ヶ崎市出身。歌手であり俳優として今ではレジェンド的な存在です。タレント業の他、音楽家兼ギタリスト兼ピアニスト兼ウクレレ奏者兼画家などなど、とても多彩な才能を発揮して活躍されています。

勲等の旭日小綬章も叙勲されているんですよ。ニックネームは、当然ながら若大将。作曲家としては弾厚作(だんこうさく)の名を用いています。自曲の作詞作曲から他のアーティストへの提供曲、更にはクラシックの制作まで行うほどの実力者です。

公益財団法人日本セーリング連盟応援団長も努めていますが、ただ自慢の光進丸が火災によって失われてしまったのが残念でなりません。やっぱり加山雄三さんといえば、海が良く似合うし今でもかっこいいですよね。

ビートルズに会わないか

ザ・ビートルズが来日した時、加山を誘ったのは、当時東芝レコードにおいてビートルズを担当していた高嶋弘之氏だった。高嶋さんは、加山雄三さんに「ビートルズに会いに行かないか?」と何とも光栄で魅力的なお誘いをしたのでした。

そんな考えられない素晴らしいお誘いだったのですが、加山雄三さんは「考えさせてくたさいれ」と言って、家に帰ってしまったそうです。そして、家で一番信頼しているおばあちゃんに相談したのだとか。とりあえず、加山さんがおばあちゃんに「ビートルズって知ってる?」と聞いたのです。

するとおばあちゃんは、「私を誰だと思ってるの! おかっぱ頭の4人組だろ。」ってなんともお年寄りらしい返事。そして逆に「それがどうしたの?」と聞かれた加山さんは、「会わないかと誘われたんだけど…。」と言うと、「バカだね、将来きっと役にたつから会っておいで」とのお言葉に、加山さんは急いで高嶋さんに連絡をしたそうです。おばあちゃんの力は偉大ですね。

アポなしで入室

画像はイメージです

そして加山雄三さんはアポなしも気にせず、ビートルズの4人が泊まっていた東京ヒルトンホテルに向かいます。当時は、関係者さえ簡単には入れない厳重警戒だったのですが、「どうも加山雄三です」といって難なく19階のスウィートに到着します。

チャイムを鳴らすと、最初に現れたのは高下駄を履いたリンゴ・スターとポール・マッカートニーでした。入室後の加山さん、ビートルズの4人と意気投合して、通訳もなしで語り合ったそうです。ともに輝くオーラを放つアーティスト、すぐにお互いが理解できたのでしょうね。

その後のスイートルームでは、ビートルズの「ラバーソウル」や加山雄三の「ハワイの休日」のレコードを聴いたりして、和やかな時間を過ごしていました。そんなときビートルズの誰かが、お腹が減ったから日本の料理が食べたいと言い出したそうです。

すき焼きパーティー

当時の加山さんは、若大将シリーズの中ですき焼き屋の息子役をしていたこともあり、機転を利かしてルームサービスですき焼きを注文したのです。そしてすき焼きパーティが始まり、調理は全て加山さんが行いメンバーにふるまいました。生卵につけて食べることも、加山さんが教えたそうです。

その際、ジョン・レノンが椅子をどかせて、日本では床に正座して座るんだよねといって座り込んだそうです。加山さんが、そんなことしたら行儀が悪いんだよって言っても、ジョンは日本人の気持ちを味わいたいからこうしたいんだって言っていたとか。

和気あいあいのすき焼きパーティも団らんのうちに終了。この時オフィシャル・カメラマンのロバート・ウィテカーさんもいたので、最後に加山さんはビートルズの4人と一緒に記念撮影をして、部屋をあとにしたそうです。何とも素晴らしい、誰もがうらやむ素敵な体験をしたのですね。

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