【逆三冠馬!?】ナリタブライアン三冠の裏の記録がすごかった!サムソンビッグ

【逆三冠馬!?】ナリタブライアン三冠の裏の記録がすごかった!サムソンビッグ

ナリタブライアンのクラシック三冠で盛り上がった1994年。実はその裏で、逆三冠馬(最下位の三冠馬)になれそうだった競走馬がいたことはあまり知られていません。皐月賞ブービー、ダービー最下位、菊花賞最下位。最低人気で重賞を勝ってしまったこともある競走馬。その馬こそサムソンビッグです。


ナリタブライアンに先着!

サムソンビッグは、1991年4月14日、

父 サクラショウリ 母 シュンイチオーカン

の間に誕生した鹿毛牡馬で、生産はサムソン牧場です。



デビューは、1993年7月の3歳新馬戦。幸先よく、2着に5馬身差をつけて圧勝します。2戦目の札幌3歳ステークス(GIII)は惨敗しますが、4戦目の函館3歳ステークス(GIII)は、2着に好走。このレースではあのナリタブライアンが6着に敗れており、つまり、未来の三冠馬との初対決で、サムソンビッグが先着したことになります。



しかし、その後は、デイリー杯3歳ステークス(GII)が15頭立ての14着、朝日杯3歳ステークス(GI)が14頭立ての13着といずれもブービーに惨敗。不甲斐ないレースが続きました。

最低人気なのに勝ってしまった・・・

1994年の明け4歳。初戦のシンザン記念(GIII)もまた、12頭立ての11着とブービー負けを喫します。これで、重賞は3戦連続ブービー。不名誉な記録を更新してしまいます。



続く重賞は、きさらぎ賞(GIII)。期待を裏切り続けた結果、ついに11頭立ての11番人気にまで落ちぶれることに。ところが、レースはまさかの展開を見せます。



逃げを打ったのは、なんとサムソンビッグ。しかも驚異的なスローペースで、800メートル通過が51秒、1000メートル通過が1分5秒、1200メートル通過が1分18秒。ここまで遅いと、さすがのサムソンビッグも最後のスタミナを残していました。上がり3ハロンは36秒0。レース中、最も速いタイムを計時します。最後はイイデライナーとタイキデュークに詰められますが、アタマ差で逃げ切り勝ちを収めました。



走破タイムは、なんと2000メートル2分7秒4!良馬場でしかも重賞でこのタイムは、なかなかお目にかかれない珍記録でしょう。単勝の配当は17,200円で、これは当時、サンドピアリスのエリザベス女王杯に次ぐ2番目の重賞高配当でした。

もう少しで逆三冠馬!?

皐月賞・・・18頭立て17着

重賞初勝利を飾ったものの、その後は元に戻り、皐月賞トライアルのスプリングカップ(GII)は見事にブービー負け。結局、本番の皐月賞(GI)では、18頭立ての14番人気まで評価を下げます。



レースは、サクラエイコウオーが逃げる淀みないペースながら、道中は中段の好位置につけます。4コーナーまでは何とかついていきますが、最後の直線で失速。ナリタブライアンが先頭に抜け出す一方、サムソンビッグはどんどん失速し、最後は17着のブービー負け。トップから約16馬身も離される惨敗でした。



18頭立て14番人気17着。この結果が、惜しくも逆三冠を阻むことになろうとは、この時誰が予想したでしょうか。

日本ダービー・・・18頭立て18着

次は、日本ダービー(GI)。さらに人気は下がり、とうとう18頭立ての18番人気まで落ちてしまいました。



レースは、内枠の利を活かし、先行して3番手につけます。3コーナーまでは好位を維持しますが、そこからズルズル後退。最後の直線では、残り400メートルの標識手前で、最後尾まで下がってしまいます。ゴール時には、先頭ナリタブライアンから50馬身以上も離される大敗。一方、17着のメルシーステージとは、惜しくもハナ差の18着でした。



18頭立て18番人気18着。圧倒的一番人気が圧勝し、最も人気のない馬が最下位となる、正に人気通りの決着となりました。

菊花賞・・・15頭立て15着

秋は、一度もステップレースを使うことなく、いきなり菊花賞(GI)に出走します。もちろん前走からの加点要素はなく、15頭立ての15番人気と低評価のままでした。



レースは、ダービー同様、3番手の好位につけます。スローペースで早めに好位につけられたものの、後半はスタミナがなく、3コーナーを過ぎた頃から後退し始めます。最後の直線では、他の馬が伸びる中、一頭だけ足が動かず。結局、トップから40馬身程の差をつけられただけでなく、14着のスティールキャストからも12馬身近い差をつけられ、再度の大敗を喫します。



15頭立て15番人気15着。最下位の大本命が、着順でも着差でも見事に結果を残すレースとなりました。

障害→馬術部→消息不明

その後も、ほとんどのレースが最下位かブービー。結果が残せず、明け6歳の1996年から障害に転向します。



障害では、初戦の未勝利戦を見事勝利。しかし、その後は一度しか勝てず、翌1997年7歳で引退しました。



引退後は去勢され、故郷のサムソン牧場に帰った後、1998年から2008年まで筑波大学体育会馬術部にて、馬術大会の競技馬として活躍します。その後、栃木県の那須トレーニングファームに所属した記録は残っていますが、現在の消息は不明です。



人気通りの大敗で、逆三冠馬にあと一歩だったクラシックレース。しかも、着差も圧倒的で、見事な負けっぷりでした。一方で、展開に恵まれ、最低人気で運良く勝ってしまった、きさらぎ賞。フロック勝ちの典型のようなレースでした。サムソンビッグは、今どこで何をしているのでしょうか。弱かったのに、今でも気にかけてしまう不思議な一頭です。

サムソンビッグ

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