オバタリアン

オバタリアンは堀田かつひこさんの四コマ漫画のタイトルです。おばさんのマナーの憂いをかいた投書で「オバタリアン」という言葉を使ったことから、一気に知名度を上げました。あつかましい中年女性のことをオバタリアンと呼ぶようになりました。今だったら「おばさん」だけでもなかなか言えないのに、こんな言葉を付けたらすぐに問題になりそうですよね。時代を感じる流行語ですね。
オバタリアンというのは、「おばさん」と1986年公開のホラー映画『バタリアン』を混ぜ合わせた造語。バタリアンというのは大群という意味です。
1989年新語・流行語大賞で流行語部門の金賞にも選ばれました。
オヤジギャル
オヤジギャルとは、OLをテーマにした中尊寺湯津子さんの漫画「スイートスポット」から生まれた言葉です。
仕事が終わればビールを飲む、栄養ドリンクを飲んで頑張る、駅のホームでゴルフの素振りをする、麻雀や競馬が好きなど、オヤジ化した女性を指す言葉。
オヤジ化したといっても今では普通のこともありますね。2010年代は男性化した女性を「おじさん女子」などと読んだりもしましたが、オヤジギャルはおじさんであってもあくまでギャルで、少しかっこいい存在のような感じがしました。
1990年代の新語・流行語対象に選ばれた言葉です。
コギャル
コギャルは1990年代に流行した言葉です。コギャルの語源には諸説あり、「若く見えるギャル」「かっこだけギャル」「高校生のギャル」などがあります。広く流行した時には高校生のギャルという言葉で使われることが多かったのではないでしょうか。
派生語として、中学生のギャルを「孫ギャル」と読んだりもしました。
金髪に近い茶髪で肌の色は黒、(ガングロ)というのがコギャルの特徴でしたね。ルーズソックス、ポケベル、PHS、プリクラなどの流行を生み出しました。「チョベリバ」「MK5」などの流行語も生まれましたね。
筆者は当時高校生でしたが最初はみな「コギャル」と言っていましたが、急に「コギャルじゃなくてギャルだ」となって、「コギャル」という言葉はだんだん使わなくなっていきました。
ヤマンバギャル
コギャル、ギャルからの流れで1999年にはヤマンバギャルも登場しました。
ガングロはそのまま、髪の毛の色がさらに薄くなり、白い口紅とアイラインが特徴的でした。
コギャルやギャル、それに近い恰好は8割ほどの女子高生が取り入れていましたがさすがにヤマンバまでする人は1割程度だったと思います。クラスに1人、2人という感じですね。
さらに2003年からは派生して「マンバ」と呼ばれる人たちが登場。ヤマンバよりもさらに色が黒く、ゴングロ、バチグロという肌で、フェイスペインティングのような白いメイクをしていました。
2012年くらいまで存在していましたが時代は白ギャルに変わっていっていたので、かなりの少数派でしたね。
〇〇ラー
コギャルブームとほぼ同時期に流行した言葉です。
ミニスカート、厚底ブーツ、茶髪の長い髪という安室奈美恵さんのファッションを模倣するアムラーという言葉が流行しました。安室さんは初代ギャルのカリスマとも呼ばれていましたね。
元々、シャネルが好きな人のことをシャネラーと呼んでいたことに由来しています。
それから芸能人に似た格好をしている人をしのラー(篠原ともえさん)、パフィラー(PUFFY)、マツラー(松たか子)などの言葉も存在していましたが圧倒的にアムラーが多かったですよね。
その後、ハローキティブームの時には「キティラー」。さらにマヨネーズが好きな人を「マヨラー」と言ったり、派生する言葉がたくさん生まれ、今なお存在していますね。
負け犬
2003年に酒井順子さんが出版した「負け犬の遠吠え」から、「負け犬」という言葉が流行しました。30歳以上で、子供がいない未婚女性のことを指す言葉です。2000年代に入っても結婚・出産が女の幸せという価値観が強かったことが分かりますね。
これに対して、結婚している人や子供がいる人を「勝ち犬」と読んだりもしましたね。「負け犬の遠吠え」は2005年の新語・流行語大賞に選ばれました。
ただ、負け犬は仕事を一生懸命していて婚期を逃した女性という意味合いが強かったような気がします。
同時期に連載されていたひうらさとるさんの「ホタルノヒカリ」では仕事はそこそこ、20代で恋愛を放棄して家でダラダラしているのが好きという「干物女」が登場しています。言葉としてはそこまで流行していませんが個人的には干物女の方がしっくりきました。
美魔女

「美魔女」とはファッション雑誌『美STORY/美ST』で2008年頃登場した言葉です。「魔法をかけたかのように美しい」という中年以上の女性を指す言葉です。
2010年に同誌が「国民的美魔女コンテスト」を行い、テレビなどでも取り上げられて知名度がアップし、一般的に使われるようになりました。
『美STORY』では「年齢という言葉が無意味なほどの輝いた容姿」「経験を積み重ねて磨かれた内面の美しさ」「いつまでも美を追求し続ける好奇心と向上心」「美しさが自己満足にならない社交性」というのが美魔女の定義としています。美しすぎて年齢不詳な人が多いですよね。
それにしても、中年女性を表す言葉がオバタリアンから美魔女に(同じ人たちではないですが)に変わっているというところに時代の変化を感じますね。