あなたに夢中
田中好子だ。スーちゃんだ。スーちゃんと言えばキャンディーズ。そのキャンディーズの結成は1972年で、デビュー曲の「あなたに夢中」がリリースされたのが翌年1973年のことでした。
スーちゃんは、1956年4月8日の生まれですからデビュー当時は17才だったんですねぇ。まさかスーちゃんをご存じない方がいらっしゃるとは思えませんが、下の動画のセンターで歌っているラブリーな女の子が彼女です。
好きだったなぁキャンディーズ。大好きだったよスーちゃん!それにしても、改めて聴くとイイ曲ですよねぇ「あなたに夢中」。作詞:山上路夫、作曲:森田公一です。森田公一、いい仕事してるなぁ。
ところで皆さん、初めてスタジアムコンサートを行った日本の女性ミュージシャンは誰かご存じですか?そうです。意外な感じもしますがキャンディーズなんですよね。
キャンディーズは惜しまれながらも1978年4月4日、後楽園球場に5万5千人を集めてファイナルカーニバルが行われ、4年半の活動に終止符を打ち芸能界から引退してしまします。
土佐の一本釣り
「普通の女の子に戻りたい」ってことでキャンディーズは解散。メンバーはそれぞれ普通の女の子に戻ったのですが、やっぱり普通じゃない女の子に戻りたいということでスーちゃんとランちゃんは1980年に芸能界へ復帰(ミキちゃんは1983年に復帰しています)。
復帰後は女優として新境地を開くことになったスーちゃん。ファンとしては、またあの笑顔が見れるということで大喜びしたものです。
初の出演作品は1980年のテレビドラマ「虹子の冒険」です。
映画となると同じく1980年の「土佐の一本釣り」。ヒロイン八千代の役でした。
土佐の一本釣り
この作品、監督は前田陽一です。前田陽一と言えば、カルト映画として人気の「進め!ジャガーズ 敵前上陸」で知られているのですが、まぁ、カルトなだけに一般的にはあまり知られているとは言い難いですね。
むしろテレビドラマで監督を務めた「新・必殺仕事人」や「新・必殺仕舞人」、もしくは「赤かぶ検事奮戦記」の方が作品としては知られていると思います。
熱演、そういっていいでしょうね。スーちゃん頑張ってます。そしてやっぱり笑顔が最高ですよね。
女優としてリスタートしたスーちゃんですが、実は復帰後シングルとアルバムを1枚づつ発表しているんですよね。上の動画のBGMに使われている「誘って LOVER BOY」は唯一のソロ・アルバム「好子」に収録されています。
「誘って LOVER BOY」はシングルにはなっていないのですがいい曲ですよ。作詞、作曲は「どうぞこのまま」で知られる丸山圭子。流石の出来栄えです。
カボシャール
1984年1月21日 、正月ボケがまだ残ってる寒い日にホットなニュースが飛び込んできました。スーちゃんのソロデビュー曲が発売されたんです。
待望のといっていいでしょうよ。作詞は与詞古 、作曲は斎藤ノブという通好みな人選による「カボシャール」がそれです。因みにこのコンビは中森明菜の「Dreaming~予感」という素晴らしい曲をモノにしています。
カボシャール
当時はカボシャール?なんじゃいそりゃ?なんちゅうタイトルをつけよるんじゃい!と思った方が多数いたのではないかと思います。いや、今でもいるのではないでしょうかね(特に男)?
聞きなれない言葉ですが「カボシャール」という有名な香水があるそうで、フランス語で「強情っぱり」という意味だそうですよ。
いつの間にやら大人になったんだなぁと思わずにはいられない映像、そして曲ですね。アルバム「好子」の冒頭を飾る曲でもあります。
曲としては「誘って LOVER BOY」の方がヒット性があるように思えますが、「カボシャール」をシングルにしアルバムの1曲目に持ってきたことで大人の女へイメージチェンジするんだという意図がはっきりと見て取れます。それ、成功したと思いますね。「誘って LOVER BOY」はいい曲ですけどキャンディーズのイメージが残ってますもんね。
揖保乃糸
アイドル歌手から女優に転身し見事成功したスーちゃん。90年代に入るころにはすっかり女優。貫禄すら漂うほどに。もう気安くスーちゃんとは呼べないお年頃ですが、あの親しみやすい笑顔のせいでしょうか、田中好子はいくつになってもスーちゃんなんですよね。考えてみると、そこがまたスゴイですよね。誰からも愛されたお人柄というものでしょう。
広告業界はそんなスーちゃんを見逃すはずもなく多くのCMに登場しました。
中でも1992年から2011年4月までCMキャラクターと務めた「揖保乃糸」は印象深いです。
スーちゃんが癌により亡くなったのが2011年4月21日ですからね。亡くなるまで「揖保乃糸」のCMキャラクターを務めていたんです。スーちゃんもスゴイが揖保乃糸も偉いと思うぞ。
黒い雨
スーちゃんのヌードが拝めるという理由からではなく(いや、その理由がデカイのは事実)、1989年に公開された映画「黒い雨」こそが女優・田中好子の代表作でしょう。
素晴らしい作品です。そして田中好子が演技派女優としての地位を獲得したのはここからです。スーちゃんから田中好子へ。女優としての快進撃が始まるわけです。そう、ヌードは無駄ではなかった。
黒い雨
監督は日本を代表する巨匠・今村昌平。今村昌平というと「にっぽん昆虫記」「赤い殺意」「復讐するは我にあり」「ええじゃないか」。「楢山節考」と「うなぎ」で二度もカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞しています。
それにしても田中好子の演技は圧倒的。この作品で日本アカデミー賞、ブルーリボン賞、キネマ旬報賞、毎日映画コンクール、報知映画賞など主だった映画祭の主演女優賞を軒並み受賞しているのも納得です。
スーちゃんの癌が最初に見つかったのが1992年だそうで、実に19年間もの長きにわたって闘病を続けていたと言います。その間、周囲の人間に知られぬように治療を行い、女優としての活動を続けていたのですからスゴイの一言ですね。これは女優魂というよりも、気遣いだったように思われます。お人柄が偲ばれますよねぇ。
享年55かぁ、まだまだこれからというのに演劇界は惜しい女優を失ってしまいました。あの笑顔が見れないかと思うと残念でなりません。合掌。