世界観や物語の展開が『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』と似ていて、その強大なチカラが世間から危険視されるようになっていくところは同じですね。主人公のキャラクター性も似ていて、己の正義感に異常に固執するところは特にイメージが重なります。
つまり作品に込められた風刺・メッセージ性も酷似していることになり、『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』は、藤子-F-不二雄さんが生んだ日本版『ウォッチマン』といった見方もできると思います。
しかし、『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』が発表されたのは1970年代で、『ウォッチマン』よりも約10年早いコンテンツです。こうした事実から藤子-F-不二雄さんの天才ぶりを垣間見れるような気がします。
もう一人の主人公・片山の活躍ぶりも素晴らしい
句楽とは同期社員という間柄ながら、強大なチカラをもつ句楽を恐れています。
ある日、たまたま会社で顔を合わせてしまったことで、句楽から誘いを受け、断りきれず、家族の反対を押し切ってまで彼の家に向かうことになります。そこでウルトラ・スーパー・デラックスマンとしての苦悩を打ち明けられますが、身勝手な態度を改めようとしない句楽に対し、血に飢えた化物呼ばわりして、物語の結末では句楽に殺されかけてしまいます。
弱気なサラリーマンといった印象が拭えない片山ですが、最後に、句楽に反発する姿勢をみせるところは少し格好良いですね。
OVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』のまとめ
藤子-F-不二雄さんによるヒーローものの作品ということで、やはり『パーマン』と比較してしまうOVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』。しかし、強大なチカラをもつことへの風刺を利かせたOVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』のストーリー性は、『パーマン』とは一線を画すものといえるでしょう。
『スーパーマン』『ウォッチメン』など、有名なアメコミ作品に類似したところが散見されるのも面白いと思います。そして、平凡なサラリーマンである片山の活躍ぶりや優しさも本編の見逃せないところです。
記事内には本編動画を掲載していますので、この機会にぜひご覧になって、その面白さをご自身の目で確かめてみてください。皮肉・風刺を利かせた内容は、どことなく『笑ゥせぇるすまん』のイメージに近いような気がします。
