OVA版【ウルトラ・スーパー・デラックスマン】藤子-F-不二雄の短編SF(少し不思議)アニメ!

OVA版【ウルトラ・スーパー・デラックスマン】藤子-F-不二雄の短編SF(少し不思議)アニメ!

天才漫画として『藤子不二雄』の名前を二分した藤子-F-不二雄さん。そんな彼が生み出した読み切り短編マンガ『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』は、パーマンを思わせるヒーローものと思いきや、ダークヒーローの生き様を描いたものです。今回の記事では、OVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』に焦点を当てて、その本編動画やストーリー・魅力などを振り返っていきます。


『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』とは?

『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』

『カイケツ小池さん』

今回の記事で紹介するのは、OVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』。原作コミックを忠実にアニメ化したもので、藤子-F-不二雄のSF(少し不思議)短編シアター第3巻に収録されたコンテンツとなります。

OVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』

当時、発売されたVHSビデオは『ミノタウルスの皿』も同時収録されていて、お得感のある商品となっています。

OVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』の本編動画・ストーリー

物語の主人公・句楽兼人(くらくけんと)は、日星商事に勤務するサラリーマン。しかし、それはあくまで世を忍ぶ仮りの姿で、その正体は弱者を助けて悪者を退治する正義の味方ウルトラ・スーパー・デラックスマンだったのです。

もともと真面目で正義感の強い性格でしたが、度胸はなく、社会の悪を見て見ぬふりして過ごす平凡なサラリーマンでした。ある日、句楽は不死身の肉体に、怪力・透視・飛行といった特殊能力を天から与えられ、スーパーヒーローとして活躍するようになります。
そんな句楽の凄まじいパワーに世間は恐れるようになり、彼の存在は次第に社会から孤立していくのでした。そして、誰も抑制できない句楽のチカラに、その正義は歪み、やがて身勝手な理屈を振りかざすだけの暴君に変わっていくのでした…

OVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』の魅力とは?

子供向けアニメ『パーマン』とは違うヒーロー像

しかし、『パーマン』は小学生を主人公にした子供向けコンテンツといった色が強いですが、『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』は強大なチカラをもつ者への皮肉を込めた内容となっていて、明らかに大人向けのコンテンツとなっています。
抑制できないチカラは、やがて狂気に変わっていくという風刺が強烈すぎて、子供には少し刺激が強いと思います。短編アニメながらメッセージ性が明確で、反面教師というような側面をかなり強調しているところが面白いです。

アメコミ屈指の名作『ウォッチメン』との類似性

世界観や物語の展開が『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』と似ていて、その強大なチカラが世間から危険視されるようになっていくところは同じですね。主人公のキャラクター性も似ていて、己の正義感に異常に固執するところは特にイメージが重なります。
つまり作品に込められた風刺・メッセージ性も酷似していることになり、『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』は、藤子-F-不二雄さんが生んだ日本版『ウォッチマン』といった見方もできると思います。
しかし、『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』が発表されたのは1970年代で、『ウォッチマン』よりも約10年早いコンテンツです。こうした事実から藤子-F-不二雄さんの天才ぶりを垣間見れるような気がします。

もう一人の主人公・片山の活躍ぶりも素晴らしい

句楽とは同期社員という間柄ながら、強大なチカラをもつ句楽を恐れています。
ある日、たまたま会社で顔を合わせてしまったことで、句楽から誘いを受け、断りきれず、家族の反対を押し切ってまで彼の家に向かうことになります。そこでウルトラ・スーパー・デラックスマンとしての苦悩を打ち明けられますが、身勝手な態度を改めようとしない句楽に対し、血に飢えた化物呼ばわりして、物語の結末では句楽に殺されかけてしまいます。
弱気なサラリーマンといった印象が拭えない片山ですが、最後に、句楽に反発する姿勢をみせるところは少し格好良いですね。

OVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』のまとめ

藤子-F-不二雄さんによるヒーローものの作品ということで、やはり『パーマン』と比較してしまうOVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』。しかし、強大なチカラをもつことへの風刺を利かせたOVA版『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』のストーリー性は、『パーマン』とは一線を画すものといえるでしょう。
『スーパーマン』『ウォッチメン』など、有名なアメコミ作品に類似したところが散見されるのも面白いと思います。そして、平凡なサラリーマンである片山の活躍ぶりや優しさも本編の見逃せないところです。
記事内には本編動画を掲載していますので、この機会にぜひご覧になって、その面白さをご自身の目で確かめてみてください。皮肉・風刺を利かせた内容は、どことなく『笑ゥせぇるすまん』のイメージに近いような気がします。

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藤子・F・不二雄 1976年 OVA

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