第12回日本アカデミー賞
第12回日本アカデミー賞は1989年3月17日に東京プリンスホテルで開催された日本アカデミー賞発表・授賞式である。司会は武田鉄矢とかたせ梨乃。
最優秀作品賞『敦煌』
『敦煌』は日本・中国の合作映画。井上靖の同名小説を原作に、佐藤純彌監督が映画化した作品である。
11世紀の中国でシルクロードを渡り西夏へ向かった趙行徳が、戦乱の中で文化・文明を守り通す姿を描いた歴史大作。実物大の“敦煌城”のセットが話題を呼んだ。

敦煌
優秀作品賞は以下の通り。
異人たちとの夏
ダウンタウンヒーローズ
華の乱
優駿
最優秀監督賞:佐藤純彌『敦煌』
佐藤 純彌監督は東京都出身。東京大学文学部を卒業して東映へ入社し、東京撮影所のスタッフとしてキャリアを積んだ。1963年に『陸軍残虐物語』(主演:三國連太郎)で監督デビューした。
テレビアニメ作品『魔法使いサリー』では、佐藤純弥名義で脚本を担当している。

佐藤純彌
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優秀監督賞と作品は以下の通り。
伊丹十三(マルサの女2)
大林宣彦(異人たちとの夏/日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群)
深作欣二(華の乱)
山田洋次(男はつらいよ 寅次郎物語/ダウンタウンヒーローズ)
最優秀主演男優賞:西田敏行『敦煌』
西田敏行は福島県郡山市出身。映画『釣りバカ日誌』シリーズで有名である。1986年に映画『植村直己物語』で主演をつとめ、これが自身にとって大きな転機となった作品だと話している。
NHK大河ドラマに数多く出演しており、1984年『山河燃ゆ』、1990年『翔ぶが如く』、1995年『八代将軍吉宗』、2000年『葵 徳川三代』の主演4回は大河ドラマでの最多記録である。
『敦煌』でも長期の現地ロケに参加し、一時は「極地俳優」の異名をとっていた。

西田敏行
優秀主演男優賞は以下の通り。
風間杜夫(異人たちとの夏/華の乱)
陣内孝則(疵/極道渡世の素敵な面々)
ハナ肇(会社物語)
松田優作(嵐が丘/華の乱)
最優秀主演女優賞:吉永小百合『つる-鶴-』『華の乱』
吉永小百合は東京都渋谷区出身。夫はフジテレビディレクター、共同テレビ社長、会長、取締役相談役を歴任した岡田太郎。1962年には高校在学中だったが『キューポラのある街』(浦山桐郎監督)にヒロイン役で出演して注目を浴びた。
また、歌手としても活動しており、橋幸夫とのデュエットで歌唱した『いつでも夢を』は30万枚の大ヒットになった。
『つる-鶴-』ではつる役、『華の乱』では与謝野晶子役をつとめている。

吉永小百合
優秀主演女優賞は以下の通り。
斉藤由貴(「さよなら」の女たち/優駿)
松坂慶子(女咲かせます/椿姫)
宮本信子(マルサの女2)
安田成美(バカヤロー! 私、怒ってます/マリリンに逢いたい)
最優秀助演男優賞:片岡鶴太郎『異人たちとの夏』『妖女の時代』
片岡鶴太郎は東京都荒川区出身。モノマネやリアクション芸などを中心としたお笑いタレントとして知られるが、俳優としても活躍する。
『異人たちとの夏』では原田英吉役で出演し、 第62回キネマ旬報ベスト・テン 助演男優賞や第31回ブルーリボン賞 助演男優賞、第13回報知映画賞 助演男優賞など数々の賞を獲得した。

片岡鶴太郎
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優秀助演男優賞は以下の通り。
緒形拳(華の乱/優駿/ラブ・ストーリーを君に)
川谷拓三(女咲かせます/つる-鶴-、母)
田中邦衛(この胸のときめきを/優駿/妖女の時代/TOMORROW 明日)
柳葉敏郎(四月怪談/ダウンタウンヒーローズ)
最優秀助演女優賞:石田えり『嵐が丘』『ダウンタウンヒーローズ』『華の乱』
石田えりは熊本県八代市出身。1981年の『遠雷』で主人公・永島敏行の妻役を演じ、日本アカデミー賞の主演女優賞と新人女優賞を受賞。1988年からは『釣りバカ日誌』シリーズで、主人公・浜ちゃん(西田敏行)の妻・みち子さん役を演じている。
2021年には、60歳で映画『G.I.ジョー: 漆黒のスネークアイズ』に出演し、ハリウッドアクションデビューを果たす。

石田えり
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優秀助演女優賞は以下の通り。
秋吉久美子(異人たちとの夏/男はつらいよ 寅次郎物語)
池上季実子(華の乱)
樹木希林(郷愁/つる-鶴-)
名取裕子(異人たちとの夏/肉体の門/妖女の時代)