第69回アカデミー賞
第69回アカデミー賞は1997年3月24日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。

会場となったシュライン・オーディトリアム
第69回目のアカデミー賞授賞式は、 シュライン・オーディトリアムで行われた。
結果は、アンソニー・ミンゲラが不倫の愛を描いた『イングリッシュ・ペイシェント』が、作品賞、監督賞、助演女優賞を含む9部門を受賞した。
作品賞『イングリッシュ・ペイシェント』(The English Patient)
『イングリッシュ・ペイシェント』は、ブッカー賞を受賞したマイケル・オンダーチェの小説『イギリス人の患者』を原作とした映画。第二次世界大戦時代の北アフリカでの、戦争で傷を負った男と人妻との不倫を描いている。
キャッチコピーは、「あなたに抱かれて、地図のない世界へ」。

イングリッシュ・ペイシェント
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
ファーゴ
ザ・エージェント
秘密と嘘
シャイン
監督賞:アンソニー・ミンゲラ『イングリッシュ・ペイシェント』
監督賞も『イングリッシュ・ペイシェント』からの受賞。
アンソニー・ミンゲラは、1991年の『愛しい人が眠るまで』で映画監督デビューし、英国アカデミー賞脚本賞を受賞した。1999年の『リプリー』ではアカデミー脚色賞にノミネートされる。
2003年から2007年まで英国映画協会の会長をつとめていた。
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
ジョエル・コーエン(ファーゴ)
ミロス・フォアマン(ラリー・フリント)
マイク・リー(秘密と嘘)
スコット・ヒックス(シャイン)
主演男優賞:ジェフリー・ラッシュ『シャイン』
『シャイン』は、オーストラリアの実在するピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴットの半生を描いた映画。
ジェフリー・ラッシュはデイヴィッド・ヘルフゴット役で出演。ピアノ演奏は物語のモデルとなったピアニストのヘルフゴット自身が行なっており、手のみのシーンは本人のものである。
ラッシュはオーストラリア出身の俳優で、演技部門のアカデミー賞を受賞した最初のオーストラリア人。近年では『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのヘクター・バルボッサ役で世界に知られている。

ジェフリー・ラッシュ(Geoffrey Rush)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
トム・クルーズ(ザ・エージェント)
レイフ・ファインズ(イングリッシュ・ペイシェント)
ウディ・ハレルソン(ラリー・フリント)
ビリー・ボブ・ソーントン(スリング・ブレイド)
主演女優賞:フランシス・マクドーマンド『ファーゴ』
『ファーゴ』は、狂言誘拐をめぐる人間模様を描くサスペンス映画。
フランシス・マクドーマンドは、凶悪犯を追う臨月の警察署署長マージ・ガンダーソン役での受賞。2017年の『スリー・ビルボード』でもアカデミー主演女優賞を獲得する。
また、マクドーマンドはアカデミー賞、エミー賞、トニー賞を受賞して演劇の三冠王を達成する。

フランシス・マクドーマンド(Frances McDormand)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ブレンダ・ブレッシン(秘密と嘘)
ダイアン・キートン(マイ・ルーム)
クリスティン・スコット・トーマス(イングリッシュ・ペイシェント)
エミリー・ワトソン(エミリー・ワトソン)
助演男優賞:キューバ・グッディング・Jr『ザ・エージェント』
『ザ・エージェント』は、仕事の成功のために本当に重要なものは何かというテーマをもつ作品。スポーツ選手の契約を仕切るスポーツ・エージェントのジェリーが、利益ばかりを追求する会社のやり方に疑問を感じ提案書を提出したことでクビになり、独立して会社を興すというストーリー。
キューバ・グッディング・Jrは、ジェリーについていく落ち目のアメフト選手ロッド・ティドウェル役で出演した。グッディングは1991年の『ボーイズ'ン・ザ・フッド』で主人公トレ・スタイルズ役を演じて注目された。

キューバ・グッディング・ジュニア(Cuba Gooding Jr.)
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
ウィリアム・H・メイシー(ファーゴ)
アーミン・ミューラー=スタール(シャイン)
エドワード・ノートン(真実の行方)
ジェームズ・ウッズ(ゴースト・オブ・ミシシッピー)
助演女優賞:ジュリエット・ビノシュ『イングリッシュ・ペイシェント』
助演女優賞も『イングリッシュ・ペイシェント』からの受賞となった。
ジュリエット・ビノシュはフランス人女優で、1988年公開の『存在の耐えられない軽さ』からアメリカ映画に出演している。また、世界三大映画祭のすべての女優賞を受賞した数少ない女優でもある。
『イングリッシュ・ペイシェント』では、カナダ人看護師ハナ役を演じ、ベルリン国際映画祭銀熊賞 (女優賞)や英国アカデミー賞 助演女優賞、ヨーロッパ映画賞 女優賞などを受賞した。

ジュリエット・ビノシュ(Juliette Binoche)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ジョアン・アレン(クルーシブル)
ローレン・バコール(マンハッタン・ラプソディ)
バーバラ・ハーシー(ある貴婦人の肖像)
マリアンヌ・ジャン=バプティスト(秘密と嘘)