第65回アカデミー賞
第60回アカデミー賞は1993年3月29日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。

会場となったドロシー・チャンドラー・パビリオン
第65回目のアカデミー賞授賞式は、 ドロシー・チャンドラー・パビリオンで行われた。
結果は、クリント・イーストウッドによる西部劇『許されざる者』が、作品賞、監督賞、助演男優賞を含む4部門を受賞した。
また、日本人デザイナーの石岡瑛子が衣装デザイン賞を獲得した。
作品賞『許されざる者』(Unforgiven)
クリント・イーストウッドが製作、監督、主演を務めた本格ウエスタン映画。結婚して改心し、農夫になっていたかつての悪党が、再び伝説的な男になるさまを描いた作品になっている。
アカデミー作品賞を受賞した西部劇はほかに『シマロン』、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』があり、この『許されざる者』が3作品目となる。イーストウッドが、恩師のドン・シーゲル監督とセルジオ・レオーネ監督に捧げたことでも話題になった。

許されざる者
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
ア・フュー・グッドメン
ハワーズ・エンド
セント・オブ・ウーマン/夢の香り
クライング・ゲーム
監督賞:クリント・イーストウッド『許されざる者』
前述のとおり、クリント・イーストウッドは本作で製作、監督、主演を担っている。彼はこの映画の脚本を製作の10年以上前から買い取っていたが、自身が主人公のマニーと同じ年齢になるまで期間を置いて製作した。
1971年の『ダーティハリー』でのハリー・キャラハン役で知られるほか、様々な西部劇やアクション映画に出演。2004年の『ミリオンダラー・ベイビー』でも第77回アカデミー賞作品賞を受賞する。

クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
ロバート・アルトマン(ザ・プレイヤー)
マーティン・ブレスト(セント・オブ・ウーマン/夢の香り)
ジェームズ・アイヴォリー(ハワーズ・エンド)
ニール・ジョーダン(クライング・ゲーム)
主演男優賞:アル・パチーノ『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』は、イタリアの作家ジョヴァンニ・アルピーノの小説 Il buio e il miele (『闇と蜂蜜』)に、ボー・ゴールドマンが自身の経験を盛り込んで脚色した作品。
アル・パチーノは、盲目の元軍人フランク・スレード中佐を演じての受賞。瞳をまったく動かさないという高度な演技を見せた。ゴールデングローブ賞 主演男優賞 (ドラマ部門)も獲得している。

アル・パチーノ(Al Pacino)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
ロバート・ダウニー・Jr(チャーリー)
クリント・イーストウッド(許されざる者)
スティーヴン・レイ(クライング・ゲーム)
デンゼル・ワシントン(マルコムX)
主演女優賞:エマ・トンプソン『ハワーズ・エンド』
『ハワーズ・エンド』 はE・M・フォースターの1910年の同名小説を原作とした、イギリス・日本による映画。20世紀初頭のイギリスを舞台に、理想主義的なシュレーゲル家と現実的なウィルコックス家の2家族がウィルコックス家の別荘「ハワーズ・エンド」をめぐって争うストーリー。
エマ・トンプソンはマーガレット・シュレーゲル役で出演。彼女は脚本家としての顔ももち、1995年の『いつか晴れた日に』でアカデミー脚色賞を受賞する。

デイム・エマ・トンプソン(Dame Emma Thompson)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
カトリーヌ・ドヌーヴ(インドシナ)
メアリー・マクドネル(パッション・フィッシュ)
ミシェル・ファイファー(ラブ・フィールド)
スーザン・サランドン(ロレンツォのオイル/命の詩)
助演男優賞:ジーン・ハックマン『許されざる者』
助演男優賞も『許されざる者』からの受賞。
ジーン・ハックマンは悪役の保安官、リトル・ビル・ダゲット役で出演した。
ジーン・ハックマンは1971年の『フレンチ・コネクション』で"ポパイ"と呼ばれる ジミー・ドイル役を演じたことで有名。このときに第44回アカデミー主演男優賞を獲得している。

ジーン・ハックマン(Gene Hackman)
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
ジェイ・デヴィッドソン(クライング・ゲーム)
ジャック・ニコルソン(ア・フュー・グッドメン)
アル・パチーノ(摩天楼を夢みて)
デヴィッド・ペイマー(ミスター・サタデー・ナイト)
助演女優賞:マリサ・トメイ『いとこのビニー』
『いとこのビニー』は、熱血弁護士の活躍を描いたコメディ映画。落第歴6年の新米弁護士ヴィニーが、強盗殺人犯に間違われたいとこのビルを救うため、天才的メカニックの婚約者モナ・リサの力を借りながら奮闘するストーリー。
マリサ・トメイはモナ・リサ役で受賞し、今作が出世作となった。その後は2001年の『イン・ザ・ベッドルーム』と2008年の『レスラー』でアカデミー助演女優賞にノミネートされた。

マリサ・トメイ(Marisa Tomei)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
ジュディ・デイヴィス(夫たち、妻たち)
ジョーン・プロウライト(魅せられて四月)
ヴァネッサ・レッドグレイヴ(ハワーズ・エンド)
ミランダ・リチャードソン(ダメージ)