第62回アカデミー賞
第62回アカデミー賞は1990年3月26日に行われたアカデミー賞発表・授賞式である。

会場となったドロシー・チャンドラー・パビリオン
第62回目のアカデミー賞授賞式は、 ドロシー・チャンドラー・パビリオンで行われた。
結果は、白人の老婦人と黒人のドライバーの交流を描いた『ドライビング Miss デイジー』が、作品賞、主演女優賞、脚色賞を含む4部門を受賞した。
また、名誉賞には日本の映画監督、黒澤明が選ばれている。
作品賞『ドライビング Miss デイジー』(Driving Miss Daisy)
運転中に大事故を起こしかけた白人の老女デイジーは、専用のベテラン黒人運転手ホークをつけてもらうことになるというストーリー。二人の心の交流を描くヒューマンドラマになっている。
原作はアルフレッド・ウーリーの戯曲で、1987年度ピューリッツァー賞演劇部門を受賞した。映画化にあたり、ウーリーは本作品の脚本も担当している。

ドライビング Miss デイジー
作品賞のその他の候補作は以下の通り。
7月4日に生まれて
いまを生きる
フィールド・オブ・ドリームス
マイ・レフトフット
監督賞:オリバー・ストーン『7月4日に生まれて』
『7月4日に生まれて』は、ロン・コーヴィックの1976年の同名自伝的小説を映画化したもので、ベトナム戦争を扱った戦争映画。
主演のトム・クルーズは、役作りのために約1年間のあいだ車椅子に乗って生活したという。
オリバー・ストーンはベトナム帰還兵である自身の経験を活かした映画作りで評価されている。1986年のベトナム戦争映画『プラトーン』で有名になった。

オリバー・ストーン(Oliver Stone)
他の監督賞ノミネートと作品は以下の通り。
ウディ・アレン(ウディ・アレンの重罪と軽罪)
ケネス・ブラナー(ヘンリー5世)
ジム・シェリダン(マイ・レフトフット)
ピーター・ウィアー(いまを生きる)
主演男優賞:ダニエル・デイ=ルイス『マイ・レフトフット』
『マイ・レフトフット』は、生まれつきの脳性麻痺で左足しか動かせない画家クリスティ・ブラウンの同名の自伝を映画化したもの。
ダニエル・デイ=ルイスはクリスティ・ブラウン役での受賞。徹底した役作りを行い、車椅子に座ったまま生活し、撮影中は常に左足だけを使っていた。
2007年の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、2012年の『リンカーン』でもアカデミー賞主演男優賞するが、3回の同賞受賞は史上初である。

ダニエル・デイ=ルイス(Sir Daniel Day-Lewis)
主演男優賞のノミネートは以下の通り。
ケネス・ブラナー(ヘンリー5世)
トム・クルーズ(7月4日に生まれて)
モーガン・フリーマン(ドライビング Miss デイジー)
ロビン・ウィリアムズ(いまを生きる)
主演女優賞:ジェシカ・タンディ『ドライビング Miss デイジー』
ジェシカ・タンディは老齢のユダヤ系未亡人デイジーを演じた。当時80歳での受賞で、最高齢のアカデミー主演女優賞受賞記録になっている。
1991年の『フライド・グリーン・トマト』ではアカデミー助演女優賞にノミネートされる。タンディは80代以降に賞賛された珍しい女優である。

ジェシカ・タンディ(Jessica Tandy)
他に主演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
イザベル・アジャーニ(カミーユ・クローデル)
ポーリーン・コリンズ(旅する女/シャーリー・バレンタイン)
ジェシカ・ラング(ミュージックボックス)
ミシェル・ファイファー(恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ)
助演男優賞:デンゼル・ワシントン『グローリー』
『グローリー』は、アメリカ南北戦争に実在したアメリカ合衆国初の黒人部隊を描いた戦争映画。
デンゼル・ワシントンは黒人兵士トリップ役で出演している。本作でゴールデングローブ賞 助演男優賞も受賞した。
2002年には『トレーニング デイ』で、アフリカ系アメリカ人としてはシドニー・ポワチエに続いて2人目のアカデミー主演男優賞受賞者になる。

デンゼル・ワシントン(Denzel Washington)
助演男優賞のノミネートは以下の通り。
ダニー・アイエロ (ドゥ・ザ・ライト・シング)
ダン・エイクロイド(ドライビング Miss デイジー)
マーロン・ブランド(白く渇いた季節)
マーティン・ランドー(ウディ・アレンの重罪と軽罪)
助演女優賞:ブレンダ・フリッカー『マイ・レフトフット』
助演女優賞も『マイ・レフトフット』からの受賞。
ブレンダ・フリッカーは、主人公クリスティの母であるブリジット・ブラウン役で出演した。
フリッカーは1992年の『ホーム・アローン2』で、主人公ケビンと友人になるホームレスの老女役でも知られている。

ブレンダ・フリッカー(Brenda Fricker)
他に助演女優賞にノミネートされた方は以下の通り。
アンジェリカ・ヒューストン(敵、ある愛の物語)
レナ・オリン(敵、ある愛の物語)
ジュリア・ロバーツ(マグノリアの花たち)
ダイアン・ウィースト(バックマン家の人々)