巨人の星の作品概要

スポ根漫画と言えば、誰もが真っ先に挙げるであろう作品こそが「巨人の星」ではないでしょうか。
巨人の星は、原作:梶原一騎 作画:川崎のぼる で1966年~1971年にかけて週刊少年マガジンで連載されていた野球漫画です。
アニメとして放映された期間は1968年3月~1971年9月までとなっています。
(※続編の「新・巨人の星」は、1977年10月~1978年9月まで)
巨人の星という漫画が、どのような内容でどんなキャラクターが居たのか。
そんな事は、ほとんどの方が知っている事だと思います。
そこで、今回は少し視点を変えて
巨人の星の描写から昭和っぽい(時代を感じさせるシーンや現代では間違っていると思える描写)部分をまとめて紹介していきます!
そもそも作品タイトルが【巨人】の星である点
そもそも論になってしまいますが、巨人の星という漫画のタイトルがすでに時代を投影しています。
1960年代と言えば、当時の官僚が発言した「巨人・大鵬・卵焼き」からも判るように、子供が好きな物として巨人という球団は特別視される存在でした。
令和となった現代では、巨人はあくまでもセ・リーグの1球団に過ぎないという認識ですが、当時は漫画のタイトルにされても違和感が無かった点も時代を感じさせてくれます。
もちろん、当時から阪神一筋だ!広島カープ愛に溢れていた!という方もいらっしゃると思いますが、あくまでも一般論なので悪しからず。
現代スポーツではNGな練習法!うさぎ飛び
巨人の星で、有名なトレーニング方法と言えば「悪魔のギブス」ですが、さすがにアレが間違っている事は誰の目にも明らかな描写です。
しかし、スポーツ科学が発達していなかった当時だからこそ、巨人の星だけではなく「うさぎ飛び」トレーニングが、しばしば辛い練習として描写されている事が多かったものです。
科学的にトレーニングの効果や悪影響が判明している現代スポーツでは、うさぎ跳びトレーニングは効果が無いばかりか膝や股関節を痛める危険性があるとして、「やってはいけないトレーニング」の一つである事は常識です。
実際に、学生時代にうさぎ跳びをさせられていた我々世代としては、もっと早く教えてほしかった・・・という内容ですよね。
当時はセーフ?大リーグボール1号は現代なら退場!
巨人の星では、主人公が投げる様々な【魔球】が魅力となっています。
消える魔球や超スローボールなど、漫画だからこそのフィクション性が高い描写が多い中、現実的に「出来るかも?」と思わせる大リーグボールがあります。
それが、大リーグボール1号。
打者が構えているバットをピンポイントで狙い、凡打にさせてしまうという魔球でしたが、作中でもライバルの花形満が「ビーンボール」(故意に頭を狙う事)ではないか?と審判に抗議しています。
作中では、あくまでもバットを狙っているからセーフ!という事で問題が無かったようですが、現代では危険球に対するジャッジが厳しくなっている事を考えると退場になってしまう可能性大です。
もちろん、漫画なのでお子様が真似をしようとした場合は全力で止める事をお勧めします。
飛雄馬が踊ったゴーゴーダンス
作中では、主人公の星飛雄馬が抱える様々な葛藤や苦悩を描く上でのスパイスとして重要なシーンでもあった「ゴーゴーダンス」を踊る描写。(ネットなどではネタ扱いされる事が多いですが)
しかし、そもそもゴーゴーダンスとはなんぞや?という方も多いのではないでしょうか。
ゴーゴーダンスは、巨人の星が描かれた1960年代後半ごろに流行したダンスの一種。
ソウルやファンクなど、新たな音楽ジャンルが生まれる中で、日本でもピンポイントで1960年代に流行したダンスなので実際には知らないという方が多いのも当然です。
ちなみに、1970年代からはサタデーナイトフィーバーなどでお馴染みのディスコダンスが流行するため、ゴーゴーの流行自体が非常に短命だったと言えます。
巨人の星が描かれたのがもう少し遅かったなら、ジョン・トラボルタばりに踊る星飛雄馬が描かれた・・かもしれませんね(笑)
【おまけ】巨人の星に関する小ネタ・トリビアの紹介
最後に、巨人の星では割と有名な小ネタやトリビアを紹介しておきましょう。
知らなかった方は、明日誰かに話したくなるかも?
星飛雄馬は一人クリスマスをしたことがある
TV番組や、ネット上でも話題となったことがあるので、知っている方も多いかもしれませんが、作中でクリスマスという行事がある事を知った星飛雄馬がパーティーを催す描写があります。
クリスマスという行事の存在を、初めて知る・・というあたりがすでに時代を感じさせてくれます。
ちなみに、ウキウキ気分の星飛雄馬は自作のクリスマスカードを作って友人・知人をパーティーに誘いますが、結局誰一人来てくれる事はなく、たった一人でクリスマスを過ごしています。
星一徹はちゃぶ台をひっくり返した事はない!
星飛雄馬の父、一徹と言えば「ちゃぶ台返し」をするイメージが定着しています。
しかしこれは大きな間違いで、作中で星一徹がちゃぶ台をひっくり返した事は一度もありません。
一度も?いやいや、記憶に残ってるよ!
そう思っている方は、飛雄馬が友人にギブスを貸した事が発覚して一徹が激怒したシーンと勘違いしています。
実は、一徹は激昂して飛雄馬に平手打ちをした時に、勢い余ってちゃぶ台をひっくり返してしまっただけです。
にも関わらず、星一徹=ちゃぶ台をひっくり返す、というイメージが強く残っている理由は
・エンディングで問題のシーンが流れていた事
・巨人の星をモチーフにしたゲーム機などの影響
などが考えられます。
少なからず、星一徹が「故意に」ちゃぶ台をひっくり返した事は一度もありません!
まとめ
あくまでもフィクションと割り切って読める漫画やアニメの世界。
しかし時代が流れて流行や常識が変わってから読み返すと、当時吹いていた時代の風を感じられるものです。
お気に入りの漫画や懐かしの漫画を読み返す際には、時代背景が色濃い描写を探しながら読むのも一興ですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。