日本と海外ドラマの歴史

海外ドラマが日本で初めて放送されたのは1950年代。当時はまだ国内の放送業界にコンテンツが少なく、アメリカで製作されたテレビドラマを輸入することで娯楽を支えていました。そんな海外ドラマ全盛期といわれたこの時代に大ヒットした作品が、今もなお愛され続ける『奥さまは魔女』や『スーパーマン』、「スタートレック」シリーズの原型『宇宙大作戦』です。1970年代には『チャーリーズ・エンジェル』や『刑事コロンボ』が一世を風靡しました。
1980年代に入り一般家庭にビデオが登場し、80年代終盤にはビデオをレンタルするという新たな仕組みが誕生、そしてこの頃になると日本の放送業界も他国から番組を輸入しなくても良いほどまでに基盤が固まってきたことから、徐々に地上波から海外ドラマの放送枠が減っていきます。
しかし1990年代に入ると衛星放送やケーブルテレビの普及により再びその可能性が拡大。ビデオレンタルと両輪で扱うことで人気を定着させることに成功しました。現在はパソコンやスマートフォンの驚異的な普及から派生し誕生した新たなコンテンツ、「配信サービス」が一般的になってきたことから、その関係性はさらに進化し続けています。
『ビバリーヒルズ高校/青春白書』

90年代の海外ドラマを代表する作品といえば何と言っても世界中で大ブームを巻き起こした「ビバリーヒルズ」シリーズですよね?ビバヒルの愛称で親しまれ、日本でも主人公たちのハイスクール時代を描いた『ビバリーヒルズ高校白書』、そして卒業後の人生を描いた『ビバリーヒルズ青春白書』の邦題で約10年間、NHK総合テレビにて全シーズンが放送されました。アメリカの高級住宅街ビバリーヒルズを舞台にしたセレブキッズたちの王道な青春ドラマでありながらも決してリッチさやラブストーリーばかりを物語の軸とせず、登場人物がそれぞれに抱える苦悩や葛藤そして成長していく姿をリアルに描いたティーンドラマの名作です。
番組の大ヒットとともにメインキャラクターを演じた主要キャストたちは一躍時の人となり、世界中にファンを持つ青春スターとなりました。中でも女性人気を二分したのがブランドン・ウォルシュ役の ジェイソン・プリーストリーとディラン・マッケイ役のルーク・ペリーです。ドラマで演じたキャラクター同様、対照的な2人の魅力にファンは翻弄されっぱなしでした。あなたはブランドン派?それともディラン派?
ファン待望の続編が誕生!
シリーズ終了から20年の時を経て、遂にファン待望の続編が誕生しました!これまでビバヒルから10年後を舞台にした『新ビバリーヒルズ青春白書』やスピンオフとなる『メルローズ・プレイス』など様々な関連作品が製作されてきましたが、オリジナルメンバーが再びメインキャストとして登場するのはこれが初めてのこと。続編のタイトルは『ビバリーヒルズ再会白書』!アメリカで2019年8月に放送された際には高視聴率をマークし、日本でも動画配信サイトにて独占配信されています。
しかし残念なことに「再会白書」放送前だった同年3月、ディラン役で人気を博した俳優のルーク・ペリーが重度の脳卒中を発症し52歳という若さで死去。当時ルークはドラマ『リバーデイル』に出演していたため続編への出演は未定でしたが、多くのビバヒルファンがサプライズ登場を期待していた最中での悲しいニュースでした。
『Xファイル』

レンタルビデオから人気に火が付いた海外ドラマといえば『Xファイル』。アメリカで1993年から2002年にかけて製作された超人気シリーズです。日本ではアメリカほどの大ヒットには至りませんでしたが、1995年よりテレビ朝日系列にて毎週水曜・夜8時というゴールデンタイム枠で放送されたことがきっかけとなり、一気に知名度アップ!また第3シーズンまで放送が続いたことで、国内でも根強いファンを持つ人気番組へと成長しました。
物語はUFOやオカルト、エイリアンなど決して科学では説明のつかない超常現象にまつわる事件を中心に、アメリカ連邦捜査局(FBI)で働く超常現象に肯定的な男性・モルダー(デイヴィッド・ドゥカヴニー)と懐疑的な女性・スカリー(ジリアン・アンダーソン)の対照的な捜査官コンビが、時には対立しながらも毎回一つの事件に取り組んでいくミステリードラマです。また幼い頃に妹を宇宙人に誘拐されたモルダーの「妹探し」も全編を通した重要なテーマとしてストーリーに深みを与えています。そして終始曖昧なモルダーとスカリーの関係性にも毎回ヤキモキさせられました。「ビバリーヒルズ」シリーズとともに海外ドラマ人気を日本で定着させた海ドラブームの功労者的な作品です。
B'zが歌う主題歌も大ヒット!

『Xファイル』といえばB'zが歌う主題歌「Love Phantom」。この曲を聴くだけでドラマを思い出すという人も多いのではないでしょうか?まさに作品を盛り上げる主題歌の役割を最大限に果たした素晴らしい化学反応でした。楽曲自体もミリオンセラーを達成し、累計186.2万枚を売り上げるなどB'zの代表曲の1つとなっています。
13年ぶりの新シリーズ!

ドラマの大ヒットを受け、これまで『X-ファイル ザ・ムービー』『X-ファイル: 真実を求めて』という2本の映画が製作されてきました。そして2016年、遂にファン待望の新作がミニドラマシリーズとして復活。劇場版第2作から5年後の世界を描いたシーズン10は好評を博し、2018年には最新シリーズとなるシーズン11も放送されるなど、その人気はまだまだ健在のようです!
『ER緊急救命室』

『ジュラシック・パーク』などで知られる小説家マイケル・クライトンの医学生時代のエピソードを綴った作品『五人のカルテ』を原作に、アメリカで1994年から2009年にかけて製作された超人気シリーズで、日本でも1996年から2011年までNHKにて全15シーズンが放送されました。ハリウッドスター・ジョージクルーニーの出世作としても有名ですよね。また日本で医療ドラマの製作が増えたのはERがきっかけだったと言われています。
シカゴにあるカウンティ総合病院を舞台に24時間・365日休むことなく患者を受け入れる過酷な現場ER(緊急救命室)で働く医師や看護師たちの緊迫感溢れる日々をリアルに、そして人間臭く描いたヒューマンドラマ。数々の賞を総なめにしてきたその実力は、まさに90年代を代表する医療ドラマと言っても過言ではないでしょう!
『アリーMy Love』

アメリカで1997年から2002年までの5シーズンが製作され、日本でも1998年よりNHK総合テレビにて放送されたコメディドラマです。ボストンにある法律事務所を舞台に、女性弁護士アリー・マクビール(キャリスタ・フロックハート)の法廷での活躍や恋愛模様、そして彼女を取り巻くユニークな仲間たちとの絆が観るものをハッピーにするリーガルドラマの決定版!時に笑い、時に涙し、等身大の女心が何とも切なく映ったものです。アリーの不器用さにヤキモキしながらも共感した人は多いのではないでしょうか。
レギュラ陣も華やかで、のちに映画『チャーリーズ・エンジェル』で世界的な女優となるルーシー・リューをはじめ、第4シーズンではその後映画『アイアンマン』や『アベンジャーズ』シリーズを大ヒットさせ、ハリウッドスターとなったロバート・ダウニーJrがアリーの運命の相手候補ラリー・ポール役を見事に演じ高い評価を得ました。
またティナ・ターナーやスティング、エルトン・ジョンといった一流アーティストたちが本人役で登場。さらにはマライア・キャリーが原告側の証人役で、ロックバンド・ボンジョヴィのボーカル、ジョン・ボン・ジョヴィがアリーと良いムードになる配管工ビクター・モリソン役でそれぞれゲスト出演しています。
『フルハウス』

アメリカで1987年から1995年にかけて製作され、日本でも1993年から1997年までNHK教育テレビ(Eテレ)にて全シリーズが放送されました。その後も幾度となく再放送され、世界中で高い評価を受ける名作ホームコメディです。特に末っ子ミシェルとジェシーおいたんとの可愛らしいやり取りにはヤラレマシタ!
ほぼフルキャストの豪華スピンオフが誕生!
常に噂はあったもののこれまで実現してこなかった『フルハウス』のスピンオフ。しかし2016年、Netflixの配信ドラマという形で帰ってきました。しかもメンバーは当時のメインキャストがほとんど登場するという豪華版。ですがミシェルを演じたオルセン姉妹は、残念ながらすでに女優業を引退しているため出演していません。
『ブロッサム』

両親の離婚を機に父と2人の兄とともに暮らしている女の子ブロッサム・ルソー(メイム・ビアリク)が巻き起こすドタバタな日常を描いたシチュエーションコメディで、思わずツッコみたくなる登場人物たちのボケの応酬が見どころの一つでしたね。
ジョーイはアイドル!

番組をきっかけにルソー家の次男ジョーイを演じたジョーイ・ローレンスは90年代、そのハンサムなルックスからアイドル誌の表紙を飾ったり、弟で俳優のマシュー、アンドリューとともにドラマ『ローマン・ブラザーズ』の主演に抜擢されたりとティーンのアイドルとして大活躍しました。このキュートな笑顔が懐かし~!
ブロッサムの今…

ちなみに主人公ブロッサムを演じ一躍有名になったメイム・ビアリクは、その後女優業と並行して学業にも励み、2007年には神経科学の博士号を取得。また近年では2007年から12年間続いた大人気コメディドラマ『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』のエイミー・ファラ・ファウラー役としてもお馴染みです。
『アルフ』

トラブルメーカーのアルフと真面目なタナー家のお父さんウイリーとの絶妙な掛け合いが人気でしたね。そして吹き替えを担当した所ジョージさんの声こそがまさにアルフそのもの!抜群のはまり役でした。
『愉快なシーバー家』

アメリカで1985年から1992年まで制作され、日本ではNHK教育テレビ(Eテレ)にて1997年から2000年まで放送されたました。精神科医のジェイソン・シーバーが自宅に診療所を設置し、在宅勤務をしながらテレビリポーターの妻マギーとともに長男マイク、長女キャロル、次男ベン、次女クリスの子育てに奮闘し、様々な出来事を通して家族の絆を深めていくホームコメディーです。こんな家族に憧れました!
また当時売り出し中だった無名のブラッド・ピットやレオナルド・ディカプリオ、のちに「ビバリーヒルズ」シリーズでブレイクするジェニー・ガースやブライアン・オースティン・グリーンなど、その後スターとなった俳優・女優らが多くゲスト出演していたことでも知られています。長男マイクを演じたカーク・キャメロンの実の妹で、『フルハウス』の長女D.J.役でもお馴染みのキャンディス・キャメロンも数回登場し番組を盛り上げました。今となってはどれも大変貴重なお宝映像ですよね。
伝説の第7シーズン!

特に当時15歳のレオナルド・ディカプリオが出演したラスト(第7)シーズンは、その後彼が映画『タイタニック』でハリウッドのトップスターになったことで第1シーズンよりも先にVHSが発売されたという逸話が残されているのですよ!
ちなみに…

シーバー家の頼れるパパ・ジェイソンをユーモラスに演じたアラン・シックは、ヒット曲「ロスト・ウィザウト・U」などで知られる歌手ロビン・シックの実の父親に当たります。世界的アーティストでプロデューサーとしても有名なファレル・ウィリアムスのレーベルに所属し、2013年には「ブラード・ラインズ feat. T.I. & ファレル」を大ヒットさせました。その甘~いルックスにどこかシーバーパパのダンディな面影が重なりませんか?
まとめ
やっぱり90年代の海外ドラマは熱い!そして濃い!名作とは永遠に色あせない宝物ですね!