朝ドラとは
朝ドラとは連続テレビ小説の通称で、1961年(昭和36年)からNHKで現在も放送されているテレビドラマシリーズです。NHK総合にて平日の朝8時から1話15分で半年間放送され、またお昼12時45分からとBSプレミアム・BS4Kで夜23時から1日2回の再放送枠も設けられています。(時間の変動あり)。主演は主に女性が務めることがほとんどですが、作品によっては男性が主人公を演じることもあります。また現在は1作品あたりの放送期間が半年となっておりますが、朝ドラ初期は1つの作品だけで1年枠だった時代もありました。
1966年に放送された『おはなはん』以来、主演を務めるヒロインをほとんどの場合オーディションで選んでいたため「スターの登竜門」などと称され、また朝ドラから女優としてのキャリアをスタートさせる新人も多数いたことから「新人発掘の場」ともいわれています。しかし近年ではすでに実績のある有名女優をオーディションなしで起用するケースもあり、その形態に少しずつ変化が生まれている模様。その他、ヒロイン以外でも脇を固めるキャスト勢がブレイクするキッカケともなり得る特別な場所として、大河ドラマとともに長年業界内外から高い注目が寄せられている稀有なドラマ枠でもあります。
ちなみに記念すべき第1作目の朝ドラ作品は、ラジオドラマをテレビドラマ化した『娘と私』。主演はラジオドラマ『君の名は』で主人公・後宮春樹を演じ人気を博した俳優の北沢彪(きたざわ・ひょう)さんが務めました。
『澪つくし』

『澪つくし(みおつくし)』は、1985年度(昭和60年)前期に放送された第34作目の朝ドラです。ヒロイン・古川(吉武)かをる役を演じたのは沢口靖子さん。脚本をジェームス三木さんが担当しました。
本作でヒロインを務めた沢口靖子さんは1984年に開催された第1回「東宝シンデレラ」オーディションにて、参加者3万1653人の中から見事グランプリを受賞し芸能界入りしました。同年、映画『刑事物語3 潮騒の詩』で女優デビュー。映画『ゴジラ』では第9回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞するなどデビュー直後から、すでに頭角を現しつつある存在感。そしてデビューから翌年、最高視聴率55.3%を記録した出世作『澪つくし』の大ヒットとともに、その人気と知名度を日本中に定着させました。
現在ではテレビ朝日で1999年から続く人気ドラマシリーズ『科捜研の女』の主人公・榊マリコ役としてもお馴染みですよね。常に第一線を走り続けている人気女優です。
『純ちゃんの応援歌』

『純ちゃんの応援歌』は、1988年(昭和63年)後期に放送された第41作目の朝ドラです。ヒロイン・小野純子役を演じたのは山口智子さん。脚本を布勢博一さんが担当しました。最高視聴率44.0%を記録した大ヒット作品です。
本作でヒロインを務めた山口智子さんはこれが女優デビュー作。また後に夫となる俳優の唐沢寿明さんとの初共演作品としても知られています。こうして女優としてのキャリアを華々しくスタートさせた山口さんはその後もトレンディードラマのヒロイン級の役割を果たすことが多く、『ダブル・キッチン』や『スウィート・ホーム』『王様のレストラン』『29歳のクリスマス』などのヒット作にも恵まれたことで、一気にスターダムへとのし上がっていきます。
そして1996年、木村拓哉さんと共演し社会現象を巻き起こした伝説のドラマ『ロングバケーション』にてヒロイン・葉山南役を演じ、さらなる人気を獲得しました。しかしこのドラマ出演を境に女優業をセーブし、夢であった主婦業に専念することとなるのです。連続ドラマに出演したのは、それから16年後の2012年。2019年には連続テレビ小説第100作目となる記念作品『なつぞら』で『純ちゃんの応援歌』以来31年ぶりの朝ドラ出演も果たしました。現在は本格的に女優業を復帰させた模様です。
『ひまわり』

『ひまわり』は、1996年(平成8年)前期に放送された第54作目の朝ドラです。ヒロイン・松嶋菜々子さん。脚本は井上由美子さんが担当しました。
本作のヒロインを務めた松嶋菜々子さんは高校1年生の頃にスカウトされ、反対する両親を説得しモデルデビューしました。女性ファッション誌『ViVi』の専属モデルとして活躍した他、「旭化成 水着マスコットガール」に選出され、1992年度の水着キャンペーンガールを務めた経験も。女優デビュー作は同年TBSで放送された加山雄三さん主演のテレビドラマ『社長になった若大将』です。そして朝ドラ『ひまわり』が出世作となり、一気にメジャー女優の仲間入りを果たしました。その後、松下電工(現パナソニック)のCMでは水野真紀さんに続く2代目「きれいなおねえさん」に扮し、さらなる知名度アップへと繋がっていくのです。
また1998年公開の初主演映画『リング』をはじめ、ドラマ『GTO』や「救命病棟24時」シリーズ、『魔女の条件』、『やまとなでしこ』など立て続けに出演作が大ヒット。2000年代に入ってからも興行収入42億円を突破した映画『ホワイトアウト』や2011年には日本テレビで放送された日本のテレビドラマ史上歴代3位となる驚異の最高視聴率40.0%を記録したドラマ『家政婦のミタ』といった特大ヒット作品を生み続けている大人気実力派女優です。2019年に放送された第100作目の朝ドラ『なつぞら』では広瀬すずさんが演じるヒロイン奥原なつの育ての母・柴田富士子役を演じファンを喜ばせました。
私生活ではドラマ『GTO』で共演した俳優の反町隆史さんと2001年に結婚し、2女の母となっています。当時2人揃って行われた結婚会見はとても爽やかで印象的でしたよね。
『ちゅらさん』

『ちゅらさん』は2001年前期に放送された第64作目(放送40周年記念作品)の朝ドラです。ヒロイン・国仲涼子さん。脚本は岡田惠和さんが担当しました。朝ドラ史上初めて沖縄県(小浜島)が主要な舞台となった作品。
本作のヒロインを務めた国仲涼子さんは地元沖縄県でアルバイト中にスカウトされ上京。1999年にTBSで放送されたドラマ『L×I×V×E』にて女優デビューしました。大ヒットした『ちゅらさん』が出世作となり、同作品で演じた明るく真っすぐな恵里役と国仲さんのイメージがピッタリと重なったことで、一躍国民的ヒロインとして人気女優の仲間入りを果たすのです。またこの作品で第39回ゴールデンアロー賞「放送新人賞」を受賞した他、第26回エランドール賞「新人賞」にも輝きました。
その後も映画『電車男』や『HERO』をはじめ、ドラマ『夢のカリフォルニア』や『ブラックジャックによろしく』『結婚できない男』第1シリーズ、『デート〜恋とはどんなものかしら〜』など数多くの話題作に出演。私生活ではドラマ『ハングリー!』で共演した俳優の向井理さんと2014年に結婚し、2児の母となっています。
『あさが来た』

『あさが来た』は2015年後期に放送された第93作目の朝ドラです。ヒロイン・波瑠(はる)さん。脚本は大森美香さんが担当しました。近年の朝ドラを代表する名作です。
本作のヒロインを務めた波瑠さんは中学1年生の時に応募したオーディションの際にスカウトされ芸能界入り。しかし最初は仕事が無く、エキストラのような形で女優デビューしました。連続ドラマに初出演したのは志田未来さん主演の大ヒット社会派ドラマ『14才の母』。ファッション誌『Seventeen』や『non-no』で専属モデルとして活躍した他、徐々に演技の仕事も増えてきました。2013年4月から2014年3月まではTBSの人気番組『A-Studio』にて笑福亭鶴瓶さんのアシスタントを担当。そしてついに『あさが来た』のヒロイン・白岡あさ役が当たり役となり、演技派女優の仲間入りを果たしました。現在は多くの作品で主演を務める売れっ子女優へと成長しています。
まとめ
日本の朝を支え続けている朝ドラ。そして歴代の朝ドラヒロインたち。半年間という長丁場の中で育まれた様々な出来事を女優としての強さに変え、これからも歩んでいくのでしょう。朝ドラから大きく飛躍した彼女たちの未来に幸あれ!