天邪鬼なバンド!?GRAPEVINEのデビューから現在までを振り返る!

天邪鬼なバンド!?GRAPEVINEのデビューから現在までを振り返る!

1997年のデビューからコンスタントにファンに音楽を届け続け、今年で23年目を迎えたGRAPEVINE。デビューから現在までの活動を振り返りました!


GRAPEVINEは、元々はボーカル&ギター田中和将、ギター西川弘剛、ベース西原誠、ドラム亀井亨の4人組ロックバンドです。

「GRAPEVINE」というバンド名の由来はマーヴィン・ゲイのヒット曲「I Heard It Through The Grapevine」(邦題「悲しいうわさ」)からだそう。

作詞はボーカル&ギターの田中、(一部例外あり)、作曲はメンバー全員が担当しています。
歌詞ができるのは必ず曲の後で、曲から湧いてきたイメージを大事にしているとのこと。
読書家の田中が書く歌詞は、文学的な歌詞が多く、作家や作品がモチーフになったものも多々あります。

例えば、
「マダカレークッテナイデショー」(5枚目アルバム「another sky」収録)という曲に出てくる歌詞『脂肪の塊』『ピエールとジャン』『ベラミ』『女の一生』はフランス作家ギ・ド・モーパッサンの小説のタイトルになっています。
それとなく歌詞の中に織り交ぜられている元ネタを探すのもファンの楽しみの1つ。

また言葉選びが独特で、情景が思い浮かぶもの、そのワンフレーズが自分と重なってグッとくるもの、言葉遊びを楽しんでいるものなど、聴く時の自分の年齢や状況によっても感じることが変わっていくような含みを持たせた歌詞を田中本人も意識しているそうです。

1997年にミニアルバム『覚醒』でメジャーデビュー。
ミニアルバムでデビューしたのはメンバーの希望でしたが、実は彼ららしい理由があったそうです。

GRAPEVINE「覚醒」

Amazon.co.jp: 「覚醒」GRAPEVINE

その後、2枚のシングル、フルアルバム「退屈の花」をリリースします。

2枚目のシングル「君を待つ間」はドラム亀井が初めてバンドに持っていった曲で、それをいいと言ってもらえたことがきっかけで、もっと曲を書くようになったそうです。

今では、亀井はGRAPEVINEのメロディメーカーで最も多くの数の作曲を担当しています。
亀井の曲はポップでありながら、どこかメランコリックでノスタルジックなメロディが特徴です。

アルバム「Lifetime」が大ヒット

デビュー当時からポストミスチルと言われ注目されていたこともあり、「うたばん」や「ミュージックステーション」など歌番組に出演し、徐々に知名度もアップ。

1999年に発売された4枚目のシングル「スロウ」、5枚目のシングル「光について」が注目を浴び、同年にリリースされた2枚目のアルバム「Lifetime」はオリコン最高3位になりました。

「Lifetime」GRAPEVINE

Amazon.co.jp: Lifetime: 音楽

そのため、世間の多くの方のGRAPEVINEのイメージは「スロウ」や「光について」のイメージなのではないかと思います。

ベース西原誠が脱退へ

順調にシングル・アルバムとリリースを続けていましたが、2001年、リーダーであるベース西原誠が、ジストニア治療に専念するためバンドを一時離脱。
西原は翌2002年に復帰を果たしますが、症状が再発、同年内をもって脱退することになります。

バンドを続けるのか続けないのかという話になり、結局GRAPEVINEを続けていくことを選んだ残りのメンバー。
西原脱退後は金戸覚(ベース)と高野勲(キーボード)の2人をサポートメンバーとして、現在まで5人編成で活動しています。

この5人編成で初めてリリースしたアルバムが6枚目のアルバム「イデアの水槽」です。
このアルバムは「Lifetime」からプロデューサーとして携わってきた根岸孝旨と離れ、セルフプロデュース作品となりました。

大ヒットした「Lifetime」に固執することなく、彼らの楽曲はどんどん進化していきます。

「 イデアの水槽」GRAPEVINE

Amazon.co.jp: イデアの水槽: 音楽

セッションからの曲作りが始まる

2006年にリリースされた19枚目のシングル「FLY」はゼロからジャムセッションで作られた曲でした。
これまではそういった試みをしたことはなかったようで7枚目のアルバム「déraciné」から携わっていたプロデューサー長田進の提案によるものだったそうです。

「FLY」以降、セッションによる曲作りがバンドの新たな武器となりました。

2009年にリリースされた10枚目のアルバム「TWANGS」は全11曲中6曲、セッションで作られた曲が収録されています。

「Twangs」GRAPEVINE

Amazon.co.jp: Twangs: 音楽

メジャーデビュー15周年にベストアルバムリリース

バンドのメジャーデビュー15周年を記念して2012年に「Best of GRAPEVINE 1997-2012」をリリース。

「Best of GRAPEVINE 1997-2012」GRAPEVINE

Amazon.co.jp: Best of GRAPEVINE 1997-2012 (通常盤): 音楽

アルバムの選曲はファン投票の結果を参考に行われ、30曲を収録。
ファン投票は、発売当時の最新シングル「風の歌」までの、両A面を含む全29曲のシングルから3曲を選んで投票する「ビギナーズ・コース」と、バンドの全オリジナル作品から5曲を選んで投票する「マスターズ・コース」の2つに分けて行われました。

★投票結果★
第1位:光について(5枚目シングル)
第2位:望みの彼方(「スロウ」カップリング・4枚目シングルアルバム「Lifetime」収録)
第3位:Everyman,everywhere(2枚目ミニアルバム「Everyman,everywhere」収録)
第4位:スロウ(4枚目シングル)
第5位:アナザーワールド(5枚目アルバム「another sky」収録)
第6位:Glare(9枚目アルバム「Sing」収録)
第7位:Our Song(9枚目シングル)
第8位:君を待つ間(2枚目シングル)
第9位:豚の皿(6枚目アルバム「イデアの水槽」収録)
第10位:白日(3枚目シングル)

「Lifetime」再現ツアー「IN A LIFETIME」開催

2枚目のアルバム「Lifetime」発売15周年の2014年5月には、「Lifetime」を完全再現したツアー「IN A LIFETIME」を行いました。アルバムの1曲目から収録順に通りに楽曲を披露。

東京・SHIBUYA-AXのMCでは、田中がツアーパンフレットに元メンバーの西原のインタビューが掲載されていること、さらに本人が来場していることを明かしています。

2年後の2016年には、同期デビューであるTRICERATOPSと対バンツアー「IN A LIFETIME 2016 presents GRAPEVINE×TRICERATOPS GRAPEVINE performs“退屈の花” TRICERATOPS performs“TRICERATOPS”(1st Album)」を開催。

それぞれ1枚目のアルバム「退屈の花」(GRAPEVINE)、「TRICERATOPS」(TRICERATOPS)を再現し、長年のファンを大いに沸かせました。

「退屈の花」GRAPEVINE

Amazon.co.jp: 退屈の花: 音楽

「TRICERATOPS」TRICERATOPS

Amazon.co.jp: TRICERATOPS: 音楽

デビュー20周年もいつも通り

デビュー20周年の2017年には、アルバム「ROADSIDE PROPHET」をリリース、全国ツアー「GRAPEVINE tour 2017」&対バンツアー「GRAPEVINE GRUESOME TWOSOME」を開催。

特にアニバーサリーイヤーにちなんだ派手な企画等もなく、例年通りの活動で終わるところがGRAPEVINEらしいですね。

アルバムも特に20周年を意識して作ったものではないそうですが、シングル曲としてリリースした「Arma」だけは田中が20周年を意識して歌詞を書いたそうです。

最新アルバム「ALL THE LIGHT」

2019年にリリースした最新アルバム「ALL THE LIGHT」ではホッピー神山をプロデューサーに迎え、またこれまでとは違ったアイデア溢れる1枚になっています。

田中がこのアルバムに寄せたコメントも彼らしいものでした。

「ALL THE LIGHT」GRAPEVINE

Amazon.co.jp: ALL THE LIGHT (初回限定盤:CD + DVD): 音楽

これからのGRAPEVINEは?

デビューから現在まで、シングル28枚、アルバム(ミニ、ベスト、シングル集などを含む)22枚をリリース、ソロツアーもほぼ毎年おこなわれ、大型フェスやライブイベントにも出演と精力的に活動を続けているGRAPEVINE。

けがが理由のメンバー脱退以外はメンバーの脱退&変更もなく、活動休止をすることもなく、20年以上コンスタントにアルバムをリリースし、ツアーをまわるモチベーションを保つのは普通に考えると容易ではないでしょう。

20年以上バンドを続けている理由について、田中はこうコメントしています。

「できることはまだまだある」「もっと独特のバンドになりたい」とまだまだバンドを面白くしていきたいと考えているGRAPEVINE。
コロナ禍で延期になっていたホールツアーも秋に開催が決定。
これからも彼らの音楽に注目です!

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バンド 1997年

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