『はじめの一歩』とは?
はじめの一歩
伊達英二VSリカルド・マルチネス
伊達英二のボクサー人生
伊達はボクサーとしては年齢が高く、本編ではベテランといえる存在です。一歩との試合においても、その持ち味は大いに発揮されました。無類の強さを誇るように見えますが、過去に世界タイトルに挑戦した経験があり、その試合内容は2ラウンドKO負けと圧倒的な力の差を見せつけられていたのでした。そして、そのときに伊達を負かした相手こそ、今回の世界タイトルマッチで挑戦するリカルド・マルチネスなのです。
引退してからのカムバック
世界タイトルマッチで敗退した伊達は、一度はボクサーを引退して、サラリーマンになるという選択をします。仕事は順風満帆でしたが、その生活に心から満足することはありませんでした。そんな日々を過ごしていると、やはりボクシングに未練があって、再び世界タイトルに挑戦したいという自分の内なる気持ちに気づくのです。
伊達は自分の本当の気持ちを偽るのを止め、ボクサーとしての現役時代にトレーナーとしてお世話になっていた仲代会長がいるボクシングジムの門を叩くのでした。
伊達英二が身につけたテクニック
一歩との試合で見せた伊達のテクニックは、いずれ挑戦する世界タイトルマッチを見越して身につけたものです。ここではボクサーとして、伊達を代表する2つの高等テクニックを紹介しておきます。
ひとつ目は首いなしと呼ばれるもので、パンチが当たる瞬間に、意図的に首から上をクルリといなしてダメージを逃がすテクニックになります。
ふたつ目はハートブレイクショット。伊達はコークスクリューブローを得意としますが、さらにタイミング良く心臓をコークスクリューブローで打ち抜くことによって、瞬間的に相手の動きを止めてしまうという必殺ブローとなります。ハートブレイクショットを受けた相手は時間が止まったかのように、ガードもできず、無防備で返しのパンチをもらってしまいます。
圧倒的な強さを誇るリカルド・マルチネス
伊達の引退後、復帰して再び挑戦してくるまでの10年以上もの間に渡ってタイトルを保持し続けている世界チャンピオンで、キングオブキングスに挙げられる存在といえます。
人物像としては落ち着いたイメージがあって、紳士的で、立派な世界チャンピオンという印象が強いです。『はじめの一歩』には個性的なボクサーが多く登場しますが、リカルド・マルチネスは人間としても成熟していて模範的なキャラクターといえるでしょう。
伊達VSリカルドの試合展開
いよいよ世界チャンピオンのリカルド・マルチネスが来日して、世界タイトルマッチの開催日が迫ってきました。リカルドのスパーリングの調整相手に指名された主人公・一歩、挑戦者の伊達は一歩のライバルである宮田をスパーリングの調整相手に指名しました。
しかし、圧倒的な強さを誇るリカルドや伊達に、タイトルホルダーの一歩と宮田のどちらも一発のパンチも当てられずに終わって世界のレベルとその壁の厚さを改めて実感します。
そして、いよいよタイトルマッチ当日を迎え、伊達は圧倒的な強さを誇る世界チャンピオン・リカルドとの再戦が幕を開けるのでした。
運命のゴングが鳴る
次はリカルドが反撃してきますが、伊達は首いなしのテクニックをつかって簡単にかわしてみせます。そのままジャブの応酬になりますが、左の差し合いは伊達・リカルドで拮抗した展開となります。お互いに右の大砲を出そうとした瞬間に第1ラウンドの終了を告げるゴングが鳴り、続きは第2ラウンドに持ち越されるのでした。
前回の試合でKO負けを喫した第2ラウンドが始まり、不吉な予感を感じた伊達は警戒を高めます。リカルドはとうとう右ストレートを出し、伊達はかわしたことで空を切りますが、その威力は標的の後方をも打ち抜くほどのもので驚きを隠せません。
コーナーに追い込まれてしまった伊達は、接近戦でのパンチの応酬となり、リカルドとの高度な駆け引きを求められます。伊達の首いなしに対応して、リカルドはボディー狙いに切り替えてきました。そして、強烈なボディーブローは伊達の腹部に深々と突き刺さり、倒れてしまいそうになりますが、なんとか踏ん張って持ち堪えます。
ここで驚いた表情を見せたのはリカルドで、これまで数々の挑戦者たちの腹筋を貫いてきたボディーブローに耐えた伊達の姿を驚異的に感じました。そして、伊達が世界チャンピオンである自分よりも、さらに強いパンチ力をもつボクサーと戦った経験があると察したのです。
こうして伊達は第2ラウンドを乗り切り、前回は第2ラウンドでKO負けした事実を踏まえ、確実にリカルドとの力の差が小さくなったことを実感したのでした。
本来の姿をみせるリカルド
あまりの変貌ぶりに驚く伊達ですが、すぐにこちらのファイトスタイルが本当のリカルドの姿なのだと再認識するようになります。これまで均衡していた試合は、リカルドが優勢となり、伊達は防戦一方という展開になっていきました。
このままでは敗戦濃厚の流れですが、伊達には切り札がありました。一歩との日本タイトルマッチで見せたハートブレイクショットです。伊達はこれまでの試合展開で顔から下の攻撃は一切しておらず、リカルドの攻撃を凌ぎながら、仕掛けるタイミングを虎視眈々と狙っているのです。
試合は中盤のラウンドを迎え、一方的に攻撃するリカルドにも疲れがみえました。伊達は全ての準備は整ったと、敗戦してからこれまで10年以上の想いを込めて、とうとうハートブレイクショットを打つのでした。
しかし、リカルドは反射的にエルボーブロックをして、伊達のハートブレイクショットを防ぎます。逆に、伊達は人体の中でも強固なひじに拳をねじ込んでしまったため、大切な右拳の骨を折ってしまうのでした。
勝つ材料がなくなった
伊達は愛子が応援しに来てくれたことで、なぜ自分がボクシングをしているのか、そんなことを改めて思い出すのでした。伊達の一目惚れで愛子と付き合うようになり、結婚した二人でしたが、そんな彼のボクシングのモチベーションになっていたのは惚れた女の前で格好をつけたいという至って単純な気持ち。他人からすると、そんなことと思うのかもしれませんが、伊達にとって、それは何よりも大切なことだったのです。愛子の前で格好悪い姿は見せられないと、改めてリカルドに勝つために全力で立ち向かっていくのでした。
世界タイトルマッチの結末
ラウンド開始のゴングが鳴ると、リカルドは伊達が右拳を傷めていることに勘付いており、右拳で大きなパンチを打ってくることはないと考えて、左拳の動きのみに意識を集中するようになります。
しかし、伊達は右拳を痛めていようと関係なく、全力の右ストレートを顔面に叩き込んでリカルドを驚かせます。再び両者の激しいパンチの応酬が始まると、リカルドは拳が当たったときの手応えに妙な感覚を覚え、右拳だけではなく、伊達のアゴの骨が砕けてしまっていることを察します。さすがに試合をこれ以上続けると不幸な事故が起きてしまうと、伊達を攻撃することに躊躇が生まれます。
伊達の気迫にも押され、リカルドに隙が生まれます。このときを狙っていたかのように、伊達は右拳に力を込めてリカルドの心臓にコークスクリューブローを打ち込むのでした。
ハートブレイクショットが決まり、リカルドの時間は奪われ、次の伊達の攻撃は無条件で当たるかと思われました。しかし、壊れた拳ではリカルドの動きを止められず、伊達はキツい反撃を受けることになります。これまで必死にダメージを堪えて我慢していた伊達でしたが、堪らずダウンしてしまい、ここでレフリーは試合続行は不可能だと判断して、リカルドの勝利を宣言するのでした。
伊達英二VSリカルド・マルチネス 戦のまとめ
今回の記事で紹介した伊達VSリカルドの試合はアニメ化されていて、原作コミックだけではなく、映像でも存分に楽しむことができるのです。
YouTubeで本編を視聴することもできますので、ぜひご覧になってみてください。
伊達がクライマックスで見せる「骨ならいくらでもくれてやる。その代わりに貴様の魂を俺にくれ。」という台詞は、記憶き刻まれるほどのインパクトがあって格好良いです。
記事では紹介しきれなかったですが、病院のベッドで絶対安静の身にもかかわらず、伊達が一歩にバトンタッチする場面も印象に残ります。ぜひこの機会に、アニメ版や原作コミックにて『はじめの一歩』伊達VSリカルド戦をご覧になってくださいね。