楳図かずお
奇才でしょう。変わり者といってもいいかもしれません。漫画家の楳図かずお のことです。個性が強すぎるとも言えますね。
しかし、その作品はご本人以上に個性的。他の追随を許さない、まさにオリジナリティといえます。
楳図かずお
ホラー漫画の第一人者。日本にホラー漫画を定着させた第一人者と言ってよいでしょう。特に70年代の作品は傑作揃い!怖い。怖いけれども止めることが出来ない。読み続ける。怖い。ということの繰り返しで、ついつい夜更かししてしまうというのが楳図かずおの作品です。
では、70年代に楳図かずおが発表した連載作品をご紹介します!
猫目小僧
60年代、既に「紅グモ」「ヘビ少女」「赤んぼ少女」に「蝶の墓」といった傑作をものにしていた楳図かずおですが、70年代に入っても衰えを知りません。それどころか、ますます好調で代表作となる作品をバンバン発表しています。
先ずは「猫目小僧」ですね。
猫目小僧
300年に一度しか生まれない猫又の子として誕生したものの、人間に近い容貌のため一族に見捨てられた“猫目小僧”。妖怪からも人間からも忌み嫌われる少年の生き様を描いた、楳図ワールドの異色ダークヒーロー
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「猫目小僧」は、1967年~1968年まで「少年画報」に連載され、その後、1968年「少年キング」、1976年「少年サンデー」に連載されました。
1976年にアニメ化されており、4月1日~9月30日まで放送されました。その際のタイトルは「妖怪伝 猫目小僧」となっています。
テレビアニメといっても、通常のものとは異なります。「ゲキメーション」。このカクカクとした動きは「ゲキメーション」といって、切り絵に特殊効果を加えたものです。奇妙です。しかし、この奇妙な感じが猫目小僧には相応しい。そんな気がします。なんとなく。。。
おろち
1969年に「おそれ」「死者の行進」といった短編を発表後、「猫目小僧」に続く連載物として「おろち」が始まります。
「おろち」も連載開始は1969年ですが、1970年まで続いています。
おろち
摩訶不思議な力を持ち、時を超えて存在する美少女・おろち。行く先々で哀しき運命を背負った人間と出会い、その翻弄されゆく人生を傍らから観察し続ける…。
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「おろち」は9つのストーリーから出来ているオムニバス形式の作品です。主人公の おろち は、あまり物語に介入しません。傍観者に近い感じです。そういえば、猫目小僧もそんなところがあります。美への執着と共に、楳図かずお作品の特徴ですね。
2007年には実写版で映画化されています。
映画は9つあるストーリーの内、1話目の「姉妹」と最終話の「血」をベースに作られています。
イアラ
数ある楳図かずお作品の中で最も文学色が強い作品といっていいかもしれません。「イアラ」です。「おろち」と同じようにオムニバス形式がとられていますが、実情は随分違います。
最初の単行本化であるゴールデンコミックスで全6巻なのですが、青年誌ビッグコミックで1970年に連載されていたのは、このうち2冊分に満たないのです。
イアラ
「イアラ」という言葉の意味を求めて、第1章「さなめ」、第2章「しるし」、第3章「わび」、第4章「かげろう」、第5章「うつろい」、第6章「望郷」第7章「終焉」と続き「イアラ」という言葉の意味がこの第7章で解読されます。
では、その後は?残りの4冊は?といいますと、イアラと同じ愛をテーマにした傑作短編が収められています。そうなんです。「イアラ」とは本編と短編が合わさったものなのです。
「楳図かずお・イアラ」として、更に短編を追加した豪華愛蔵版などが出ています。その発刊記念として現在では入手困難ですが、楳図かずお直筆サイン入りリトグラフなるものが販売されていました。お宝ですね。
楳図かずお直筆サイン入りリトグラフ「イアラ」
単行本には1968年から1973年までに描かれた短編を集めて編んであるのですが、どれも素晴らしいです!ただ文学的であるがゆえにヒットしなかった。残念ですねぇ。
アゲイン
「アゲイン」。恐怖漫画の巨匠がギャグ漫画を画く。意外!それが週刊少年サンデーに1970年から1972年まで連載された「アゲイン」です。
アゲイン
実は、楳図かずお にとってギャグ漫画は初めてのことではありませんし、薬を使ってというアイデアも初めてではないのです。
1962年「なかよし」に掲載された「ロマンスの薬あげます!!」。これがベースですね。
ロマンスの薬あげます!
惚れ薬をめぐってのギャグ漫画なのですが、実はこの作品はラブコメディーの原点といわれるそうです。
で、同じようなアイデアを元にした「アゲイン」ですが、思わぬところからヒットします。薬よりも主人公の孫息子、沢田まことの人気が爆発するのです。
アゲイン
脇役として登場しているこの幼稚園児は、1976年から「まことちゃん」の主人公となって更に大人気となります。
まことちゃん
今では「まことちゃん」の方が有名になっていますが、実は「アゲイン」のスピンオフ作品なんです。因みに「まことちゃん」は1980年にアニメ映画化され東宝系で全国劇場公開されています。
漂流教室
主人公がひょんなことから過去に、若しくは未来に行ってしまうという話は珍しいことではありませんが、主人公を含む生徒が校舎ごと荒廃した未来に行ってしまうという未だに類を見ない秀逸な設定、それが「漂流教室」です。
漂流教室
ある日、授業中に激しい地震に襲われた主人公が通う大和小学校。揺れはすぐに収まったものの、岩と砂漠だけの荒れ果てた大地に学校は移動していました。パニックに陥った教師たちは全員亡くなり、小学生だけが生き残ります。やがてここが文明の崩壊によって荒廃した未来の世界だと知った主人公たちは、互いに協力し生き抜く決意をするのでした。
「十五少年漂流記」を学校ぐるみでやってみたらどうか?というのがアイデアの元だそうです。壮大な物語ですが、描き始めるまえから既に冒頭からラストまでのストーリーは出来上がっていたとのことですよ。
「漂流教室」を含めた作品によって1975年に第20回小学館漫画賞を受賞しています。
1987年には大林宣彦がメガホンを取って映画化されました。
話題となりヒットもしたことで、早々に続編の話が出たそうですが当初は断念しています。しかし、なぜ未来の地球が砂漠化したのかを描きたいとは思ったそうで、それが1990年からビッグコミックスピリッツに連載された「14歳」です。
洗礼
老いを感じた母親が、美しさを取り戻すために自分の娘と脳を入れ替えることを企てる。という楳図かずおが持つ美への執着というテーマがよく表れている「洗礼」。そのテーマの完成形といってよい作品です。
洗礼
この作品は、怖い。スプラッター的な、視覚的な怖さではなく、人の心というものの恐ろしさを描ききっているのです。しかも絵が丁寧で美しいので、より効果的に恐怖感を覚えることになるという、実にイヤな、それゆえに目が離せない作品となっています。
「洗礼」は、1996年には今村理恵主演で映画化されました。
洗礼