なので本来であれば、これは今やただのジャンクであるので、再現画像でなら下半身を写さないアングルでのみ使えばいいが、さすがにこっちの連載で紹介するのはどうかとためらわれたので、折衷をとって「ハイザックの項で、オマケで紹介」と相成った次第。
モノは、威風堂々とした「ハイザックの金型流用キット」であり、新造の頭部とレドーム、両肩アーマーのパーツ分割は素晴らしい仕上がりを見せているが、その他は全部ハイザックと同じ仕様なので、「こんなマイナーなモビル・スーツまで商品化した」ことの意義の他は、どうしても賛否両論を呼んでしまう仕様で成り立っている。
試しに上から見てみると、すがすがしいまでに「円盤しか見えない」
印象的な頭部の円盤(レドーム?)は、当時の空気を知っていると「アルアルネタ」な典型的バリエーションメカデザインであり、『超時空要塞マクロス』(1982年)から『機甲戦記ドラグナー』(1987年)まで、リアルロボット系の作品で、手っ取り早く、しかも理路整然とメカの頭数を増やしたいときに、定番で配置された「偵察情報収集型メカロボット」のお約束的アレンジであった。
再現画像より。「青の部隊」というからには、編隊を組むゲルググもブルーカラーである
元々『ガンダムZZ』の中期のモビル・スーツは、当時のバンダイの台所事情のおかげで、既存のキットの金型流用を前提とした物や、MSV版キットの箱だけ変えた再販みたいなものを新商品と言い切る商法が迷走していた頃。
主にパーツ変更箇所が集中している上半身。パーツ分割等は元のハイザックよりも進化していることは事実
それが「歴史は繰り返す」で再現されたのが、HGUCであって、この時期、同じ『ガンダムZZ』の金型流用前提デザインの、リック・ディアスのマイナーバリエーションのシュツルムディアスと同時期に、このアイザックがなぜか発売された。
確かに、シュツルム・ディアスは永野護氏デザイン、このアイザックは、まだメジャーになる前のカトキハジメ氏の初期デザインというバリューがあるにはあるが、メカ単体の人気や知名度で考えると、わざわざどちらもキット化するほどのことはないレベル(今ならプレバン送りになるだろう程度)。
再現画像より。一応カトキ氏デザインだが、扱いは完全にドライセンの露払い(もしくは御供)
だが、このアイザックの、HGUCキットナンバーが098という辺りが謎を解くカギで、要するに発売が迫っていたHG ユニコーンガンダムを100のキリ番にするために、強制繰り上げのためにでっち上げられたキットであるともいえる。
ハイザックとアイザック。この時期のモビル・スーツをコレクションコンプリートするには欠かせないバイプレイヤーではある
そんな理由ででっち上げられたバリエーションキットだけに、元のランナー構成からは、色配置概念の違うアイザックのカラーリングが再現できるわけもなく、この際だから、アイザックで変えられた色の処はとことんアイザック準拠で成型してしまえとバンダイが大英断(笑)をしてしまったところ、ザクマシンガンも指も肘と膝の関節も、全てが水色という、清々しいありさまになってしまいました。
元々キットの成型色分けが、胸のダクトの赤以外は、水色と青の二色しかないので、色情報量が足りないことおびただしいので、さすがのジャンクキットでも、画面に出す以上はこれではどうかと思ったので、指と肘関節とマシンガンだけはファントムグレーで塗装した。
さてさて。ご好評につき84回の連載期間を頂いた『ガンプラり歩き旅』ですが、ミドルエッジのリニューアルや新境地へのフロンティアを以て、今回で最終回です。
まだまだ本当は連載は続けたかった!
Zガンダム、ガンダムZZ、νガンダムの主役がまだだったじゃないか!
RX-78 ガンダムの時と同じく、「歴代全てのZガンダムを1/144で並べる」スペシャル企画はどうなるんだ!?
しかし、1ライターにとって、それらは動かせるものではありません。
数少ないとは思いますが、仮にこのコーナーのファンの方がいて、この続きを楽しみたい、ぜひ続かせてやってくれという方がおられましたら、是非、ミドルエッジまでご一報をくださいませ!
また、業界関係者、webコラム編集の皆さんからの、続投、再掲、連載再開のオファーも随時受け付けております!
『ガンプラり歩き旅』連載は勝利だった。全国のガンダムオタク、モデラー、ガンプラファンの皆さん、我々の趣味道は決して終わったのではなく、あらためて『ガンプラり歩き旅』が、再びwebコンテンツから配信を行う日まで、 この配信を中止します!
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