『Zガンダム』放映当時のハイザックの設定画。上腕部パイプの立体構造に注目
『Zガンダム』モビル・スーツ辺りから、ガンプラでは「アニメ設定を馬鹿正直に立体化すると、可動軸が仕込まれているのに可動しない現象が起きる」ことは、旧キットのZガンダムや百式の回でも説明したが、ハイザックの場合はとにかく「上腕パイプが腕のロールと前方回転を妨げる」に集約されており、旧キットの1/100等ではパイプに軟質素材を採用したが、それでも上腕の可動範囲は「ひねる」程度が限界であった。
コロンブスの卵的発想で処理された上腕パイプ
かねてから「HGUCは、可動のために元デザインを変更することもある」と解説してきたが、このハイザックの上腕パイプも、HGUC版ではパイプの装着場所を、上腕ブロック真下にずらすことで、まずは腕全体の回転可動が確保され、その上で、肘関節ロールを前腕側に設けることで、肘がどの方向でも曲げられる自由さを持つようになった。
これは称賛されるべきデザイン改善であり、そう考えるとつくづく『逆襲のシャア』の旧キットヤクト・ドーガなどは(略)
その上で、色分けもそこそこ、可動もそこそこな時代なりのHGUC版である。
肩の開き角度と、首の上下可動
可動領域と色分けに関しては、勝負すべき当時キットはむしろ1/100版であり、この2点においては、実はHGUC版は、地味に当時1/100キット版に負けている。
HGUCでは、肩は60度ほどしか開かず、首の上下可動も当時1/100とは引き分け。
肘の曲がり角度
肘も90度いかず、ここも当時1/100版とは引き分け。色分けや「パイプは軟質素材」も、どちらもほぼ引き分けで、むしろ手首などは、旧1/100だと5本指すべてが独立可動する仕様になっていたりなど、当時の初動の気合の入り方が伺える。
脚部の前後開脚
脚部の左右開脚
下半身の方も、HGUCもまだスタートして2年目なので、それなりといったところか。
特に膝は、二重関節構造になっているので、作るときに期待はしたのだが、いざ完成してみると凡庸な可動範囲で終わっていた。
もっとも、ハイザック自体が、それほど派手なヒロイズム的ポージングをするメカではないので、大河さん自身はこの程度の可動範囲で充分だと思っている。
付属オプションは、ザクマシンガンとシールドだけ。
ヒート・ホークとかビーム・サーベルといった格闘戦用武装はついてないので要注意。というか、徹底的にローコストに走り過ぎなキットではある(笑)
付属シールも、モノアイ関係しかフォローしていないので、シールドの連邦紋章十字マークは、モデラーが塗装するか無視するかになっている。
シールドは基部で回転できるが、少しサイズが小さい……?
今回は、再現画像に出演させるに当たって、バックパックの2枚のウィング(?)先端を、量産型ザクカラーの薄いグリーンで、また『ガンダム』時代のザクマシンガンとの一番の変更点であるスコープ周り部分をモンザレッドで、それぞれ部分塗装したのみ。
ザクマシンガンを両手持ちで構えるハイザック!
マシンガン本体の色も、アニメだともっと濃いグレーなのだが、今回は作業量はほどほどに。
ハイザック好きであれば、ぜひとも一度は旧1/100キットを組んでみることをお勧めする。
「アニメ(当時)用にクリンナップされた高機動型ザクⅡ」への機体が込められた、ガンプラ史でも屈指の名キットと言い切れるからである。
さて、お次は「頭にレドームのっけたハイザック」の、アイザックのHGUCの紹介である。
完成した(脚部に欠損パーツあり)HGUC アイザック
このアイザック、どう見ても「頭に円盤を乗せた、青いハイザック」でしかないのだが、一応こちらは『Zガンダム』の機体ではなく、翌年の続編『ガンダムZZ』の第30話 31話『青の部隊』から登場した、旧ジオン残党みたいな「青の部隊」所属のモビルスーツ。劇中では砂漠戦で、『ガンダムZZ』の主人公・ジュドーのZガンダムと戦った。
頭のレドームがこれみよがしに後方に伸びているサイドビュー
実はこのアイザックは、シミルボンの「『機動戦士ガンダム』を読む!」での『ガンダムZZ』再現画像では、当初は出すつもりはなかった。
今から2年ほど前に、とある企画のプレゼン用に、既存のガンプラのパーツの寄せ集めで、オリジナルのロボットの立体見本をでっち上げる必要があって、その時「ハイザックの両脚の脛のスラスター」が欲しくて、ヤフオクで、パチ素組数百円で出品されていたコイツを「あぁ脚のスラスターだけなら同じだし」で手に入れて、脚部スラスターだけ取り外して放置しておいた物だからだ。
ハイザックとは、また違ったデザイン感覚で高機動型ザクっぽさを狙ったバックパックのバックビュー