大人になるとホロっときちゃう?…泣けるまんが日本昔ばなし5選

大人になるとホロっときちゃう?…泣けるまんが日本昔ばなし5選

昔、TBS系の朝に放送されていた『まんが日本昔ばなし』。これまで数え切れないほど多くの地域に伝わる逸話や昔話を放送してきた同番組では、大人になった今見ても涙を誘うような感動話もいくつか存在します。今回はそんな思わずホロっとくる「泣けるまんが日本昔ばなし」を5つ紹介していきたいと思います。


へび女房

一言でいえば、鶴の恩返しのへびバージョン。「絶対に見てはなりません」⇒見る⇒幸せが破たんする…という筋書きをそっくりそのまま踏襲した物語です。

木こりを生業とする男が、ある日、山へ出かけると、その道すがらに長い髪の毛を木に巻きつけた美しい女が憔悴しきった様子で座り込んでいました。男は女をほっとくわけにもいかず、家に連れて帰ります。どこから来たのか、どこへ行こうとしていたのか…訊いても、女は何一つ答えません。そのまま女は男の家に住むようになり、男の身の回りの世話を焼くようになります。そんな女に男は惚れて、ある時、女房になってくれとプロポーズ。「私の身の上のことを何も訊かないでくれるなら…」と承諾。晴れて2人は夫婦となります。
やがて、女は男の子を妊娠。お腹はどんどん大きくなり、まもなく出産という時になると、納屋にこもり「絶対にのぞかないでください」と一言。しかし、赤ん坊が生まれた時に喜び勇んで、男は納屋を覗いてしまいます。すると、そこには大蛇と生まれたばかりの赤ん坊の姿が…。女は山の神の怒りに触れてへびにされてしまったといい、一度だけその神の許しを得て人間に戻ったとのこと。「私を裏切らなければこのまま人間の姿でいられたのに…」そう伝え、「子供がひもじがった時はこの目をしゃぶらせてください…」と男に自分の目を渡すと、女房は去って行ってしまったのです…。

幸運にも良き伴侶を得た男が、不運にもその伴侶を失うという悲劇のストーリー。残された我が子が母親に恋しさに泣き、母が消えていった沼に通うシーンには、胸を撃たれます。

牛女

一見「オカルト系かな?」と思わせるタイトルですが、中身はれっきとした感動話のこの『牛女』。

ある村に「牛女」と呼ばれている、気性がやさしくおっとりした女が住んでいました。「牛女」は身体が大きて力持ちだったため、村の男衆が音を上げるような力仕事もゆっくりながらも丹念にこなし、日銭を稼いでいました。牛女には小さな男の子が一人いました。牛女は耳が聴こえず、口もきけませんでしたが、男の子とは心が通じ合っており、仲睦まじく暮らしていました。
ある時、牛女は病に倒れてしまいます。村人たちは心配して何かと援助をし、男の子も献身的に看病したものの、牛女は還らぬ人に。村人たちはみなし子となった男の子をみんなで世話することにしました。今日はこっちの家に泊まり、明日はあっちの家に泊まり…といった具合に。
やがて月日は流れ、立派に成長した牛女の息子は遠くの街に働きに出ます。その後、村に帰ってきた彼は、仕事で貯めたお金でたくさんの梨の苗木を買ってきて、「自分の育ったこの村で梨づくりを始めたい」と言い、村人を巻き込んで梨の栽培に着手します。ところが、なかなかうまくいかず、次第に村人も梨栽培から手を引いていってしまいます。途方に暮れ、とぼとぼと歩く牛女の息子は、いつの間にか村はずれの丘の上に立っていました。母が死んだ後、寂しくなるとよく通っていた思い出の場所です。ここから遠くの山を見ていると母が姿を現して、自分を励ましてくれる…そんな気がしたものだと昔を回顧し、山をぼんやりながめていると母の姿が浮かんできて、牛女の息子の心は温まり、「おっかあのように辛抱強く頑張ろう」と気持ちを新たにするのでした…。

山ほども大きな母の愛にしみじみと感じ入れる、名作中の名作です。

河童の雨乞い

こちらは輪廻転生の概念に基づく深イイ話。

ある村の沼には河童が棲んでおり、これが畑を荒らすは沼に人を引き摺り込むはと悪行の限りを尽くす性悪でした。ある日のこと、旅の僧侶に「何故悪さばかりしているのか」と問われた河童は「人間の仲間に入れてもらえず、かといって、魚・亀の仲間でもないからやけになって暴れている」と答えます。そこで僧侶はお前が河童なのは前世での行いが関係していると、輪廻転生の価値観を伝え、今のまま悪さをしていたら、来世はもっとひどい姿で生まれてくるかも知れないと諭します。

その年の夏、日照りが村を襲います。村人たちは総出で雨乞いをするも、雨水一滴降ってきません。そんな様子を見た河童が、ふらっと村人たちの輪の中へ闖入。村人たちは驚き、日ごろの恨みもあったので、河童を袋叩きにします。しかし、河童は「自分にも雨乞いをさせてくれ」と懇願。仕方なく村人たちは、河童の手を縛り、雨乞いをさせることに。河童は「神様、オラの命と引き換えに村に雨を降らせてはくださらんか?」とひたすら天に向かって叫び続けるのでした。

悪さばかりしていた主人公が僧侶に説法されたのをきっかけに、世のため人のために生きる道を歩んでいく…という筋立ての『河童の雨乞い』は、どことなく、手塚治虫の『火の鳥』鳳凰編を思わせます。

やせうま

忠犬ハチ公や南極物語のタロとジロに代表されるように、健気な動物が人間のために忠義を尽くす話はいつの時代も感動を誘うもの。『やせうま』はその典型です。

ある村に住んでいた貧乏な炭焼きの男は、ある日、村人から鞭で叩かれているやせ馬を見かけました。男はやせ馬を不憫に思い、手持ちの炭一俵と交換することに。その日から男は馬を大層可愛がり、「オラの稼ぎがよくなったら、麦をたらふく食わせて、元気付けさせてやる。そうしたら、仕事を手伝ってくれ」と語りかけます。
そんなある日のこと、やせ馬は男の家から行方不明に。方々探し回り、やっと見つけた場所は、いつも男が仕事をしている炭焼き小屋の前でした。男はたいへん喜び「さぁ、帰ろう」と促すも、やせ馬はその場を離れようとしません。どうやら、男の炭を運ぼうとしているようなのです。それならばと男はやせ馬に炭を運ばせ、その日から毎日一緒に仕事をするようになったのでした。

ある年、村は何年かぶりの冷害に襲われてしまい、不作の年に。男は自分の食べる分の穀物もやせ馬に与えたものの、雪が溶けるころには前よりも一層痩せてしまいました。それでも、男の炭運びを手伝おうとするやせ馬。フラフラになりながらも、炭を抱えて歩き、そしてついに倒れてしまいます。男は倒れ込んだやせ馬を抱えて歩こうとしましたが、そこへ一塵の風が吹き…。

人間と動物の絆を感じさせるハートフルストーリーになっています。

寿命のろうそく

タイトルに強い訴求力を感じさせるこの『寿命のろうそく』は、兄弟愛について描いた物語です。

ある村に、何をするにも一緒の仲のいい双子の兄弟がいました。ある時、双子の兄が病に冒され、明日の命さえも分からぬ危篤状態に。弟は藁にもすがる思いで天に祈りをささげると、神様が登場。「それほどまでに兄を助けたいなら、天まで昇ってこい。ただし、恐ろしい目に遭うことになる」と弟に注意勧告するも「兄貴を助けるためなら、どんなことでも辛抱します!」と即答。こうして弟は、出現した天に向かって伸びる梯子を上り、雲の上へと到着。そこには、神様の言った通り恐ろしい試練が待ち受けていたのですが、弟はなんとかその試練を潜り抜け、ある部屋へとたどり着きます。そこは、無数のろうそくが灯る不思議な部屋でした。神様が言うには、これらは「命のろうそく」であり、消えかかっている兄のろうそくを見つけ出し、再び火をともす必要があるとのこと。弟は必死になってろうそくを探すのですが…。

たった10分あまりの尺で、スリリングな展開を挟みながらも、最後には「命とは何なのか」を考えさせられるたいへん密度の濃い物語です。

(こじへい)

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