日本人ブンデスリーガー第1号・奥寺康彦の凄さをおさらいしてみよう!

日本人ブンデスリーガー第1号・奥寺康彦の凄さをおさらいしてみよう!

1977年に、名将ヘネス・バイスバイラー監督に見いだされ、25歳でドイツ・ブンデスリーガ1部・FCケルンに入団した奥寺康彦。入団1年目でリーグ・カップ戦の優勝に貢献し、2年目にはUEFAチャンピオンズリーグの前身・チャンピオンズカップ準決勝で値千金のゴールを決めるなど、その目覚ましい活躍ぶりを紹介します。


1部・2部合わせて総勢14人の日本人が活躍するブンデスリーガ

香川真司(ドルトムント)、長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)、鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)、大迫勇也(ケルン)、武藤嘉紀(マインツ)、酒井高徳(ハンブルガーSV)、伊藤達哉(ハンブルガーSV)、浅野拓磨(シュトゥットガルト)と、現在、ドイツ・ブンデスリーガでは8人の日本人が活躍しています。

これに、宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)、原口元気(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)、金城ジャスティン俊樹( フォルトゥナ・デュッセルドルフ)、宮市亮(FCザンクトパウリ)、渡辺凌磨(FCインゴルシュタット04)、関根貴大(FCインゴルシュタット04)と、ブンデス2部リーグのチームに所属している選手を加えると、総勢14人に上ります。

もちろん、欧州の中でこれだけ多く日本人が在籍しているリーグは、他に存在しません。

昔はフジテレビの海外サッカーの解説者として、よく出ていた奥寺康彦

こうした日本人ブンデスリーガーの、いや、外国で活躍する日本人選手、いわゆる「海外組」のパイオニアとなったのが、奥寺康彦でした。

今でこそ、WOWOW、スカパー、DAZNなど、さまざまなメディアで海外サッカーが観られるようになり、それに伴って、イングランドプレミアリーグの強豪・トッテナム・ホットスパーに在籍経験もある元日本代表の戸田和幸や、現役Jリーガーの中村憲剛など、新進気鋭の解説者も次々と登場しています。

かつて、フジテレビの深夜くらいでしか欧州リーグやチャンピオンズリーグを視聴できなかった時代においては、海外サッカーの試合解説といえば、ほとんど奥寺氏一択だったものです。

奥寺 康彦氏

日本初ブンデスリーガー奥寺康彦 official ブログ by ダイヤモンドブログ

25歳の時にFCケルンへ入団

彼が海外サッカーの有識者として長らく重宝されていたのは、日本人初の海外組ということもさることながら、ブンデスリーガで9年間に渡って目覚ましい活躍をしたからに他なりません。

奥寺がドイツへ渡ったのは、1977年。25歳の時でした。当時、日本サッカーリーグの古河電気工業サッカー部で活躍していたレフティの奥寺は、1977年夏、日本代表のドイツ合宿の際に、当時、スピードのある左ウィングを探していた、バルセロナでも指導歴のある名伯楽ヘネス・ヘネス・バイスバイラー監督に見初められ、ブンデスリーガ1部FCケルンへ入団することに。

ヘネス・バイスバイラー

ヘネス・バイスバイラー - Wikipedia

入団1年目でリーグ・カップ戦優勝の二冠に貢献!

「やってみたいなという気持ちはありましたけど、僕らにとっては雲の上のようなレベルだったので、来てほしいと言われたときには体が震えました」

奥寺は当時の心境をこのように語っています。10月7日に入団すると、早くも12日にはベンチ入り、10月22日には、対MSVデュースブルク戦で先発デビューを飾ります。いかにも、幸先の良いスタート…かのように見えますが、しかし、デビュー戦の開始1分で、奥寺はゴール前でファウルを犯し、相手にPKを与えてしまったそう。これが決勝点となり敗戦した際には、現地メディアからの袋叩きは免れません。ですが、幸運なことにゴールキーパーがPKをストップし、その試合にも勝利。その後、順調に活躍を続け、20試合出場で4ゴールを記録。リーグ、DFBポカール(カップ戦)優勝の二冠達成に大きく貢献しました。

ちなみに、当時のケルンには後にバルセロナ、レアル・マドリード、アトレティコ・マドリードで活躍する若き日のベルント・シュスターや、Jリーグ草創期にジェフユナイテッド市原でもプレーした元西ドイツ代表ピエール・リトバルスキーなど、錚々たるメンツが揃っていました。

チャンピオンズカップ準決勝で、鮮烈なゴールを決める!

奥寺のドイツにおけるキャリアの中で、もっとも鮮烈なシーンの一つが、1978-79シーズンのUEFAチャンピオンズカップ準々決勝における活躍です。現在のEFAチャンピオンズリーグは、ブンデスなら上位4チーム、リーグ1(フランス)なら上位3チームといったように、欧州各国から多数のチームが参加できるようになっていますが、チャンピオンズカップ時代は、各国リーグの優勝クラブしか参加できない狭き門。
そんなチャンピオンズカップ準決勝で、奥寺はイングランドのノッティンガム・フォレスト相手に、アウェーで貴重な同点ゴールを決め3-3のドローに持ち込んでいます(その後、ホームの第2戦は0-1で敗れたため、敗退してしまいました)。

ケルンに3年間在籍した後、ヘルタ・ベルリン、ヴェルダー・ブレーメンへと渡り歩き、1986年に古河電工に復帰するまで、都合9シーズンに渡ってブンデスリーガでプレーした奥寺。

ドイツでの通算成績は、234試合出場で26得点。海外組のパイオニアとして残したこの偉業が、色あせることは決してありません。

「我が道」奥寺康彦

「我が道」奥寺康彦 | スポーツニッポン新聞社 |本 | 通販 | Amazon

(こじへい)

関連する投稿


【90年代名作上映「Filmarks 90’s」第7弾!】『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』公開25周年記念2月23日(金)より全国上映決定!

【90年代名作上映「Filmarks 90’s」第7弾!】『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』公開25周年記念2月23日(金)より全国上映決定!

国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス Filmarks(フィルマークス)主催のリバイバル上映プロジェクトにて、『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を2月23日(金)より1週間限定で再上映することが決定。


【池谷公二郎】三振かホームラン!? 被本塁打のシーズン歴代最多記録を持つ広島のエース

【池谷公二郎】三振かホームラン!? 被本塁打のシーズン歴代最多記録を持つ広島のエース

シーソー投法と呼ばれたダイナミックな投球フォーム。広島ファンならずとも、真似しようとしたプロ野球ファンは多かったのではないでしょうか。ストレート真っ向勝負が多かったことから、奪三振も被本塁打も多かった投手で、広島の躍進に大いに貢献したエースです。そんな池谷公二郎投手の記録を振り返ります。


世界初はハリボー!日本初は?グミの歴史と人気商品をまとめてみた!

世界初はハリボー!日本初は?グミの歴史と人気商品をまとめてみた!

今ではコンビニお菓子の主役の1つともいわれているグミ。今では大人でも好きな人が多いですよね。日本にグミが浸透するまでの歴史をまとめてみました。


ドラマ「甘辛しゃん」のヒロイン神沢泉の幼少時代役を演じた『山下結穂』現在は〇〇で活動中!!

ドラマ「甘辛しゃん」のヒロイン神沢泉の幼少時代役を演じた『山下結穂』現在は〇〇で活動中!!

1997年10月6日から放送されたNHK連続テレビ小説「甘辛しゃん」でヒロインの神沢泉の幼少時代 役を演じレギュラー出演していた山下結穂さん現在は日本を離れ〇〇に在住という・・・。


【1977年】「ネェーマスタ〜」「ルイルイ!」日本レコード大賞新人賞の受賞曲と受賞者の今

【1977年】「ネェーマスタ〜」「ルイルイ!」日本レコード大賞新人賞の受賞曲と受賞者の今

昔は大晦日の夜といえば、テレビの前で一家団欒。『日本レコード大賞』と『紅白歌合戦』をはしごして視聴した方が多かったことでしょう。特に、日本レコード大賞の「大賞」や「最優秀新人賞」の発表では、ドキドキしながら観ていた方も多いのではないでしょうか。今回は、日本レコード大賞の「新人賞」にフォーカスし、受賞曲と受賞者の今についてご紹介します。


最新の投稿


世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

葛飾区商店街連合会は、2025年10月10日より『キャプテン翼』とのコラボイベント「シーズン2」を亀有・金町・柴又エリアで開催。キャラクターをイメージした限定メニューやスタンプラリーを展開し、聖地巡礼と地域活性化を促進します。


キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

人気アニメ『キン肉マン』の「完璧超人始祖編」の名言・名場面を題材にした英会話学習書『キン肉マン超人英会話』が、2025年11月29日(土)にKADOKAWAより発売されます。超人たちの熱い言葉を通じて、楽しみながら実用的な英語表現をインプットできます。TOEIC満点保持者やプロレスキャスターなど、豪華プロ集団が監修・翻訳を担当した、ファン必携の英語学習本です。


【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

開催直前!TOKYO MX開局30周年記念「昭和100年スーパーソングブックショウ」が10月16日に迫る。古舘伊知郎と友近がMC、豪華ゲストと共に贈る一夜限りの昭和ベストヒットに期待高まる!


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。