『少年は荒野をめざす』1~2巻 吉野朔美 集英社ぶ~けコミックス
少年は荒野をめざす 全6巻/吉野朔実
かちっとした絵柄と線、無垢がゆえにエキセントリックな登場人物
そういった精神世界的な内容で、難解な作品が多いのですが
中二病的なテイストを好む向きからは絶大な支持を得ていました。
歌人の穂村弘や精神科医の春日武彦と交流があって
穂村弘の歌指南本には吉野朔美の歌が何首か載っています。
後年は本の雑誌社の「本の雑誌」に
『吉野朔美劇場』と銘打った隔月連載を持っていました。
とにかく読んでいる本、観ている映画の本数とカテゴリのマイナーさがすごかったです。
吉野朔美さんは2016年4月20日、ご病気のため逝去されました。
享年57歳でした。
松苗あけみ 美麗な絵柄とノリの良さ
『純情クレイジーフルーツ』1~7巻 松苗あけみ 集英社ぶ~けコミックス
純情クレイジーフルーツ 続編 1~最新巻(ぶーけコミックス) [マーケットプレイス コミックセット] | 松苗 あけみ |本 | 通販 | Amazon
「ぶ~け」といえば『純クレ』(純情クレイジーフルーツ)という人も多いでしょう。
女子高の個性豊かな4人組の日常のあれこれを描いた群像劇。
これはさすがに、舞台が女子高だけに、話は恋愛が中心ですが
恋愛に関してはあっさりからりなトーンで
ドタバタしながらも意外に乙女な彼女たち(年食ってる校長教頭も含めて)を
華やかで美しいペンタッチで描いていきます。
『純情クレイジーフルーツ』連載第1回扉絵 「ぶ~け」1982年7月号
くだん書房:目録:マンガ:雑誌:集英社:ぶ〜け
松苗あけみは『純クレ』のあとも
『山田さんと佐藤さん』『HUSH!』『緋野家の兄弟 花賀家の姉妹』
『ロマンスの王国』『女たちの都』など
連載を多数持って、「ぶ~け」執筆陣の中心的存在になります。
現在も現役で活躍されているマンガ家さんです。
衝撃的だった『船を建てる』
「ぶ~け」の歴史の後半でデビューし
読者に衝撃を与えた作品をご紹介しておきますね。
『船を建てる』上下巻 鈴木志保
船を建てる 上 | 鈴木志保 | コミック | Kindleストア | Amazon
作者は鈴木志保。
人間は出てきません。主人公はアシカ。
アシカの世界に日本も、アメリカもあります。
たった16ページに淡々とつづられるつぶやきのような語りのようなネームと
アートのような、でもこれしかない、という絶対的な線の描写。
マンガ版村上春樹のようだと称した人もいます。
コマ割りは大胆で、カットもそれまでのものとは違う。
なにより意味をつかみきれない不条理さが漂うその雰囲気。
吉本ばななが絶賛している記事を読んだことがあります。
私は衝撃を受けましたが
「よくわからない」という声もありました。
こういう作品を載せていくのは、やっぱり「ぶ~け」なんだな、と思ったものです。
鈴木志保はその後、
人形劇『バケルノ小学校 ヒュードロ組』(NHK)のキャラクターデザインをしたりなど
マンガだけでなく、広い世界での活動をしています。
少女マンガにおける「アート」を牽引した「ぶ~け」
「ぶ~け」1996年1月号 新創刊
くだん書房:目録:マンガ:雑誌:集英社:ぶ〜け
「ぶ~け」は1996年
装丁をA5判からB5判に変えただけでなく
比較的一般的な少女マンガ誌の路線寄りになり、
結果、他の雑誌の中に埋もれて行った気がします。
2000年、「Cookie」誌の創刊と入れ替わるように、廃刊となりました。
少女マンガの「アート性」を牽引してきた「ぶ~け」でしたが
アートなテイストのマンガがだんだんに周知されてきたころ
静かにその役目を終えたかのようでした。