概要❤

『セクシーパロディウス』
警告:アダルトコンテンツ
『パロディウスシリーズ』の5作目(アーケードでは3作目)として1996年3月に稼働を開始。「極上パロディウス」以来2年ぶりとなるアーケード向けの新作でした。
『極上パロディウス』の主人公(の一人)であったタコスケが探偵事務所を開きギャルにモテモテ…を目指すゲームです。しかしタコスケ自身は戦わずビックバイパーなどの仲間たちに戦わせます。「セクシー」の名前どおりお色気演出が多く、選択できる自機の幅も多くパワーアップするごとに喋る、といった非常ににぎやかなゲームではあったのですが、下記の通りの高難易度のために猛烈にプレイヤーを選ぶことに…。
また、本作以降『パロディウス』の名を冠したシューティングはリリースされておらず、ドラマCD「究極パロディウス」や、『オトメディウス』シリーズを除けば、事実上の『パロディウスシリーズ』最終作となりました。
あらすじ❤
『極上パロディウス』の過去の栄光を探す旅から2年。父にそそのかされて祖父の愛人と戦わされた上、結局何にも得る事なく,それどころか半年も宇宙空間を漂流する事となり命からがら地球に戻った、タコスケは「思春期(お年頃)になり、祖父のように様々な欲望を果たしたいと思うが、金もなければ仕事もなく、どうしようなく毎日悶々としていたタコスケの所に、同じく悶々とした日々を送っているビックバイパーとペン太郎が訪れ、「噂ではツインビーの奴が何とか王国でひと暴れしていい稼ぎをしたらしいやないか。 今年はなんやそこに豪華な別荘立ててねーちゃんに囲まれて暮らしとるらしいやんけ。 わいらも一発当てようやないか」と話を持ちかけ、同じく仕事にあぶれたイワン、ひかる、マンボ、ミカエル、こいつ、オプション、エースらを職員として雇い探偵事務所を設立し、「タコスケ」は所長として盗賊団の退治、落とした現金の回収、誘拐された美女の救出など、さまざまな依頼を受け、お金を稼いでいくのだが・・・・・・。
登場する自機キャラクター❤
本作の自機のうち『パロディウスだ!』から続投しているのはビックバイパーのみとなっており、他は『極パロ』の4体と新たに追加された3体の計8体となっています。なおタコスケは探偵事務所の所長、ペン太郎は会計として登場します。
本作から登場した自機はオリジナルキャラの「イワン」、まさかの自機化の「オプション」(2P側は『沙羅曼蛇2』に出演できなかった「マルチプル」)、そして『ツインビーヤッホー!』で登場したエースの愛機「シューティングスター」の3体です。
ちなみにエースも登場しているのですが、原作のシリアスなキャラが完全崩壊しています。またシューティングスターの2P側で登場する「ブラックバイパー」は装備を除いて1P側と殆ど関係ない所詮別キャラとなっています。
もともとブラックバイパーが1Pとして開発されていたのですが、これではビックバイパー+ブラックバイパーというプレイができないので1Pがシューティングスターになったという経緯があります。ちなみにブラックバイパーでのソロプレイでは空中戦BGMがエースのものとは異なる専用のものになりました。
システム❤
ノルマ制によるステージ分岐を採用
ステージ毎に「特定の収集用アイテムを○○個集める」「特定の敵を○○体倒す」といったノルマが設定されており、ノルマ達成できたかどうかで次に進めるステージが変わるようになりました。
これに対応してか、おなじみベルパワーも本作では白ベルの効果が差し替えられています。
収集用アイテムを優先的に食べに行く、オプション代わりの…生物(?)がついてくるようになりました。
パワーアップタイプについて
パワーアップタイプは『極上』と同じく自動でパワーアップが行われる「オート」、オートの効果に加えて任意のパワーアップが可能な「セミオート」、従来と同じく任意で行う「マニュアル」の3つから選択できます。
本作では「オート」を選択した場合、ミス後の復帰が「その場復活」に変わる他、ランクの上昇速度が他のタイプよりも穏やかになります。
評価点❤
演出面
過去作を凌ぐほどの派手な演出が魅力です。背景にも無数のサブキャラが描かれており、せっせとアニメーションしていて見た目が楽しいですね。
「タコスケが探偵事務所を開いた」というくだりは単なる裏話ではなく、本作の各ステージは依頼人の頼みにより始まるという演出が入っていてストーリー性があります。
ステージ終了後、ノルマ成功かノルマ失敗かにより、ステージごとに異なるフィニッシュ演出が見られます。失敗のときの笑えるバッドエンドっぷりはある意味必見です。
音楽面
相変わらずクラシック音楽や民謡を大胆にアレンジしたBGMが使用されており、優秀なサウンドスタッフによる鉄板のクオリティを誇っています。
曲数も大盤振る舞いで、一つのステージ中に数曲使用されていることが珍しくないです。
コナミの関連作繋がりのBGMを使用したセルフパロディも見られ、ファンなら更に楽しめますね。
声優陣のCV
パワーアップボイスがキャラによって固有のものになりました。声優さんを起用しており、それぞれに個性が出ています。
イワン/トビーは渡辺久美子氏、ひかる/あかねは中川亜紀子氏、ミカエル/ガブリエルは(勇者王)檜山修之氏が担当されています。
バイパー/ブリティッシュは標準のもの…ではなく、「ハヤクナリマース」「ミサイルウテマース」のように何故か独特すぎる片言に…(笑)。
一方でシューティングスター/ブラックバイパーが本家シリーズのような英語ナレーションになっています。上記通りブラックバイパーとして作られていた名残でしょうか。
その他
本作は1周エンドですが、先述のノルマを全て成功させると最後に隠しステージが追加されるというシューターの挑戦を煽る仕様があります。
難易度のランクが低いときと高いときで、攻撃パターンを派手に変化させる敵が存在します。
単純に敵弾を増やしたり敵が硬くなるだけの調整に留めていないのは、スタッフがこの仕様をしっかり中核と見据えていたからでしょう。
…ただし調整の方向性が万人受けするものではなかったのですが。
問題点…
『バトルガレッガ』以上のランクゲー
ランクを下げる方法はほぼ皆無です。しかし、少しパワーアップしているだけでも目に見えるほどの爆発的な勢いでランクが上がります。
しかもランクを抜きにしても、そもそもの基本的なステージやボスの難易度も非常に高いため、ランクを上げないための低パワーアップ走行ではザコにもボスにも押される、という八方塞がりなゲームバランスに…。
パロディウスシリーズは伝統的にランクゲーでしたが、本作ほど酷い物はありませんでした。
低パワーアップ進行を補うためのベルパワー…と思いきや、敵弾を防げるスーパーボム(青ベル)や菊一文字バリア(赤ベル)はストックを抱えているだけでランクが跳ね上がります。しかも本作でもベルパワーストック中はバリア系装備を付けられないため、かえって不利になってしまう場合すらあり得ます。
挙句の果てに、ミスをしてもほとんどランクが下がらないうえ、通常は戻り復活なので復活時の装備の立て直しでますますランクが上がってゆきます。
ランクが上がると、序盤面でも雑魚敵一体一体が猛烈な量の撃ち返し弾を残すようになります。3面の時点で時間差撃ち返しにまで至っていることもザラでした。
ステージ構成が2面から袋小路や水流のギミックがある高速スクロール面となっているのですが、スクロールに対応するためにどうしても2速以上を取らされるため、余計にランク上昇が速くなります。
後日発売されたサントラでは、1面→4面→3面→2面の順にBGMが流れることから、「当初は4面に配置される予定だった高速ステージが、諸事情で2面に配置変えになったのでないか」と推測されています。
最終&隠しステージの難易度
弾幕シューティング顔負けの圧倒的物量を誇り、開発スタッフからの殺意すら感じる物となっています。(これ以上あの難易度を言葉で表現できません。)
ノルマ制について
本作のノルマ制ですが、初回からノルマ達成は厳しいものになっています。
達成しようとすると「多少の無理をしてでも収集アイテムを最優先で取りに行く」「他の敵を無視してでも対象敵を撃ちまくる」「ベルは白ベル優先で」などと自由度が下がってしまいます。
しかも、何故か「基本的にノルマ失敗後のルートの方がボスが強くて難しい」という調整になっています。
一方、前述の通り隠しステージに挑戦したいならノルマを全て達成しなければいけません。
問題点のみの総評
本作はアーケードとしての前作『極パロ』は『だ!』の高難度の反省からか遊びやすい難易度だったのに、『極パロ』どころか『だ!』の1周目をも上回る激烈難易度になってしまいました。
それどころかあの『グラディウスIII』と並び、コナミシューティング最高難易度の一角に位置するといえるほどのすさまじい代物です。
こちらは1周エンドのゲームであるため、2周目が凄まじく難しかった『だ!』よりも厳しいです。
こうして見ると初心者完全お断りのように見えますが、一応初心者への配慮も全くないという訳でもありませんでした。先述の通り、パワーアップタイプで「オート」を選んだ場合、ランク上昇が緩やかになる上にその場復活になるので、「マンボ/サンバ」や「シューティングスター/ブラックバイパー」といった少ないパワーアップでも強い機体を使い、スペシャルステージを無視してパワーアップを必要最低限に抑えて進行すれば難易度はそれなりに落ち着きます。
この調整は恐らく今までのシリーズで根付いていた「オートパワーアップ=罠」という状況を少しでも打開したかったものと考えられます。
しかし、こうした開発スタッフの努力も虚しくこれまでの感覚で「マニュアル」を選択するプレイヤーが多かった結果、上記の地獄絵図のような難易度を味わうことになってしまったのでした…。
プレイ動画❤
総評❤

『セクシーパロディウス』サウンドトラック
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『パロディウスシリーズ』としてはグラフィック・音楽・演出共に最高峰です。これは間違いありません。しかしゲームの難易度までもが最高峰という代物になってしまいました。
アーケードゲームにありがちな高難易度至高派の一部からは好かれています…が、限度というものがあります。
あまりの難しさに投げてしまった者も多く、評判も芳しくはありませんでした。そして今作は、パロディウスシリーズにとどめを刺す形となってしまうのです…。
同時期に稼働した『沙羅曼蛇2』の評価も芳しくなく、『beatmania』などの音楽ゲームが売れ始めたことも重なってコナミは横シューティングの製作に消極的になっていきます。
巻き返しを図った3年後の『グラディウスIV -復活-』も散々な出来であったため、コナミシューティングは事実上の終焉を迎えることとなります…。