『ガンプラり歩き旅』その52 ~元々は小説版から生まれた、G3ガンダムとシャア専用リック・ドム!~

『ガンプラり歩き旅』その52 ~元々は小説版から生まれた、G3ガンダムとシャア専用リック・ドム!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第52回のお題は、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムの紹介です!


仕切り直しの第2巻からは、シャアは富野監督がもっともお気に入りだったと思えるドムに乗り、アムロの「灰色のガンダム」と、文庫本2冊分に渡って死闘を繰り広げるのだ。
そうなれば、G3ガンダムがこれほどメジャーになってきて、RX-78 ガンダム関連のプラモやフィギュアが売られれば、必ずカラーバリエーションとしてG3ガンダムも売られるとなれば、往年の小説版のファンであればこそ、そこに「深紅のドム」を並べたくなるというのがガンダム者魂(笑)

シャア専用リック・ドムのバックショット。バーニアやスカートはもちろんリック・ドムのパーツ

しかし、シャア専用リック・ドムの方は、当時からこれといった決定打的なカラーリング公式設定がなく、今でこそちらほらと、ガンプラやフィギュア関係でシャア専用リック・ドムの商品を目にする機会が増えたが、その配色や赤味などは、基本統一がとれてない辺りは、むしろホッとするところ。
もちろん、設定が決まってないからこそ、各商品単位で、成型しやすいようにピンクと深紅を組み合わせたり、赤茶色を使ってみたりするのだが。
こちらの方は、やはり近年のガンダムゲームで、ユニットとして登場するようになってから認知度が上がったようで、そこでゲーム単位、グラフィッカー単位で「シャア専用リック・ドムの配色とは」の解釈が別れるので、今のところ「正解はない」というのが実情だろう。

小説版のラストより。この画像で何のシーンか分かる人は、相当の小説版(しかも朝日ソノラマ版)マニア

これはG3ガンダムにも言えるが、元のデザインと、どこかが違っているわけでもないので(シャア専用といいつつ、諸々のシャア専用リック・ドムには、角が付いてない仕様の商品が多い)、それこそ小説版が欲しければ、普通のガンダムやドムを買ってきて、グレーや赤で、自分で好きなように塗ればいいのだが、そこはそれ、「限定版商法」というものがあるもので。

ダイナミックなポーズが可能な仕様が、シャアに相応しい

あと、シャア専用リック・ドムに関してはもう一つ。
近年、デザインの発祥がどこかは定かではないが、シャア専用、に限らず、リック・ドムを商品化する際、通常のドムと差別化するためのアイテムとして「ビーム・バズーカ」というアイテムが付属することが多くなってきた。
そもそも、この「リック・ドムが持つビーム・バズーカ」なる代物自体が、富野由悠季氏が書いた小説版が元ネタであることを、知らない世代のファンは増えているのだろう。
もっとも、当初の朝日ソノラマ文庫版では、富野氏も相当多忙な中で執筆していたからか、ドムが攻撃をする描写で手にしている武器が、ビーム・バズーカだったり、ビーム・ライフルだったり、交錯している辺りは苦笑するところです(笑)

今、「朝日ソノラマ文庫版」と書いたが、小説版ガンダムはそれが初出であり、そこでのイラスト担当は、アニメ版『ガンダム』にも参加したが、元は東映動画出身の青鉢芳信氏。
「なんでせっかくのガンダムの小説のイラストを、同じソノラマ文庫で『クラッシャージョウ』のイラストも描いた、安彦良和氏に描かせないんだ」は、当時誰もが思ったが、小説版の最初の刊行はガンダムブーム以前であり、安彦氏はそれこそ多忙過ぎて病気で倒れる寸前だったか、倒れてらっしゃったかで、まだ売れるかどうかも分からない「テレビロボット漫画のノベライズ」で、安彦氏を起用できる余裕(いろんな意味で)がなかったのも事実。

小説版では「ビーム・サーベル」だった扱いの、リック・ドムのサーベル

では、青鉢芳信氏のイラストでは悪いかというと。確かにいろいろ、キャラのイラストとかメカニックのラインとかが、安彦的とはまた違ったニュアンスがあったのだが、「そこ」も含めての「小説版『ガンダム』の魅力」であったことは事実。

何が言いたいかというと、青鉢氏のイラストで、劇中のシャア専用リック・ドムがビーム・バズーカを撃つシーンが描かれているんだけれども、そのデザインは、G3ガンダムがガンダムのままだったように、シャア専用リック・ドムがドムのままだったように、通常のドムが携行しているジャイアント・バズそのままだったのである。

小説版をソノラマ文庫で読んだ世代には、バズーカはこのデザインのままで充分!

筆者の世代は、シャア専用リック・ドムのビーム・バズーカと言われれば、普通にジャイアント・バズと同じ物を思い出すし、それはG3ガンダムのカラーリング同様、「公式で一度、“それ”が描かれたのだから、それで当たり前」と刷り込まれたのだ。

ところが、である。
カラーリング的には自由度の高かったシャア専用リック・ドムにおいて、ここでもまた、奇妙な「後付け設定改変」が起きた。
要するに、「実体弾を発射するジャイアント・バズと、ビームを発射するビーム・バズーカが、同じデザインではおかしい」と。
まぁ、先に突っこんでおけば、18m級の人型兵器が使用するマシンガンだのバズーカだのが、人間の兵隊が使う物とディテールまで似せて構造が成り立ってること自体がおかしいので、逆をいえば 20m級の兵器であれば、それこそ戦争における経費削減優先で、外側の装甲こそ同じでも、中身の構造だけごっそり入れ替える、なんて方がリアリズムがあるような気もするのだが……。

シャア専用リック・ドムとセットで入手できる、HGUC 021版ガンダムの成型色替えG3ガンダム

とりあえず、サンライズ、バンダイは、表向きは「一年戦争当時、ジオンはビーム兵器の小型化においては連邦より遅れて劣っていた。なので、モビル・スーツの携行用バズーカであっても、予想を遥かに超えた大きさと武骨さで、急ぎ繕いの感が拭えない、試作型っぽいビーム・バズーカを新たにデザインした方がリアリティがある」という理由で、なんだか角材みたいな、どでかい長方形箱型の、いろいろチューブやメカが露出している、いかにもっぽいイマドキ風のデザインのビーム・バズーカをデザインして公式化したのだ。

小説版の青鉢氏のイラスト的には、こちらの方がプロポーションが合うのかも!?

それだけではなく「試作型のビーム・バズーカを扱えるモビル・スーツはリック・ドムだけだろうし、仮に試作型だったとしても、シャアにだけ与えられたとも考えにくいし、小説版ガンダムでのリック・ドムは、量産型でもビーム・バズーカが標準装備だったし」という、分かるような分からないような理屈で、様々に展開しているモビル・スーツ商品のリック・ドムに、片っ端から「それ」をオプションで付属させるようになったのだ。

『G3ガンダム+シャア専用リック・ドム』セットのG3ガンダム。決して悪くはないのは、元のキットの素養が良いから

要するに、表向きはそれらしい理屈が付いているが、本音のところで言えば、「G3ガンダムのパープル」と同じで、リック・ドムをドムと別個に商品展開するのに、スカートとバーニアの違いだけでは“弱い”、しかし、公式の元祖アニメ版で同じに描かれている以上、それ以上の余計な差別化は出来ない。では、「アニメには映らなかったところで」を公式化してしまえばいい。という商的なロジックで、イマドキの角材ビーム・バズーカが成立しているというのは、結果論的には概ね当たっている。

なので、筆者は今回は、初心に徹して、朝日ソノラマ文庫版と、青鉢芳信氏のイラストに敬愛の念を込めて、あえてキットに付属されていたビーム・バズーカパーツには一切手を付けず、ありがたいことにシャア専用リック・ドムのキットにも残されていたジャイアント・バズのパーツを使って「朝日ソノラマ文庫版、青鉢芳信イラスト版」の小説再現画像を作ることにした。

ここでようやく、このキットの解説に入るのだが(長い前置きだなぁ(笑))。
今回用意したガンプラは2つ。
一つは『G3ガンダム+シャア専用リック・ドムセット』で、HGUCでガンダムとドムが出そろい終わった、2008年に一般発売された物。
この商品は、既発売のHGUC 021 ガンダムと、HGUC 059 ドム/リック・ドムの2つが成型色替えでセットになっているだけという仕様。
ガンダムの方のコア・ファイターは、そのまま中途半端な色分けでパーツが残されているが、シャア専用リック・ドムの方の、「ドム用のパーツ(足裏、スカート、背部バーニア等)」は付属しない。

『G3ガンダム+シャア専用リック・ドム』セットに付属する、ロービジカラーのコア・ファイターのパーツ

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