『ガンプラり歩き旅』その52 ~元々は小説版から生まれた、G3ガンダムとシャア専用リック・ドム!~

『ガンプラり歩き旅』その52 ~元々は小説版から生まれた、G3ガンダムとシャア専用リック・ドム!~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第52回のお題は、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムの紹介です!


小説『機動戦士ガンダム』中盤。シャアのリック・ドムのビーム・バズーカが、アムロのガンダムを襲う!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回は、ガンダムブーム当時、総監督の富野由悠季氏が執筆した、小説版『機動戦士ガンダム』中盤から登場した、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムの紹介です!

G3ガンダム+シャア専用リックドムセット 2008年2月発売 2500円

小説版『機動戦士ガンダム』の一場面を思い起こさせる、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムの一騎打ち!

G3ガンダム(REVIVE) ガンプラEXPO ワールドツアージャパン 2015限定販売 2015年11月 1000円

あえてREVIVEのボックスアートのポーズ・構図そのままに、G3カラーで統一されたパッケージアート

G3ガンダムとシャア専用リック・ドムのルーツを知っている者は幸せである。心豊かであろうから……。

G3ガンダムやシャア専用リック・ドムを、ジョニー・ライデン専用ザクや、ランバ・ラル専用ドムのような、MSVだと思っている人、不正解!
G3ガンダムを「ガンダム後半、ニュータイプに覚醒したアムロ用に、マグネットコーティング仕様で再開発されたが、アムロに届けられないまま終戦を迎えたために、アニメに登場しなかったガンダム」だと思っている人、不正解!
G3ガンダムやシャア専用リック・ドムを、ゲームの『ギレンの野望』等に登場する「キャスバル用ガンダム」なんかと同じ、近年の二次創作的オリジナルユニットだと思っている人、不正解!

HGUC 191 REVIVE版の成型色替えに、セット版G3ガンダム用のシールを貼った、リペイント決定版G3ガンダム!

いや、厳密には上記の括りで受け止めていても問題はないのだけれども、実はG3ガンダムとシャア専用リック・ドムには、明確な出自があって、それはなんらビジネス的なスケベ心とは別個のところに、ガンダムブーム当時を知る者にしか共有できない「入れ込んだファンならでは」の機体であったのだ。

それは、『機動戦士ガンダム』(1979年)放映中の1979年から、全3巻で書かれた、富野由悠季総監督自らの手による、小説版『機動戦士ガンダム』の中に登場したことが始まりだったからである。

小説版2巻より。ロービジ仕様のガンダムで出撃するアムロ!

かねてから富野監督は、アニメ版ガンダムのカラーリングには不服を抱いていた。
いや、そこは玩具CMロボットアニメのプロであるから、不服ではなく商品仕様を認めての妥協なのだろうが、当初富野監督はガンダムを、真っ白なロボットとして登場させたかったという逸話が残っている。
それは、『ガンダム』放映直前期の、自らの『無敵超人ザンボット3』(1977年)「無敵鋼人ダイターン3』(1978年)をはじめ、当時の『ブロッカー軍団IV マシーンブラスター』(1977年)とか『超合体魔術ロボ ギンガイザー』(1977年)とか『UFO戦士ダイアポロン』(1976年)とかの、見ているだけで眩暈がするような、過剰配色の、しかし没個性のロボットまんがの主役ロボット達へのアンチテーゼという意味合いもあったのだろう。

完成したG3ガンダムのバストショット。今回は関節のグレーも残す新解釈で

なので、一応小説版『ガンダム』でも、最初の巻で主役機は「白いモビル・スーツ」として登場するが、当初は全1巻で書かれた小説のために、アムロが乗ったガンダムは、初巻のラストで大破してしまう。
そして改めて一年後。ブームを受けて続巻が求められ、富野氏によって執筆された2巻において、再登場したアムロに与えられた2機目のガンダムに対する小説の描写が「灰色一色に塗られた、宇宙迷彩のロービジカラーのガンダム」という描写であった。

以前の「1/144 ガンダム勢ぞろい」で、全てのガンダムにとらせた「オープニングポーズ」のG3ガンダム!

もちろん、この時点で“G3ガンダム”等という名称はつけられてはいない(小説内で、あくまで略称として「G3(むしろ、“ガンダム”が付かない)」とだけ呼ぶシーンはある)。ただただ、文章でしか描写されていない、灰色のガンダムの活躍が、下手をするとアニメよりもカタルシスがあり、格好が良かった。
当時のガンダムファンであれば、誰もが鮮烈に胸に焼き付けられた存在、それが「灰色のガンダム」であった。

今回の作例では、グレー系のコントラスト以外で残した色は、ガンダムのメインカメラと、ライフルのスコープのイエローだけ

そしてもう1機。
シャア専用リック・ドムもまた、同じように朝日ソノラマ文庫版の『機動戦士ガンダムⅡ』という、小説版の2巻から登場したモビルスーツであり、当時は「シャアがザクの次にゲルググに乗らずに(地上に降りないのでズゴックはさすがに無いと理解して)ドムに乗るのか!」と、ファンの誰もが驚いたという現象が見受けられた。

シャア専用リック・ドム。なぜ武装がジャイアント・バズなのかは、本文参照

G3ガンダム(重ねて言うが、小説発表時にこのネーミングはまだなかった)が先にメジャーになって、シャア専用リック・ドムが近年スポットが当たるようになった差は、「灰色のガンダム」の方は、メカデザイナーの大河原邦男氏や、当時のガンダムモデラー達が興味を持って、元のデザイン画のカラーだけ塗りなおした「G3ガンダム」が(この時初めてその名が付けられた)MSVのブームの中で発表されたからであって、シャア専用リック・ドムの方はその現象がなかったため、一時は歴史の闇に飲み込まれていった。

シャア専用リック・ドムのバストショット

そういう意味では、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムはむしろ、小説版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場したHi-νガンダムやナイチンゲール、小説版『機動戦士Vガンダム』後半の主役機、セカンドVに近い。

ガンプラとしてのポテンシャルは、以前紹介したHGUC ドムと同じ

やがて、家庭用ゲーム機等で、初期のガンダムの世界観等を舞台にしたゲームが作られるようになった時、半ば敬意を込めたオマージュとして、半ばアルアルネタとして、G3ガンダムやシャア専用リック・ドムが、キャスバル専用ガンダムのような「if枠」として、ユニットとして取り入れられるようになり、若いガンダムファンの間で認知度が上がったのだ。

小説版より。シャア専用リック・ドムが、ア・バオア・クーの防衛に着く

その上で、僥倖だったのは(ここはキャスバル専用ガンダムもそうだが)G3ガンダムやシャア専用リック・ドムは、基本的には形状やディテールは、通常のガンダムやリック・ドムとなんら変わることはなく、ぶっちゃけ色を変えるだけでアイデンティティとアリバイが成り立つので、ガンプラやフィギュアの世界ではありがちな「色替え仕様水増し商品枠」における、ガンダムとドムの筆頭として脚光を浴びることになったのが、概ね90年代以降の流れである。

さすがHGUC 191 REVIVE版の成型色替えだけあって、可動範囲は広い

前置きはまだ長くなってしまうんだけど。
実はこのG3ガンダム。
バンダイがたまにやらかしてくれる裏技で、設定当初のカラーリングと、現在の公式カラーリングが変えられて今がある。
まずは、80年代当時、大河原邦男氏のデザインイラストを見てみよう。

80年代当時は、これが「G3ガンダムカラーリングの正解」であった

確かにこれは「灰色のガンダム」としか言えないかっこよさがある。
白とトリコロールカラーで塗られていたアニメのガンダムの、デザイン画をそのままに、そこに複数のグレーと白を配置するだけで、重厚さと兵器としてのリアリズム、小説の内容を象徴するかのような、ヤングアダルト向けのメカニックの雰囲気が見事に調和している。
また、左胸の「G3」と左肩の三本線のマーキングが、当時の風潮だった「リアルマーキング至上主義」とシンプルさとの絶妙な兼ね合いを表現している。

今回は、マーキングシールも含めて80年代版カラーで統一

しかし、今度はこれを商品化するメーカーサイドの視点に立って考えてみよう。
既存のガンダムを、ただのモノクロにしただけで、そこに本当にバリューはあるのか?
小説版『機動戦士ガンダム』はそんなにメジャーなのか?
商品的には、モノクロという特徴はメインにしつつも、バックアップカラーを設置しておいた方が保険が利くのではないか?
さらに言うなれば。
このカラー設定画の配色では、既存のノーマルガンダムの成型システムとの置き換えが「面倒だ」となるのである。
元のガンダムの、青、赤、黄色、それぞれの部分を、それぞれ同じトーンのグレーに置き換えてもらわなければ、G3ガンダムのプラモやフィギュアを商品化する時に、改めて色分けの金型を変えなければいけなくなる。
なのでバンダイは、基本コンセプトを残したまま、配色や色分けを「作り易く売れ易い設定」に「改変」した。
それがこの、「2018年現在のG3ガンダム公式カラーリング設定」である。

これが今現在の「G3ガンダム公式カラーリング」確かに既存の商品の色を変えやすくはしてあるが……

白は薄いグレーに、青は白と同じ色に、黄色は少し濃いグレーに置き換えて、赤に至っては、黒に近いグレーになるパーツと、「なぜかパープル」に変更されている。

ちなみに、前ふんどしのVの字マークと、シールドの星型マークは「連邦軍の紋章」なので、元のガンダムと同じ黄色というロジックで残されている。
確かに、パープルがバックアップカラーとして挿入されたことで立体化した時の情報量も増えて見栄えは良くなっている。
しかし、断じてこれは「灰色のガンダム」ではない。「灰色と紫のガンダム」である。
このデザイン改変を認めてしまえば、富野監督がアニメ初動でしぶしぶ受け入れた「白一色の主役ロボットになるはずだったが、玩具化のために結局トリコロールカラーを取り入れた」ビジネスライクな大衆迎合的改悪と、同じ轍を踏んでしまうことになる。

小説版より。ドズルのビグ・ザムに挑むアムロのG3ガンダム!

だが、企業論理というものは厳しいもので。
今やバンダイのグループ企業となったサンライズは、こちらの「灰色と紫版」カラー設定を公式の物として、MGやRG、ROBOT魂など、バンダイが商品化する時のG3ガンダムは、一部の例外を除き概ねこちらの配色で商品が構成されている。

80年代カラーリングG3ガンダムのバックショット

筆者としては、しかしそのサンライズ公式ルールに従う義務を負わない。
筆者によるシミルボンの『機動戦士ガンダムを読む!』の再現画像は、あくまで筆者のイマジネーションの発露であって、いわゆる「富野由悠季版」以外の何にも隷属する必要はないのだ。
なので、今回はG3ガンダムの1/144キットを2つ紹介するが、どちらも既出のHGUC ガンダムの021と191 REVIVEの成型色替えキットであるが、G3ガンダムに関しては80年代版のカラーリングに塗装し直した。

シールドの星型も白で、手首も白。これが本当のG3ガンダム!

……といっても、元々HGUCは殆どのパーツが色分けされてパーツ分割されているので、赤のパーツでパープルに置き換えられたパーツをはじめ、ベースのグレーだけ活かしながら、手首などは明灰白色、その他のグレーもニュートラルグレーやMSファントムグレーなどで、80年代版設定に沿って塗装し直して組み上げた。
V字マークと星形の黄色はどうすべきか迷ったが、80年代版のカラー設定にはシールドがなく、ふんどしのV字マークは白で塗られているので、シールドの星型も含めてクールホワイトで塗装することにした。

続いて解説するは「シャア専用リック・ドム」である。
上でも書いたように、この機体もまた、小説版『機動戦士ガンダム』が初出で、やはりシャアも、最初の1巻ではシャア専用ザクに乗って登場するのだが、クライマックスにアムロのガンダムに敗れてしまい、この辺りはむしろ、アニメ版だとシャア専用ゲルググの役回りなのだが、なにせ当初は文庫本一冊で、一年間分の全てを凝縮して描かねばならなかったので仕方がないとはいえ、そこでシャア専用ザクは舞台から消え去る。

元のキットのHGUC 059 ドムの出来が素晴らしいので造形的には文句のつけようがない

仕切り直しの第2巻からは、シャアは富野監督がもっともお気に入りだったと思えるドムに乗り、アムロの「灰色のガンダム」と、文庫本2冊分に渡って死闘を繰り広げるのだ。
そうなれば、G3ガンダムがこれほどメジャーになってきて、RX-78 ガンダム関連のプラモやフィギュアが売られれば、必ずカラーバリエーションとしてG3ガンダムも売られるとなれば、往年の小説版のファンであればこそ、そこに「深紅のドム」を並べたくなるというのがガンダム者魂(笑)

シャア専用リック・ドムのバックショット。バーニアやスカートはもちろんリック・ドムのパーツ

しかし、シャア専用リック・ドムの方は、当時からこれといった決定打的なカラーリング公式設定がなく、今でこそちらほらと、ガンプラやフィギュア関係でシャア専用リック・ドムの商品を目にする機会が増えたが、その配色や赤味などは、基本統一がとれてない辺りは、むしろホッとするところ。
もちろん、設定が決まってないからこそ、各商品単位で、成型しやすいようにピンクと深紅を組み合わせたり、赤茶色を使ってみたりするのだが。
こちらの方は、やはり近年のガンダムゲームで、ユニットとして登場するようになってから認知度が上がったようで、そこでゲーム単位、グラフィッカー単位で「シャア専用リック・ドムの配色とは」の解釈が別れるので、今のところ「正解はない」というのが実情だろう。

小説版のラストより。この画像で何のシーンか分かる人は、相当の小説版(しかも朝日ソノラマ版)マニア

これはG3ガンダムにも言えるが、元のデザインと、どこかが違っているわけでもないので(シャア専用といいつつ、諸々のシャア専用リック・ドムには、角が付いてない仕様の商品が多い)、それこそ小説版が欲しければ、普通のガンダムやドムを買ってきて、グレーや赤で、自分で好きなように塗ればいいのだが、そこはそれ、「限定版商法」というものがあるもので。

ダイナミックなポーズが可能な仕様が、シャアに相応しい

あと、シャア専用リック・ドムに関してはもう一つ。
近年、デザインの発祥がどこかは定かではないが、シャア専用、に限らず、リック・ドムを商品化する際、通常のドムと差別化するためのアイテムとして「ビーム・バズーカ」というアイテムが付属することが多くなってきた。
そもそも、この「リック・ドムが持つビーム・バズーカ」なる代物自体が、富野由悠季氏が書いた小説版が元ネタであることを、知らない世代のファンは増えているのだろう。
もっとも、当初の朝日ソノラマ文庫版では、富野氏も相当多忙な中で執筆していたからか、ドムが攻撃をする描写で手にしている武器が、ビーム・バズーカだったり、ビーム・ライフルだったり、交錯している辺りは苦笑するところです(笑)

今、「朝日ソノラマ文庫版」と書いたが、小説版ガンダムはそれが初出であり、そこでのイラスト担当は、アニメ版『ガンダム』にも参加したが、元は東映動画出身の青鉢芳信氏。
「なんでせっかくのガンダムの小説のイラストを、同じソノラマ文庫で『クラッシャージョウ』のイラストも描いた、安彦良和氏に描かせないんだ」は、当時誰もが思ったが、小説版の最初の刊行はガンダムブーム以前であり、安彦氏はそれこそ多忙過ぎて病気で倒れる寸前だったか、倒れてらっしゃったかで、まだ売れるかどうかも分からない「テレビロボット漫画のノベライズ」で、安彦氏を起用できる余裕(いろんな意味で)がなかったのも事実。

小説版では「ビーム・サーベル」だった扱いの、リック・ドムのサーベル

では、青鉢芳信氏のイラストでは悪いかというと。確かにいろいろ、キャラのイラストとかメカニックのラインとかが、安彦的とはまた違ったニュアンスがあったのだが、「そこ」も含めての「小説版『ガンダム』の魅力」であったことは事実。

何が言いたいかというと、青鉢氏のイラストで、劇中のシャア専用リック・ドムがビーム・バズーカを撃つシーンが描かれているんだけれども、そのデザインは、G3ガンダムがガンダムのままだったように、シャア専用リック・ドムがドムのままだったように、通常のドムが携行しているジャイアント・バズそのままだったのである。

小説版をソノラマ文庫で読んだ世代には、バズーカはこのデザインのままで充分!

筆者の世代は、シャア専用リック・ドムのビーム・バズーカと言われれば、普通にジャイアント・バズと同じ物を思い出すし、それはG3ガンダムのカラーリング同様、「公式で一度、“それ”が描かれたのだから、それで当たり前」と刷り込まれたのだ。

ところが、である。
カラーリング的には自由度の高かったシャア専用リック・ドムにおいて、ここでもまた、奇妙な「後付け設定改変」が起きた。
要するに、「実体弾を発射するジャイアント・バズと、ビームを発射するビーム・バズーカが、同じデザインではおかしい」と。
まぁ、先に突っこんでおけば、18m級の人型兵器が使用するマシンガンだのバズーカだのが、人間の兵隊が使う物とディテールまで似せて構造が成り立ってること自体がおかしいので、逆をいえば 20m級の兵器であれば、それこそ戦争における経費削減優先で、外側の装甲こそ同じでも、中身の構造だけごっそり入れ替える、なんて方がリアリズムがあるような気もするのだが……。

シャア専用リック・ドムとセットで入手できる、HGUC 021版ガンダムの成型色替えG3ガンダム

とりあえず、サンライズ、バンダイは、表向きは「一年戦争当時、ジオンはビーム兵器の小型化においては連邦より遅れて劣っていた。なので、モビル・スーツの携行用バズーカであっても、予想を遥かに超えた大きさと武骨さで、急ぎ繕いの感が拭えない、試作型っぽいビーム・バズーカを新たにデザインした方がリアリティがある」という理由で、なんだか角材みたいな、どでかい長方形箱型の、いろいろチューブやメカが露出している、いかにもっぽいイマドキ風のデザインのビーム・バズーカをデザインして公式化したのだ。

小説版の青鉢氏のイラスト的には、こちらの方がプロポーションが合うのかも!?

それだけではなく「試作型のビーム・バズーカを扱えるモビル・スーツはリック・ドムだけだろうし、仮に試作型だったとしても、シャアにだけ与えられたとも考えにくいし、小説版ガンダムでのリック・ドムは、量産型でもビーム・バズーカが標準装備だったし」という、分かるような分からないような理屈で、様々に展開しているモビル・スーツ商品のリック・ドムに、片っ端から「それ」をオプションで付属させるようになったのだ。

『G3ガンダム+シャア専用リック・ドム』セットのG3ガンダム。決して悪くはないのは、元のキットの素養が良いから

要するに、表向きはそれらしい理屈が付いているが、本音のところで言えば、「G3ガンダムのパープル」と同じで、リック・ドムをドムと別個に商品展開するのに、スカートとバーニアの違いだけでは“弱い”、しかし、公式の元祖アニメ版で同じに描かれている以上、それ以上の余計な差別化は出来ない。では、「アニメには映らなかったところで」を公式化してしまえばいい。という商的なロジックで、イマドキの角材ビーム・バズーカが成立しているというのは、結果論的には概ね当たっている。

なので、筆者は今回は、初心に徹して、朝日ソノラマ文庫版と、青鉢芳信氏のイラストに敬愛の念を込めて、あえてキットに付属されていたビーム・バズーカパーツには一切手を付けず、ありがたいことにシャア専用リック・ドムのキットにも残されていたジャイアント・バズのパーツを使って「朝日ソノラマ文庫版、青鉢芳信イラスト版」の小説再現画像を作ることにした。

ここでようやく、このキットの解説に入るのだが(長い前置きだなぁ(笑))。
今回用意したガンプラは2つ。
一つは『G3ガンダム+シャア専用リック・ドムセット』で、HGUCでガンダムとドムが出そろい終わった、2008年に一般発売された物。
この商品は、既発売のHGUC 021 ガンダムと、HGUC 059 ドム/リック・ドムの2つが成型色替えでセットになっているだけという仕様。
ガンダムの方のコア・ファイターは、そのまま中途半端な色分けでパーツが残されているが、シャア専用リック・ドムの方の、「ドム用のパーツ(足裏、スカート、背部バーニア等)」は付属しない。

『G3ガンダム+シャア専用リック・ドム』セットに付属する、ロービジカラーのコア・ファイターのパーツ

成型色以外の、模型としてのポテンシャルは、それぞれ既にこの連載の、以下のページで紹介したとおり。特に付け足す事項もない。


ただ、あえてこのセットのキットを評価するべき点としては、改変後のカラーリングで成型しながらも、元デザインにあった「G3マークと、肩の三本線」を、シールとして付属させていたこと(もっとも筆者は、G3ガンダムは後のHGUC 191 REVIVE版を使ったために、シールもそちらに貼ってしまったが)と、組み立て説明書を兼ねるガイドブックが、近年では珍しいほどに、富野氏の小説版への愛情で溢れた解説が満載だったということ。
あぁバンダイにも、公式設定を越えて、小説版を愛している人もセクトにはいるのだなぁと感心させられたが。
もっとも、G3ガンダムとシャア専用リック・ドムをセットにしている時点で、小説版への敬愛が満載の商品なのは当然で、筆者としては悪い気分はしない。

『G3ガンダム+シャア専用リック・ドム』セットの解説書。読んでいるだけで感動モノのテクストが嬉しい!

一方、シャア専用リック・ドムの方は、ほとんどキットをそのまま組んで、胸と肩のシールも貼っただけの素組だが。
先ほども書いたが、シャア専用リック・ドムの「シャアの赤」の色味は、商品単位で様々な解釈があって面白いのだが、今回のHGUCセットのケースでは、ちょっとメインの「濃い方の赤」が、あまりにも焦げ茶色に偏り過ぎていて、俯瞰してみても、お世辞にも「深紅のドム」には見えないなと思ってみたり。

『G3ガンダム+シャア専用リック・ドム』セット版のG3ガンダムのバックショット

しかし。
そもそも「公式カラー設定のない、シャア専用リック・ドム」だけが欲しいのであれば、通常のHGUC ドムを買ってきて、好きな色に塗ればいいだけである。
むしろ、G3ガンダムの方は、次に書くHGUC 191 REVIVE版を使ってしまうのだから、まるまるこちらのセットの方のG3ガンダムが無駄になってしまう。

『G3ガンダム+シャア専用リック・ドム』セット版のG3ガンダムも、そこそこポージングの幅は悪くない

だが今も書いたように、この商品仕様は、イマドキには珍しいほどに「富野由悠季小説版『ガンダム』への愛情」で構成されている。
筆者は、そこの心意気に敬意を表したいため、あえてこのセットを購入し、あえてこのセットの色味のシャア専用リック・ドムを、そのままに組み立てて再現画像に使用したのである。

そして、再現画像の主役の方のG3ガンダムは、HGUC 191 REVIVE版の成型色替えである、『ガンプラEXPO ワールドツアージャパン 2015限定発売』のG3ガンダムを使用した。

このキットも、近年のガンダム商品の宿命から逃れられず、成型色替えでG3ガンダムとして再生(元々REVIVEだから「再生の再生」?)させられてしまったが、アニメの解像度や情報量に縛られない小説版の再現なので、今回は関節等も商品の成型色のまま、あえて残して(ここはシャア専用リック・ドムも同じ)全身塗装を施している。

今回用意した、2機のG3ガンダムと、シャア専用リック・ドムのそろい踏み。これからもこのカラバリ商品は増えていくのだろう

やはりHGUC 021版よりも、可動範囲も広くスマートなので、小説のイラストを再現するのでも、様々なポーズが自然に決まることはありがたいし格好良い。
こうしてロービジカラーのガンダムを見ていると、小説版とリンクした「あの時代」の、「リアルカラー全盛期」が思い起こされて、趣深いよねぇという。
うん、今回殆どガンプラの話、してないわ(笑)

市川大河公式サイト

関連する投稿


SDガンダム外伝の「黄金神話」のカードが、全種プリズム箔押し仕様の「スペリオルドラゴンエディション」で復活!!

SDガンダム外伝の「黄金神話」のカードが、全種プリズム箔押し仕様の「スペリオルドラゴンエディション」で復活!!

バンダイナムコグループ公式通販サイト「プレミアムバンダイ」にて、「SDガンダム外伝」シリーズより『新SDガンダム外伝 黄金神話 スペリオルドラゴンエディション』が発売されます。


放送開始から40周年!『金曜ロードショー』の初代OP映像がまさかのプラキット化!!

放送開始から40周年!『金曜ロードショー』の初代OP映像がまさかのプラキット化!!

ホビー通販大手の「あみあみ」より、メーカー「スタジオシュウトウ」が展開する『金曜ロードショー プラキット』が現在予約受付中となっています。


「新機動戦記ガンダムW」より、30周年を記念したフィギュア『ヒイロ・ユイ&リリーナ・ピースクラフト』がリペイント再販!!

「新機動戦記ガンダムW」より、30周年を記念したフィギュア『ヒイロ・ユイ&リリーナ・ピースクラフト』がリペイント再販!!

ホビー通販大手の「あみあみ」にて、メーカー「メガハウス」が展開する『アルファオメガ 新機動戦記ガンダムW ヒイロ・ユイ&リリーナ・ピースクラフトセット 30th Anniversary リペイント再販』が発売されます。


「機動戦士ガンダム」より『ジオン公国軍 ノーマルスーツ』がジャージになって登場!!

「機動戦士ガンダム」より『ジオン公国軍 ノーマルスーツ』がジャージになって登場!!

公式キャラクターコスチュームやアパレル・グッズの企画、開発、製造を行うコスパより、『機動戦士ガンダム』新作アパレルが発売されます。


「機動戦士ガンダム」より『地球連邦軍』『ジオン公国軍』ノーマルスーツ兵士の可動フィギュアがブリスターパッケージで登場!!

「機動戦士ガンダム」より『地球連邦軍』『ジオン公国軍』ノーマルスーツ兵士の可動フィギュアがブリスターパッケージで登場!!

ホビー通販大手の「あみあみ」にて、メーカー「メガハウス」が展開するフィギュア『G.M.G. COLLECTION 05 機動戦士ガンダム 地球連邦軍ノーマルスーツ兵士 可動フィギュア』『G.M.G. COLLECTION 06 機動戦士ガンダム ジオン公国軍ノーマルスーツ兵士 可動フィギュア』が現在予約受付中となっています。


最新の投稿


世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

世界が熱狂!葛飾商店街×『キャプテン翼』コラボ「シーズン2」開催!新エリア&限定メニューで街を駆け抜けろ!

葛飾区商店街連合会は、2025年10月10日より『キャプテン翼』とのコラボイベント「シーズン2」を亀有・金町・柴又エリアで開催。キャラクターをイメージした限定メニューやスタンプラリーを展開し、聖地巡礼と地域活性化を促進します。


キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

キン肉マン愛が英語力に!超人たちの名言・名場面で学ぶ『キン肉マン超人英会話』発売

人気アニメ『キン肉マン』の「完璧超人始祖編」の名言・名場面を題材にした英会話学習書『キン肉マン超人英会話』が、2025年11月29日(土)にKADOKAWAより発売されます。超人たちの熱い言葉を通じて、楽しみながら実用的な英語表現をインプットできます。TOEIC満点保持者やプロレスキャスターなど、豪華プロ集団が監修・翻訳を担当した、ファン必携の英語学習本です。


【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

【カウントダウン】あと2日!古舘伊知郎&友近「昭和100年スーパーソングブックショウ」いよいよ開催迫る!豪華ゲスト集結の東京国際フォーラムは「昭和愛」で熱狂へ!

開催直前!TOKYO MX開局30周年記念「昭和100年スーパーソングブックショウ」が10月16日に迫る。古舘伊知郎と友近がMC、豪華ゲストと共に贈る一夜限りの昭和ベストヒットに期待高まる!


ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブを東阪ビルボードで開催!

ギタリスト 鈴木茂が、『鈴木茂「BAND WAGON」発売50周年記念ライブ~Autumn Season~』を11月13日にビルボードライブ大阪、16日にビルボードライブ東京にて開催する。今回は、1975年にリリースされた1stソロアルバム「BAND WAGON」の発売50周年を記念したプレミアム公演となる。


【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

【1965年生まれ】2025年還暦を迎える意外な海外アーティストたち!

2025年(令和7年)は、1965年(昭和40年)生まれの人が還暦を迎える年です。ついに、昭和40年代生まれが還暦を迎える時代になりました。今の60歳は若いとはと言っても、数字だけ見るともうすぐ高齢者。今回は、2025年に還暦を迎える7名の人気海外アーティストをご紹介します。