概要

『対戦ホットギミック コスプレ雀』PS2版パッケージ
Amazon | 対戦ホットギミック コスプレ雀 通常版 | ゲーム
1人プレイは、熱く連打に燃えろ! 生意気な女は、ボタン連打でおしおきだ! 連打するボタンはA~Nのどれでもいいが、 俺はいつも Hボタン だ!
2人プレイは、 漢(オトコ) の戦いだ! 高い役をあがって、プロレス技を炸裂させろ!
…とまあ、そんな感じのゲームです。
真面目に解説
『対戦ホットギミックシリーズ』は二人打ちのオーソドックスな脱衣麻雀ゲームです。相手の点を0以下にするか3回上がると勝利となり、「おしおき」と称してボタン連打であんなことやこんなことができます。対局が進むとともに少しずつ溜まっていく「ジャンパワー」を消費して様々なイカサマも行えます。
豊富な女の子キャラによる華やかな演出が魅力で、一見脱衣麻雀として無難にまとまっているようですが、本作が語り継がれるタイトルとなった真の要因は2人対戦プレイの次元を超越した破壊力によるところが大きいでしょう。
人気成人向け漫画雑誌『COMIC快楽天』とのコラボレーションなど企画面でも話題を呼び、定番の脱衣麻雀タイトルとして90年代から2000年代のゲームセンターを彩りました。
基本システム
ルールは基本的にアリアリですが、タイトルの通り対戦を意識した作りになっており、3人麻雀の「ツモ損」のようなルール(ツモ減り2人分)が取り入れられています。
これによってツモで上がるよりも振り込み(捨て牌でロンすること)の方がダメージが大きくなります(親のハネ満ツモ18000÷3=6000より親の満貫直撃12000の方が痛い)。極力振り込むリスクを避けて直撃による大ダメージを狙う戦法がやや重要になっています。
また、面前ツモとピンフの複合が認められません(関西では面前ツモとピンフの複合を認めず面前ツモ30符とするルールがあり、関西方面拠点のビデオシステム・彩京・日本物産のゲームで用いられる傾向が強い)など、関西に拠点を置いていた彩京らしさを感じさせる部分が見られますね。
プレイヤーをサポートするミニキャラが存在し、対局中はコミカルな動きで様々な画面表示をしてくれます。初代から「雀犬」と名付けられた犬が務めていましたが、『デジタルサーフィン』からはジャンファイターのミニキャラも追加されました。
ゲームモード

『対戦ホットギミック』Windows 初回限定版
警告:アダルトコンテンツ
オーソドックスな1Pモード
すべての問題は麻雀で解決できるってゆうか、麻雀で解決しろ。当たって砕けろ、そんな感じの物語だ。 (公式より)
ステージごとに表示される相手キャラから一人を選び、順番にCPUと対局を行っていく通常の1人プレイモードです。1作目と4作目では腹立たしい女性を麻雀とおしおきで更正、2作目と3作目では異世界からの脱出という目的のストーリーがあります。
少しずつ溜まっていく「ジャンパワー」を消費してイカサマアイテムを購入することができ、対局開始時に使用できます。
対局に勝利するとおしおき(いわゆる脱衣シーン)に移行し、ひたすらボタンを連打して女性キャラにエッチなことができます。相手キャラごとに数種類のおしおきの中から1つを選択する形式ですが、「おしおきしない」という選択肢もあり、隠しキャラの出現条件になっていることもあります。
狂気に満ちた2Pモード
永遠に闘い続ける運命にある、2人の漢の血と汗と涙の物語。とりあえず「お前ら誰?」って感じ。以上。 (公式より)
2台の筐体を連結させて行う普通の2P対戦です(ネット環境以前のゲームですので)。ゲーム開始時に対戦モードを選んでおくと乱入待ち状態で1Pモード開始となり、相手も対戦モードを選ぶと対局が開始されます。イカサマアイテムの使用はできませんが、追い込まれた側は牌塗り替えが可能になる救済措置があります。
おしおきの代わりに実写の「ジャンファイター」たちによる狂気の必殺技演出(後述)が搭載されています。
何でもありのジャンファイターズモード
全国一般公募より厳選されたジャンファイター達が大暴れ! (中略) 謎の要素も満載!もうやるしかない! (公式より)
対戦モードの好評を受けて3作目『デジタルサーフィン』から追加された1人プレイモード。
基本は対戦モードと同じノリですが、一般公募の謎キャラやゲーメスト誌のネタを絡めたフリーダムかつカオスを極めるストーリーが炸裂しています。
4作目では「探偵物語」のパロディである「雀偵物語」になりました。キャラが変わってもフリーダムなストーリー仕立ては相変わらずでした。
ゲーム画面(自主規制)
ゲーム画面(狂気の2Pプレイ)
評価点

『対戦ホットギミック アクセス雀』サウンドトラック
CD 「対戦ホットギミック アクセス雀 サウンドト... - ヤフオク!
多彩な女の子たちによる華やかな演出
それまでの脱衣麻雀によく見られた「あからさまなアニメ絵」や「コテコテの実写」のどちらでもないライトな雰囲気を前面に押し出し、脱衣麻雀を遊ばないプレイヤーにもとっつきやすいビジュアルをアピールすることで、新たな客層の獲得に成功しています(多くの18歳未満の健全な男子をその道に踏み外させてしまった余罪もありますが…)。
特に初代と4作目『フォーエバー』でメインイラスト・キャラクターデザインを手掛けた司淳氏の評価が高いですね。アニメと写実の中間的な画風に加え、陰影の強い独特の塗りで当時非常に人気が高かった司氏の起用は本シリーズのイメージ・方向性を決定付けたと言っても良いでしょう。
氏はこれ以前にも同社の『戦国ブレード』で彩京の作品に携わっており、ゲーセンでは既におなじみのイラストレーターになっていたこともプレイヤーのとっつきやすさに繋がったと言えます。
2作目『快楽天』では成人向けジャンルで発行部数1位を誇る人気コミック誌『COMIC快楽天』とのコラボレーションを敢行。同誌で連載中だった漫画のキャラクターが多数登場する豪華な内容となり、「これを見て涙しない漢はいない!」との売り文句通り画期的な作品として話題をさらいました。
3作目『デジタルサーフィン』では当時急速に普及し始めていたインターネットを題材に取り入れ、ホームページを開設して活躍していたイラストレーター陣を起用。吉崎観音氏や安森然氏、ありかわかときち氏、モグダン氏といったその界隈では有名な絵師らが名を連ねました。
イラストに負けず劣らずキャラクターボイスも豪華で、マスコットのお助けキャラ「雀犬」(及び女の子の一人)を『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけでお馴染みの矢島晶子氏が演じているのをはじめ、こおろぎさとみ氏、松井菜桜子氏、くじら氏といった人気声優陣が惜しげもなく起用されていました。
ゲームの性質上セリフの量はさほど多くなく、ただでさえゲームセンターは雑多に置かれたゲームのサウンドや周囲の喧騒でキャラボイスがかき消えがちな環境なのですが、細部に手を抜いていない姿勢が見て取れますね。
マニアックなシチュエーションの豊富さ
モロに性的なシーンはほとんどありませんが、服に水をかけて胸だけを透けさせたり、体に巻きついているリボンを引っ張って脱がせるなど、フェティシズムをくすぐるマニアックなシチュエーションが多いです。18禁タイトルとはいえ業務用という制限されたプラットフォームの中でできるだけのエロを、という開発陣の工夫でありましょう。
おしおきシーンはボタン連打に連動してアニメーションする要素が加えられています。連打するだけの単純な作業ですが、ただ眺めるだけではなく少しでもプレイヤーをゲームに参加させようというアイデアは評価に値します。
また、胸がこぼれる際の「揺れ」が秀逸で、並ではないこだわりが込められています。おしおきが完了する寸前で止めてキャラの様子を楽しむことなどもでき、好みのシチュエーションをチョイス可能なことと相俟って大変よろしいです。実にけしからんです。
デモ画面に顔が出ているのでバレバレですが、隠しキャラクターによるファンサービスも恒例となっています。ムサ苦しい野郎が紛れ込んでいる(ちゃんとおしおきもできる)のはご愛嬌ですよっ!
評価点というかなんというか
笑撃の実写対戦モード
ここまで読んでくださった方ならすでにお分かりいただけたとは存じますが、本シリーズの真の恐ろしさが詰まっているのは2P対戦モード(及び、対戦と同じテイストで進行する「ジャンファイターズモード」)です。通常、脱衣麻雀の対戦と言えば「勝った側が女の子の脱衣シーンを見られる」というのが普通ですが、このゲームの対戦にはそんな軟派さは微塵もありません。漢と漢の闘いであります。
具体的にはジャンファイターと呼ばれる全身タイツを着た漢二人(実写)が、上がった役に応じた様々なプロレス技(?)をかけ合います。役が低いときは普通の技が中心ですが、高くなるにつれて「ヒザかっくん」や「ちゃぶ台返し」といった妙なものが増え始め、満貫以上にもなると「バズーカ」や「チクビーム」など、もうやりたい放題です。
初代では1P側と2P側の必殺技は基本的に同じものだったのですが、『快楽天』以降はキャラ付けが進んで技の違いが際立つようになり、内容もどんどん狂ったものにエスカレートしていきました。「北〇百烈拳」や「アシュ〇バスター」などのパロディ技も満載されており、『フォーエバー』の頃になると「永井〇氏に申し訳が立たないような技を平気で繰り出す」と公式でコメントされています。
そんなジャンファイターたちの必殺技の花形が、跳萬以上の役で高確率で発動する「辱め固め」シリーズ。背後から相手の両足を掴んでおっぴろげさせつつ、局部を露出させて辱めるという恐ろしい技です(勿論モザイク有)。続編が出るたびに新たな辱め固めのバリエーションが追加されていき、最終的には膨大な数の辱め固めシリーズを生み出すに至ってしまいました。異様にチープな画面構成との相乗効果でシュールなことこの上ありません。
表向きは女の子にあれやこれをするゲームなのに、この変わりようはいったいどういうことなのでしょうか。本当に同じゲームなのかと目を疑います。シューティング界から脱衣麻雀に殴り込みをかけた彩京が一瞬にしてゲーセン野郎の目を引き付けた狂気の産物でした。
なお、ジャンファイターは京都大学プロレス研究会の学生らが演じています(ちなみに彩京の旧社名は「彩アート京都」)。辱め固めは京大プロレス研の伝統技だそうですよ。
1枚の基板で2台の筐体を稼動可能なオペレーターに優しい仕様など、地味な部分でも頑張っていました。
問題点
脱衣麻雀という既に完成され尽くしたジャンルかつ基本部分はごくオーソドックスな作りなので、特に問題点らしい問題点は見当たりません。
強いて言えばツモ上がりが弱いルールになっているため、イカサマアイテム選択や戦法に若干のセオリーと予備知識が必要な程度でしょうか。
その他
『デジタルサーフィン』を除き、隠しキャラはいずれも同社が主力としていたシューティングゲームからのカメオ出演によるファンサービスとなっています。
初代と快楽天では『戦国ブレード』の「富樫こより」、『ガンバード』シリーズの「マリオン」、いろんな作品に顔を出す"風雲はだか侍"「アイン」の3人。フォーエバーでは『戦国ブレード』の「ユーニス」、『ガンバード』の「ヤンニャン」、『ソルディバイド』の「カシュオン」の3人…の「そっくりさん」と言い張っています(本シリーズのキャラは全員名前が微妙に違います。そもそもマリオンとユーニスが本人だったら(未成年的な意味)でヤバイ)。
3作目『デジタルサーフィン』には「ゲーメストとのコラボレーション」という裏コンセプトがあり、愛読者なら必笑もののネタが散々詰め込まれていたのですが、その中でもジャンファイターモード時の「ジャンメスト」には勝利時の大技として「新声社爆破」(当時新声社は新しい自社ビルを建てたばかりでした)という必殺技が仕込まれていました。
……しかし本作の発売からわずか1ヶ月後、新声社はリアルに爆死(経営破綻)し、彩京渾身のネタとともに伝説と化してしまいます。
後にゲーメスト編集部員がエンターブレインに移籍してアルカディアを創刊した際には、彩京は「もう爆破しないよ!」との祝辞を寄せています。ちなみに、当の彩京自身も発売から3年後に消滅(クロスノーツに吸収合併された挙句、翌年ゲーム開発部門が消滅)してしまいました。開発者はのちに彩京(クロスノーツ)が液晶開発を請け負っていた発注元である某遊技機メーカーへと転籍しましたが、その会社も解散の憂き目にあい、現在消息不明。関係した会社を爆破しまくりです。
余談ですが、『快楽天』のジャンファイター(ジャンジャパン&ジャンアメリカ)が着用していた全身タイツはゲーメスト誌上で読者プレゼントに提供されました。
総評

『対戦ホットギミック アクセス雀』サウンドトラック裏
CD 「対戦ホットギミック アクセス雀 サウンドト... - ヤフオク!
バカゲー要素をこれでもかと満載しながら、気軽に遊べてしっかりエロい内容で不動の人気を勝ち取った非常に稀有な作品です。
彩京の創業当初から垣間見えていた「マトモなゲームに変なものをぶち込む」という特有の奇妙なノリ(『ストライカーズ1945』などにも見られますね)の極致にあたるのが本シリーズです。
1Pプレイではこっそりとエロスを堪能し、対戦ではバカバカしい必殺技で盛り上がる二度おいしい作りで好評を博し、90年代後半のゲームセンターの18禁コーナーには必ずと言っていいほど設置されていた人気タイトルとなりました。
イラストは今となっては多少古臭さを感じるかもしれませんが、司淳氏の画風などは時代の流行に左右されにくい味があり、当時プレイしていた人もそうでない人も楽しめる脱衣麻雀の傑作です。
でも脱衣麻雀は18歳になってから! ジャンファイターとの約束だ!
もっとも、本作がゲーム史に名を刻んだ最大の理由はジャンファイターの存在のおかげであり、脱衣の方がおまけと言われればそれまでですが…(笑)。
本稿で記載しております情報は、ゲームカタログ@wikiから引用させていただきました。
出典元はコチラです。
対戦ホットギミック - ゲームカタログ@Wiki ~クソゲーから名作まで~ - アットウィキ