高倉健を一躍大スターにした映画「網走番外地」。実はその前に小高雄二、浅丘ルリ子主演で同名の映画がありました。

高倉健を一躍大スターにした映画「網走番外地」。実はその前に小高雄二、浅丘ルリ子主演で同名の映画がありました。

高倉健といえば「網走番外地」は代名詞のようなもの。大ヒットにつぐ大ヒットで続編が実に17本も制作された程です。映画は実録小説「網走番外地」を原作としていますが、高倉健バージョンよりも先に同名の映画が制作されていたんです。ご存じでしたか?


網走番外地

高倉健を一躍大スターにした映画「網走番外地」。名作とされていますが、その割には見たことがないという人が意外と多いように思いますので、ご紹介したいと思います。

網走番外地は、そもそも三國連太郎が網走刑務所からの囚人脱走計画があったことを知り、自らを主演とした「網走監獄の脱走」という企画を東映に持ち込んだことからはじまっています。

監督:石井輝男
脚本:石井輝男
出演者:高倉健、丹波哲郎、田中邦衛、南原宏治、嵐寛寿郎
音楽:八木正生
撮影:山沢義一

配給:東映
公開:1965年4月18日
上映時間:92分

網走番外地 (東映)

内容は刑務所からの集団脱走物語です。集団脱走というとスティーブ・マックイーン主演で有名な「大脱走」が思い浮かびますが、網走番外地の面白いところは囚人同士が手錠で繋がれたまま脱走するというところです。
尚、監督の石井輝男は「大脱走」ではなく、スタンリー・クレイマー監督の米映画「手錠のまゝの脱獄(1958年)」からインスパイアされて脚本を書いたそうです。

もうひとつの網走番外地

高倉健主演の網走番外地とは別に、小高雄二、浅丘ルリ子主演で網走番外地は既に作られていました。しかも6年も前にです。
実は網走番外地には原作があります。実際に網走刑務所に服役していた伊藤一が出所後に書いた実録小説「網走番外地」がそれです。

小高雄二と浅丘ルリ子主演のものはその原作に忠実に作られています。

1959年(S34)/日活/白黒/93分 
監督・脚本:松尾昭典
原作:伊藤一
脚本:柏木和彦
撮影:永塚一栄
美術:千葉一彦
音楽:真鍋理一郎

出演:小高雄二、浅丘ルリ子、大坂志郎、芦田伸介、小沢昭一、梅野泰靖、清水将夫、近藤宏、浜村純

網走番外地 (日活)

2本の網走番外地は原作が同じと言うだけで、ストーリー、テイスト共に全く異なり小高雄二と浅丘ルリ子主演のものは純愛映画です。

高倉健主演の方は、女っ気は全くありません!まぁ、そこがいいんですけどね。三國連太郎の企画した「網走監獄の脱走」を膨らませ、小説からはタイトルだけを使ったようです。

物語

冬の網走駅で汽車を降ろされた主人公の橘真一を含む囚人たちが、トラックに乗せられ網走刑務所へと護送されるところから物語は始まります。

網走駅に到着し、これから網走刑務所へ護送される橘真一たち

橘は入所後、雑居房に入れられるのですが、そこで伝説となっている殺人鬼“鬼寅”の義兄弟と称する牢名主の依田、新入りの権田と争いごとを起こしてしまい懲罰房に送られます。

懲罰房で橘は、まだ幼かった自分と妹のために母親が犠牲となったという苦い過去を思い出します。
その後やくざとなった橘は人を斬ってしまい、網走刑務所に送られてきたのでした。

橘真一(高倉健)

入所から半年以上が過ぎたある日、橘は妹からの手紙で母親が死の床にあることを知らされ、同情した保護司の妻木は親身になって心配し、仮釈放の手続きを約束してくれます。

一方で、依田、権田たちは脱走を計画しており、橘は巻き込まれそうになります。この脱走計画を橘のために体を張って止めたのは同じ雑居房にいた阿久田でした。
せっかくの仮釈放が台無しになってしまいそうなところを助けてくれた阿久田こそが“鬼寅”だったのです。嵐寛寿郎が阿久田をステキに演じていますよ。

森林伐採を行う橘たち。

しかし翌日、森林伐採の労役に出かけるトラックから依田らは飛び降り無謀ともいえる脱走をはかります。橘も権田と手錠でつながれていたために一緒に飛び出してしまい、脱獄することになってしまいます。

権田と手錠でつながれた橘

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