ミドルエッジ世代が燃えた映画!「プロジェクトA」とは?

プロジェクトA日本版ポスター
それまでのカンフー映画スターから、更にスケールの大きなアクション映画スターへと、ジャッキーが進化を遂げた記念碑的作品、それがこの「プロジェクトA」だ。
「ヤンググマスター」でカンフー映画の集大成を、続く「ドラゴンロード」でカンフーとスポーツの融合による青春映画を世に送り出したジャッキーが、次に選んだプロジェクトとは?

見事に息の合った動きは、今見ても迫力とスピードが違う!
それは更にスケールを増した、歴史アクション大作!凶悪な海賊たちを相手に人質奪還作戦を決行する、海上警察の若きスゴ腕警察官ドラゴンと仲間たち。今までの常識を越える超ド級のスタントやアクションが続々登場する、正にミドルエッジ世代のバイブルと言える作品だった。
その最大の見どころは本作から実現した、ジャッキー、サモ・ハン、ユン・ピョウの3大スター夢の競演!
元々、ジャッキー単体の主演映画の制作に1~2年が掛かる様になってしまい、その間出演映画が途絶えて興行的ロスが発生するのを避けるためもあり、こうして3人のクロスオーバーが実現。以降は、1年に複数の作品が供給可能になって行く。

時計台に追い詰められたジャッキー!
本作に登場する数々の超絶アクションの中でも、最大の見所は今や伝説となっている時計台からの落下スタント!確かに落下する途中に何箇所かクッション的な物を配置してはいるが、最終的に地面に頭部から着地!カットを割らずにそのままカメラが寄って、ジャッキーがセリフを喋るという吹替え一切無しの自殺スタントに、我々ミドルエッジ世代は大いに勇気とヤル気を貰ったのだ!
更にミドルエッジ世代の心を鷲掴みにしたのが、ジャッキー自ら歌う本作の主題歌!
今ではカラオケにも入っている、この名曲の正式タイトルは「東方的威風」!
この後に公開された「ポリス・ストーリー香港国際警察」の主題歌「英雄故事」と並んで、きっと当時レコードを買った方も多かったのでは?
*「プロジェクトA」について更に詳しく知りたい方は、以下のリンクからどうぞ。
プロジェクトA - Wikipedia
マンガ「プロジェクトA」概略

単行本表紙
実は、本作は雑誌による掲載では無く、最初から単行本用に書き下ろされた作品。作者は高橋わたる先生で、当時数々のジャッキーチェンの大百科を出版していた、ケイブン社から発行された。
マンガ「プロジェクトA」内容紹介

マンガ「プロジェクトA」扉絵
ジャッキーだけは写真の模写的にリアルに似せているが、他の出演者はマンガの登場人物用にデフォルメされている。

登場人物紹介だけで2ページ!

サモハンとのシンクロカンフー!
このコミカライズ版「プロジェクトA」、時々決め絵でスチル写真を模写したカットが入るのが特徴。

自転車チェイスも再現!サドルが外れて・・・、の爆笑シーンももちろんあり。

伝説の時計台からの落下シーン。
この部分は映画の中では最大の見せ場なのだが、このコミカライズ版では一コマであっさり終わらせてしまっていて、かなり物足りない印象を受ける。

ラスボスを手榴弾で爆破!

そして映画通りのラストシーン。
いかがでしたか?
雑誌掲載の様に、少ないページ数に映画の内容を凝縮した物では無く、全187ページを使って映画の内容を完全再現している本作。
これだけの長編ながら、映画全体の見せ場を忠実に再現・配置して、ちゃんと映画を見たような気分にさせてくれる本作は、きっと当時の子供たちにとっても嬉しかったに違いない。
実は意外とジャッキー作品のコミカライズ版は少なく、これ以前には「ヤングマスター」のコミカライズ版が、公開当時の東京スポーツに連載されただけ。ちなみに作者は田丸ようすけ先生で、この「プロジェクトA」とは違ってジャッキーがまるで「刑事物語」の時の武田鉄也みたいな体型だったのが印象的だった。自分も当時この「ヤングマスター」読みたさに、毎日東京スポーツを買ってコレクションしていたのだが、残念ながら手元には残っていない・・・。
しかも、こちらは単行本化すらされていないため、今となっては国会図書館で現物を当たるしか見る方法が無いのが残念!
最後に
雑誌掲載では無く、最初から単行本用に書き下ろされた、この「プロジェクトA」コミカライズ版。
そのため、内容的には映画本編を忠実に再現しているだけで、コミカライズ版独自の展開やアレンジが無いのが非常に残念!
やはり、少ないページ数の中でどうやって二時間の映画を収めるか?そのためのアレンジや改変部分こそが、映画のコミカライズ版の魅力であり重要なポイント!そんな基本的なことを再認識させてくれる本作。
その多くが雑誌掲載のみで未単行本化の作品が多い映画のコミカライズ作品群。
だが、こうして単行本化されたことで、今でも我々の目に留まることが出来るのは、作品にとっても実に幸せなことだと言えるだろう。
幸い現在でも古書市場で見かけることが多く、運が良ければブックオフの100円コーナーで発見出来るかも?機会があれば、是非チャレンジしてみて頂きたいと思う。