ミニルーターに、小径丸のこ刃ビットを装着した状態
なんか絵面的に、いきなり猟奇的な代物に早代わり!
昭和のスパイ物やヒーロードラマなどでさんざん見た覚えがある、いわゆる「回転ノコギリ」の、いきなり登場である!
なんか、この回転ノコギリ。こんな手をした怪獣や怪人が、『帰ってきたウルトラマン』(1971年)とか『仮面ライダーV3』(1973年)とかに出ていたような気がするけれど、きっと気のせいだから説明を急ごう!
この状態でミニルーターのスイッチを入れると、一気に勇ましい電動音と共に、回転ノコギリがそのまんま高速で回転し始めて、処刑台に縛られた状態の美女の悲鳴が聞こえてきそうではある。
『機動戦士ガンダムF91』クラッシュした主人公ガンダムのF91
というわけで、今回の特集のために、改めてクラッシュモデルを作るために引き出してきたシチュエーションがこちら。『機動戦士ガンダムF91』(1991年)ラスト近く、最終決戦でボロボロになったガンダムF91の再現ということで。
ここでは分かりやすく、試しに左腕のダメージを再現してみよう。
アニメ画でも分かると思うが、F91はクライマックス、ラスボスの触手で左手首手前をスパッと切られてしまっている。この状態への交換パーツを作ってみる。
本体とは別個に用意した、1/144 HGUC ガンダムF91の左腕
この左腕の手首上を、アニメのダメージどおりにルーターの回転ノコギリで切り刻んでいく。
気分はもう、美女の体を切断する、初代引田天功?
冗談言ってる場合ではなく、ここはやり直しがきかないので、なるべく慎重に、イメージどおりにルーターを操ってパーツをカットしていこう。
想定通りに切断された、F91の左腕パーツ
たったこれだけの工程でも、カットソーや模型用ノコギリ、アートナイフやカッターを使っていては、結構体力も使う上に、奇麗な切断面を作ることは難しい。
しかし、このミニルーター&回転ノコギリビットを使えば、たったの数秒でこの状態になる。
最後は、艶消し黒で塗装をして仕上げ。
1/1441の腕なので、ジャンクパーツを仕込む隙間もないので、切断際を多少ジャンクっぽく処理しただけで艶消し黒の塗装で完成
基本的に、今回紹介するダメージモデル、クラッシュモデルの殆どは、この作業で作られている。なんともまぁ、ルーター様様、中学生のころ、クラッシュモデルを作ろうと、必死にPカッターやニッパーでキットと格闘していた時代に思いを馳せれば、隔世の感があるし、感慨深い。
それでは、ここからは筆者が、シミルボン『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像を作るにあたって制作した、ダメージモデル、クラッシュモデルの数々を紹介していこう。
『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)から。連邦のジムが撃破されるカット
HGUCのジムを、このカットのためだけに上半身を切り刻み、ジャンクパーツを仕込んで黒く塗ります
後は、撮影してフォトショップで爆発や宇宙と合成すれば出来上がり
同じ要領で。
やはり『めぐりあい宇宙編』から、ザクが破壊されるカット
このカットも、また専用のクラッシュザクを一つ作る。
なので、『ガンダムを読む!』再現全体で用意したHGUC ザクの数は、実は3つや5つじゃなかったりする。
完成した再現画像。見事に吹っ飛んでる感が出ている