世間を見渡すと、「恵方巻き」と「節分」の文字が躍っております。
寿司を食べるか豆を食べるか・・・いずれにせよ2月最初のイベントとして「節分」は日本人にとってスタンダードな行事のひとつかと思います。

節分とは何か
『ブリタニカ国際大百科事典』(オンライン版)には
と解説されております。細かく書くと軽く2000文字は超えるので、今回は節分そのものについて書くことはやめて、鬼について。
節分の鬼といえば「虎柄の腰巻に牛の角」
節分の鬼といえば「退治される」存在。頭に思い浮かべるその姿は、おそらく、「虎柄の腰巻に牛の角」という方が多い気がします。
これは陰陽道において鬼が出入りする方角とされる「鬼門」が北東の方角にあたり、十二支では丑寅(うしとら)の方角にあたることに由来するスタイル。丑寅の方角から鬼が来るので、丑→ウシ→牛、寅→トラ→虎の「牛」と「虎」の格好になっちゃった・・・。
そんな丑寅の鬼もいますが、今回は、敢えて沖縄に伝わる鬼退治の話。
沖縄に伝わる「鬼餅(ムーチー)」という習俗
沖縄には「鬼餅」という習俗があります。これは「ムーチー」と読み、名のとおり餅を用います。
大雑把に書きますと、旧暦12月8日に月桃(サンニン)などの葉で包んだ餅を霊前に献じ、またはその餅を縄で編んで天井に吊るすもの。また、餅の煮汁を「鬼は外」と唱えながら門口にかけたりします。ようするに「鬼やらい」というか、こちらでいう節分の鬼退治と似ているとお思いください。
しかし、この鬼餅にはオリジナルの由来がありまして、この由来がユニークです。
鬼餅の由来は沖縄本島の民話にあります。
という感じのお話です。
沖縄の女性、強い・・・!
この鬼を退治した日が旧暦の12月8日なので、その日には家々で鬼神を祭り、鬼餅を食べるようになったそうです(もちろん釘は入っていない)。ちなみに、八重山にも同じような伝説があると、『全国年中行事事典』(東京堂出版)に記されておりました。
さて、この鬼餅(ムーチー)、現在では、沖縄の一般的な餅菓子として愛されております。お土産としても販売されておりますので、沖縄に行かれた際に是非食べてみてはいかがでしょうか★