「コミック・バンド」における大きな流れは、実は二つあった!!

「コミック・バンド」における大きな流れは、実は二つあった!!

私が以前書いた記事に「”元祖コミック・バンド”って言ったら「クレージーキャッツ」でしょう!!」というものがあるが、それを書いて以降に「コミック・バンド」についてもうちょっと調べて見ると、どうも「クレージーキャッツ」だけでは説明できない部分もあるので、読者の方々からご指摘を受ける前にちょっと纏めてみた次第だ。


「コミック・バンド」の中でも「ボーイズ芸」を創始した!!

彼ら「あきれたぼういず」の芸風はアメリカやイギリスのヴォードヴィルの雰囲気を漂わせた、歌や芸は知的水準が高く、スマートで風刺精神にあふれ、知的階層から庶民に至るまで幅広く受け入れられた。取り入れた音楽は、海外からはジャズ、オペラ、ポピュラーミュージック、シャンソン、アルゼンチン・タンゴ、キューバン・ルンバ、日本からは軍歌、謡曲、童謡、浪曲、新内、俗曲、琵琶、歌舞伎、新派演歌等々。さらには弁士、ニュース映画のナレーション、物売りの地口、江戸弁や東北弁、お経、ポパイやベティ・ブープ、ディズニー映画、動物の鳴き声まで。さらにはマルクス兄弟、バスター・キートンなどの喜劇的演技を取り入れた。これらをどん欲に、見事なアンサンブルでミクスチャーされた感覚は、日本芸能史のなかでも唯一無二であり、戦前モダニズム文化のレベルの高さが伺える貴重なグループといえる。このような芸風を「ボーイズ芸」と言う。

「あきれたぼういず」の好敵手が「川田義雄とミルク・ブラザース」!!

人気絶頂だった「あきれたぼういず」に目を付けた新興キネマ演芸部は、1939年、吉本からの引抜を画策する。破格の条件での引き抜きであったにもかかわらず、川田は色々な理由で、移籍ができず、川田を除く3人のメンバーが新興に移籍。「あきれたぼういず」は事実上解散(新興により再結成)となり、川田は新たに実弟の岡村龍雄、頭山光、菅井太郎(後に有木三多と交代)らと新生グループ「川田義雄とミルク・ブラザース」を結成し、引き続き吉本で活躍していく。このミルク・ブラザース時代にレコード化された「地球の上に朝が来る」は川田のテーマソングとして、生涯オープニングテーマとして歌い続けた。1957年6月21日に腎臓結核に尿毒症を併発し、都内の病院で50年の生涯を閉じた。
川田の死後、ダイナ・ブラザースのメンバーであった川田の弟子・灘康次、鹿島密夫(のちの鹿島三津夫)、小島宏之は、それぞれ「灘康次とモダンカンカン」「鹿島密夫とダイナ・ショア」「小島宏之とダイナブラザーズ」とボーイズを結成し、師匠の芸風を継承し、特に灘康次は現在もボーイズ・バラエティ協会会長として活躍しており、時折「あきれたぼういず」のネタを再現している。

私は幼い頃にこの「灘康次とモダンカンカン」の「地球の上に朝が来る」を耳に蛸ができるくらい聞いているので、今でもそのフレーズが口に出てしまう・・・。

玉川カルテット(たまがわカルテット)は浪曲を取り入れたボーイズスタイルの歌謡浪曲グループだ。「♪ 金もいらなきゃ女もいらぬ、あたしゃも少し背が欲しい!!」のギャグが鉄板であった。玉川一門のお家芸である任侠物を得意にする。

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