で、この『ガンプラり歩き旅』シリーズ初回1/144ガンダムの項でも述べたように、解像度がどうであろうと、70年代アニメ的写実論の限界がどうであろうと、ガンダムの手首は濃緑色でなければならないし、武装はミディアムブルーが基本でなければならないし、ガンダムの首は白くならねばならない。
ホワイトベースを守るガンダムが、ビーム・ライフルを撃つ!
今回、冒頭でシャウトしたように、もっと突っ込んでダメ出しを入れれば。
百歩譲って、アニメでは見えていなかった肩関節軸や股関節軸はグレーでも良いかもしれないが、この時代のモビルスーツで、間接ブロックがフレーム状でグレーである表現はおかしいのだ。
まぁ、ここで「おかしいのだ」ってつったところで、イマドキのガンプラ相手に、筆者如きがカスタムでアニメ版にできようものでもなし。
なので、ここはなんとか、塗装で対抗して、色味と色数の情報量を減らして「解像度を下げる」方向で、なんとか旧1/144キット群との画的釣り合いをとるように画策してみた。しかも、全塗装ではなく、部分塗装で!
量産型グフを切り裂くガンダム!
まず、宣言通りに手首をMrカラー16濃緑色で、ビームライフルとバズーカとバックパックをMrカラー72ミディアムブルーで、首元をMrカラーGX1クールホワイトで塗装。
……と、ここで筆者は少し考える。
後のザクもそうだが、『機動戦士ガンダム』放映当時は、彩色の不徹底かフィルムの発色の事情か、ガンダムのブルーやザクの緑やシャアザクのピンクは、シーンやエピソード、下手すればカットごとに違った色味に見えるのである。
特に、ザクの緑は変化が顕著で、エメラルドグリーンに見えるシーンもあれば、イエローグリーンに見えるカットもある。
なので、MG、HGUC辺りから一気に増殖してきた「『ガンダム』のザク」プラモデルでも、同じザク、同じシャアザクでも、キットが違うだけで、ライトグリーンとディープグリーン、ピンクとあずき色の成型色の、色味が全然異なるなんてことは珍しくない。
サーベルを構えて突進するガンダム!
“そういう意味”では、筆者も30年近く腑に落ちなかったことがあるのだが、ことガンダムの胸のブルー。
それは今も書いたように、成型色付キットを買うたびに、ニュアンスが違う青で成型されているのだが、1980年発売のガンプラ第1号のガンダムの塗装指定の頃から、ずっと「インディブルー系」の、濃く明度が低い青が定番になっていた。
しかし、はて。記憶をたどっても、手元にある映像ソフトを何度見返しても、元のテレビ版でも、新作画の『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』(1982年)でも(ちなみに劇場版Ⅲの新作画シーンのザクは、一番グリーンの彩度が高く、青みがかっているのが特徴)、ガンダムの胸のブルーは、むしろスカイブルーなのだ。
しかし、旧1/144キットの塗装指定だけではなく、1990年にカラー成型で発売された1/144HG ガンダムでも、今回のこのHGUC 021 ガンダムでも、相変わらず胸のブルーはインディブルー系なのである。
グフのヒートロッドに縛られて電撃を受けるガンダム
うーん。“これ”は、百式の金色のように、「アニメではそういう色合いかもしれないが、現実の設定ではこういう色だ」と解釈すべきなのか? いや、そもそもそんな概念が、1980年に生まれるもんだろうか?
ひょっとすると、このインディブルーって“首のグレー”と同じで、実は単純に1980年の第1号ガンダムキットの組み立て見本で、色指定をした担当が見間違えただけで、それをただただ、バンダイが20年以上、ミスを認めてないだけなんじゃないの?と思えてくる(後発のZガンダムなんかが、明確にインディブルーで青部分を形成しているので、ますますあやふやになっていってしまった経緯が予測できるのだ)。
量産型ズゴックを一刀両断するガンダム!
その、筆者の印象と困惑が間違っていなかったことを、アニメ評論家の氷川竜介氏が「ウェブアーカイブ 月刊アニメージュ【公式サイト】氷川竜介のアニメ重箱の隅 第6回 セル画の色味が再現された劇場版ガンダムDVD-BOX 2007.011.25」で、こんなことを書き記していたので、心底安心した。
「たとえばガンダムの胸はオリジナルのセルの色味では、よく商品化されている藍色ではなく、抜けるようなスカイブルーなのである」
まさに、我が意を得たり。
だがそうなると、ただの意地なのか、そうする方がベターだと何かの根拠で決め打ちしてしまったのか、バンダイは頑なにガンダムの胸は、インディブルーだと主張し続けてきたことになる。
モビル・アーマーグラブロを相手に水中戦で戦う!
しかし。しかしである。
なんだかんだ言いながら「解像度が上がる」というのは、オールドファンにとって逆風だけというわけでもない。後々に紹介するが、同じガンダムでも、近年のHGUC 191 ガンダムや、1/144 ORIGINガンダム等のブルーは、スカイブルーで成型されるようになったのだ(もっとも、ORIGINガンダムにおいて、当時の「彩色間違い」をそのまんま固定設定にした“黄色いアンテナ”は、さすがにどうなのよと苦笑するが(笑))
かように、バンダイは「ザクのグリーン」だけではなく「ガンダムのブルー」も(微妙なことを言えばホワイトも)、キットの数だけ選択肢があるというメニューを用意するようになったのだ。
ジャブロー内で、ザクを撃ち抜く!
しかし、そうなると複数あるガンダムキットのうち、どれをこの再現画像シリーズの主役に選ぶのであっても、キットの成型色に任せておくと、個々にあまりにも色味が違ってしまい、ただでさえ解像度の差で同じガンダム同士でも違和感が発生しやすいにもかかわらず、ガンダムで一番目立つ青味にギャップがあり過ぎると、見ていただく方々の気分を分断させてしまうことになるが、それは本末転倒である。
ならば、発想を逆転させて、現状のスカイブルー成型色のカラーリングで歴代のキットの青(だけじゃなく、赤と黄色も)を塗装で統一させてしまえば、視覚上の色彩情報量は統一できることになる。
なので、これ以降製作するガンダムに関しては、赤と黄色に関してはキャラクターレッドとキャラクターイエロー、手首に関しては濃緑色、武装に関してはミディアムブルー、白に関してはクールホワイト、そして肝心の青に関しては、ガンダムカラーのUG14 MSライトブルーを、統一フォーマットとして用いることに決めた、今決めた。
オープニングから。コア・ファイターとの合体完了! さぁ出動だ!
その上で。
あくまで解像度を、アニメ版に近い位置まで落とすという目的で。
ガンダム終了後のロボットアニメデザインで、主流になった「関節パーツだけ装甲とは別の色(主にグレー)」の固定概念を一度払拭したいので、今回の一連のHGUC制作に関しては、関節を本体装甲の腕、脚と同じカラーで塗装することにした。
具体的なことを言えば、各四肢関節部は、ガンダムはホワイトで、量産型ザクはライトグリーンで、シャア専用ザクやシャア専用ゲルググはシャアピンクで塗装するのだ。
例外は、元から関節部だけ違う色でアニメの彩色設定が出来上がっていたガンキャノンだけかと思われる。
そうして完成したHGUC ガンダムは、確かに言われてなるほどの大河原体型を誇り、HG MG以降の流れにはない、どっしりとした威風堂々のガンダムぶりである。
そういう意味での完成度は高く、しかし問題は「当時のアニメ版は、大河原体型と安彦体型の、2種類のガンダムが一つの作品の中で同居している」だったりするのではあるが……。
以降、続く。
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