『ガンプラり歩き旅』その26 ~2001年、1/144 ガンダム3度目への旅~

『ガンプラり歩き旅』その26 ~2001年、1/144 ガンダム3度目への旅~

ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、今改めて当時のキットから現代キットまで発売年代順に、メカ単位での紹介をする大好評連載の第26回は、『機動戦士ガンダム』(1979年)主役メカ・ガンダムの2001年バージョンです!


「アムロ、ガンダム。行きます!」

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。

今回紹介するのは、バンダイが2001年に、放映終了後21年を経て発売した、決定版(当時)ともいえる「1/144 ガンダム」、HGUC 021版の紹介です!


ガンダム 1/144 HGUC 021 2001年5月 1000円

テレビ版オープニングの1カットを模したポーズでライフルを構えるガンダムの図!

肩アーマーが五角形のガンダムは、俺の知ってるガンダムじゃない!
あと、正面から見た時に、首元から左右の肩アーマーの上面まで、面一に繋がってないガンダムは、俺が知っているガンダムじゃない!
肩アーマーだけ正面ラインが盛り上がって見えているのは、ガンダムはガンダムでもガンダムMK-Ⅱからだろう!
後、俺の知ってるガンダムは、ビームライフルやバックパックはミディアムブルーで、マニュピレーター(手)は濃緑色一色で、最初のガンダムはモノコック構造なんだから、間接も首も装甲と同じ白色なんだよ!

パッケージのポーズ=オープニングの1ポーズを、そのまま再現した構図がこれだ!

特に関節と首!
例えばROBOT魂Ver.A.N.I.M.Eなどのガンダムは、わざとらしく古参ファンのツボを押そうと、肩を四角にしたり、胸のダクトにカーブ付けたり、拳を濃緑色で、武装をミディアムブルーで塗装して、いかにも「アニメの画面の中のガンダムが飛び出してきました」とアピールしているが、馬鹿にするな!
本当の、テレビ画面の中のガンダムは、首も関節も白色で、挙句にゃシールドの裏は赤茶色で、“それがガンダム”なんだよ! そんな代物は立体化出来ないのは分かってるんだから、「アニメ版でーっす」と、中途半端な代物を売りつけようとするな!

HGUC以降の1/144 ガンダムの中で、一番アニメ版に近いとも言われるHGUC 021 ガンダム!

特に「ガンダムの首が白」これに関しては重要な逸話があって。
なんでも、ガンプラで一番最初に塗装指示書を担当した人が、たまたま資料として手に入れたアニメ抜き焼の写真が、たまたまガンダムの首の部分だけが影になっていて、濃い色で塗られていたのを「ガンダムの首は、“そういう色”なんだ」で勘違いしてしまい、記念すべきガンプラ第一号の1/144ガンダムの塗装指示書に、首をグレーで塗る指示を出してしまったので、それ以降なぜか「ガンダムの首はグレー」で37年間、誰も気付かないままガンプラやフィギュアの歴史が続いてきてしまったのだ!(いや、厳密には「狙い過ぎた商品」の一部には、ちゃんとガンダムの首が白い商品も散見される。後は「完成品フィギュアで、塗装工程を減らしたいので白のまま」というのもあるが(笑))

20年の時を経て、並ぶ新旧1/144 ガンダム。左が栄光の初代1/144 ガンダム

とにかく、90年代のマスターグレード(MG)1/100 ガンダム辺りから「これが『機動戦士ガンダム』(1979年)に登場した、RX-78 ガンダムの新解釈の基礎です」「元のアニメデザイン版は、あくまでアニメ用ですから、仮にガンダムやザクを実在兵器だと仮定するならば、アニメで描く段階で下げられた解像度を、上げた状態で模型にしなければいけません」的な、誰とは言わないけど過渡期があって、腰アーマーの分割まではまだ、あぁ良いアイディアかもしれないと思ってはいたものの、胸の黄色いダクトはいつの間にか出っ張っちゃうし、全身にパネルラインが走りまくっちゃうし、挙句にゃいつの間にかガンダムの肩アーマーは、複合装甲の五角形がスタンダードになっちゃうし(中には七角形の肩アーマーのRX-78 ガンダムのプラモデルもあるんだぜ!? 信じられるか!?)。
ガンダムのビジュアル面での始祖でもある、安彦良和御大が自ら手掛けた『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のアニメ版までも、メカ設定が過渡期のままなので、必然的に「安彦ガンダムなのに、立体化される時は過渡期のまま」になっちゃってるし!

1/144 ガンダムで初めて「シールドを背負いながらも、両手でビームライフルを正面に向けて構えることが出来たガンダム」

そりゃね?
「アニメでメカが描かれる時、実在するバイクや戦闘機でも、ある程度簡略化されて描かれるという構造を逆に考察してみれば、アニメでガンダムがああ描かれているからと言って、アレのままがあの世界に実在するというわけではなく、あのアニメ版ガンダムは、『デビルマン』(1972年)で不動明が乗っていたバイク並みには、簡略化されて描かれているわけで、それを一度、実在のメカニック兵器に置き換えて立体化する」は、正しい手順だと思うのよ? 正論だと思うんですよ!?
さっきも書いた「解像度を高くする」っていう手法だよね?
でも、50年代の白黒映画とかを、カラーライズしたりデジタルリマスターするのとは概念が違うのだから、結局は、その時々のメカニックデザインの流行やトレンドを取り入れた形で、永遠のビジネスを手に入れたバンダイというのは、ガンプラ黎明期とは違った角度で偉大であるなぁと言わざるを得ない。

ここからは少し再現画像を。第1話、初めての戦闘でザクをちぎり飛ばすアムロのガンダム!

アニメのデザインの呪縛から解き放たれて、リファインされるようになったガンダムの目立った共通特徴は「完全モノコック構造だった一年戦争時のモビルスーツが、軒並みフレーム構造のように関節が処理されるようになった」「マニュピレーター(手)が、アニメ版の節付丸指グローブ表現から、首甲プレート(四肢の装甲と同じ色)に関節付きの指(グレー等の関節色)が生えてる、角ばったデザインに変更」「股間と足の関節可動領域を拡大確保するために、アニメデザイン時はただの四角い箱だった腰アーマーを、5枚(もしくは6枚)のプレートがそれぞれ暖簾のように腰を覆う概念に置き換えた」が三大特徴だが、その他にも「胸の黄色いダクトの凸凹解釈」「肩アーマーの形状」等は、近年のガンダムフィギュアが互いを個別認識、差別化主張するためのキーポイントとして、多々混在している要素だったりもする。

永遠のライバルになる、シャアのザクと戦い合う!

ちなみに、今ではガンダム立体化の大前提基本フォーマットになってしまった、腰のアーマーの分割アイディアは、1990年3月発売の「HG 1/144 RX-78 ガンダム」が元祖。ちなみに、このHGガンダムは、1980年発売開始以来ガンプラの歴史の中で、初にして唯一の「完全絶版キット」として認定されている(理由は、「色分けのシステムインジェクションが金型に負荷をかけすぎて金型が壊れた」や「1/144ガンダムのベーシカルな『HGでガンダムのプラモデル』は、HGUC(今回紹介しているコレ)が、改めて役割を担うので、HGガンダムが残るといろいろ混乱と面倒しか招かない」等があると思われる)。
また、“成型色段階で、首がグレー”なのと“肩アーマーが、首の襟元のラインより盛り上がっているシルエット”が、公式のガンプラで導入され始めたのもここから。

ガルマのドップの、翼を切り裂くガンダム!

また、腰アーマーのプレート分割に関しては、HGガンダムの組み立て説明書で、大河原邦男氏が描いたリファインデザインで、そこへのアプローチの片鱗が伺えるが、むしろそれをもっと明確にさせたのが、その組立て説明書でカトキハジメ氏が描いたイラストであり、そのアイディアをガンダムモデラーに鮮烈に刻み込んだのは、カトキ氏デザインでフルスクラッチされた『月刊モデルグラフィックス』1990年7月号に掲載された1/72スケールRX-78-2 ガンダムVer.Kaの作例であっただろう。

ランバ・ラルのグフとの一騎打ち!

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