長寿モデルとなった3代目のライトバン
Toyota Carina Van JP-spec (A60) 1982–84 images
FF方式を採用。途中からGTを追加
1980年代前半は、日本の自動車メーカー各社で前輪駆動にシフトし始めた時代で、トヨタでもFF方式を本格的に採用し始めました。しかし、何事にも慎重なトヨタでは、カリーナとコロナはFFとFRを併売する戦略が採られました。
そのため、4代目は3代目が発売中の1984年5月にデビュー。シャシーはFFコロナと共通とされましたが、丸味のあるデザインのコロナに対し、カリーナでは角張ったデザインを採用して、スポーティな印象に仕上げられました。
ボディ形状は4ドアセダンのみ。当初は1800cc、1600cc、1500cc、2000ccディーゼルのみのラインナップでしたが、1985年8月に直列4気筒1600ccの4A-GELU型エンジンを搭載する1600GTと1600GT-R、直列4気筒2000ccの3S-GELU型エンジンを搭載する2000GT-Rを追加。一方で、FRモデルではセダンのスポーツグレードは廃止され、クーペも生産終了。セダンの一般グレードとサーフ、バンのみ製造が継続されました。
ちなみに、筆者が4代目モデルを初めて見たときは、カリーナがずいぶんと小さくなったと感じたものでしたが、実際は全長が3代目よりも25mmほど長く、ホイールベースも15mm長くなっています。コンパクトで凝縮感があるデザインは、今見てもカッコイイと思いますし、FFの先達であるフォルクスワーゲン・ゴルフあたりのドイツ車の影響も受けたのではないでしょうか。
カリーナ初のFF方式となった4代目
Pictures of Toyota Carina SE (AT150) 1984–86
4代目カリーナのスポーツモデル、2000GT-R
トヨタ・カリーナ - Wikipedia
「足のいいやつ」は1988年に消えたが……
1988年5月に5代目にフルモデルチェンジ。ここで3・4代目ともに、すべて生産終了となりました。一転して丸味のあるデザインとなった5代目では、4ドアセダンとサーフ(ワゴン)、バンをすべてFF方式でラインナップしました。
エンジンは1800cc、1600cc、1500cc、2000ccディーゼルで、直列4気筒1600ccの4A-GE型を搭載する1600GTもラインナップされましたが、「足のいいやつ」のキャッチコピーは使われなくなりました。
一転して丸味のあるデザインになった5代目
Images of Toyota Carina SG Super Road (T170) 1989–90
その後も6代目、7代目とモデルチェンジをし、特に7代目では、6代目で消滅した「GT」が復活したものの、「足のいいやつ」のキャッチコピーは使われませんでした。
しかし、これまでに「カリーナ=足のいいやつ」のイメージは定着。公には1988年には使われなくなったキャッチコピーですが、販売店提供のラジオCMやチラシなどでは使用されていたため、印象に残っている人は多いのではないでしょうか?
6代目では環境性能を重視してリーンバーンエンジンを設定。一方でGTが消滅した。
Toyota Carina (T190) 1992–96 pictures
7代目で4年ぶりの復活となったカリーナGT
Pictures of Toyota Carina (T210) 1996–98
スポーティな印象を根付かせたカリーナですが、実際の販売台数からすると、スポーツグレードの数は大したことはありません。しかし、開発サイドとしては、カリーナがあることでセリカのプラットフォームのコストを償却できたでしょうし、営業サイドとしては、スポーティなイメージでコロナと差別化し、一般グレードであっても勧めやすかったでしょう。カリーナに「足のいいやつ」というイメージを定着できたことは、開発サイド、営業サイドにとって好都合だったことは間違いありません。
カリーナは、後継のアリオンにバトンタッチして消滅してしまいました。しかし、今でも30代後半以上の人であれば、「足のいいやつ」のキャッチコピーは記憶に残っているはずです。業界にいる身としては、そういうコピーを考えた人も素晴らしいし、定着させたカリーナも、また偉大だったと改めて思います。