1997年12月18日に開通、今年で20周年。
東京湾アクアラインは、1997年に開通、今年(2017年)で20周年を迎えます。
この大プロジェクトは、特に千葉県南部側に、大変革をもたらしたのは言うまでもありません。
一直線で東京湾を突っ切り、所要時間わずかに15分。
このわずか15分の旅の途中には、いろいろなトリビアが隠されていました。
水深30メートルの海底に深さ60メートルのトンネル

トリビア 1
東京湾アクアライン マニアックな解説付き - YouTube
ここはトンネルの入り口にあたります。
このあたりの海底は、水深30メートル程度ですが、トンネルの深さは60メートルあるようです。
なぜでしょうか。
予想がつくかもしれませんが、浅い箇所は地盤が軟弱過ぎて、トンネルが掘れなかったためです。
地盤の軟らかさは、「マヨネーズ」並み!
ただのたとえではなく、学術的にも「マヨネーズ層」と呼ばれているようです。
このマヨネーズ層にトンネルを掘ると、軟らかすぎるということの他に、このような問題点が出てくるそうです。
トンネルの構造物より周囲の地盤が軟らかいため、トンネルが「浮かんで」しまう。
例えていうなら、空のペットボトルに蓋をし、お風呂に沈めても浮かびますよね。
それと同じ理屈で、トンネル自体が浮いてしまいます。
それをどうやって海底に設置しているのでしょうか。
トンネルに「重し」その重さは4000トン以上!

トリビア 2
東京湾アクアライン マニアックな解説付き - YouTube
4000トン以上の鉄の塊を運び込み、なんとかトンネルの浮き上がりに対抗しているようです。
このような「トンネルが浮く!」現象は、東京湾アクアラインだけでなく、東北・上越新幹線の上野駅や、総武本線・横須賀線東京駅などでも起こった現象のようです。
トンネルが浮くという現象は、素人には想像もできないことですが、結構あるんですね。
全国第4位の長さのトンネル その長さ9.6キロ!
全国の道路用のトンネルの中で、東京湾アクアラインのトンネルは第4位の長さを誇り、その長さ9.6キロ!
もちろん海底トンネルでは全国1位でしょう。
1位は関越自動車道の関越トンネルでしたが、2位の意外や意外、東京の山手トンネルに2015年に抜かれ、現在は山手トンネルがダントツトップ。その長さ18.2キロ!
3位は東海北陸道の飛騨トンネルで、長さ10.7キロ。
首都高速道路 中央環状品川線(山手トンネル) 開通初日 | ラジエイト
150メートルおきに監視カメラを設置、事故や故障車に備える。

トリビア 3
東京湾アクアライン マニアックな解説付き - YouTube
監視カメラが150メートルおきに設置され、事故や故障者に備えているようです。
トンネル内で車が動けなくなるのは、非常に危険なことのようです。
ニュースなどでも、トンネル内で故障して停車してしまった車にまつわる事故の報道は、結構ありますね。
続いて、橋梁部を見てみましょう。
橋梁部は、アクアブリッジと呼ばれていて、長さ4,384メートル。
堂々の日本一の長さの橋となっています。
橋げたは5本しか存在しない。

トリビア 4
東京湾アクアライン マニアックな解説付き - YouTube
この長さでありながら、橋げたは5本しかないそうです。
最新技術を駆使して、成し遂げたものだと想像できます。
橋げたを少なくすると、つなぎ目が少なくなるので、走っている時の振動を少なくすることができます。
橋の横風対策。
橋自体が横風を受けると、橋が振動し、構造物が痛む可能性があります。
そのために、「TMD」という装置が設置されました。
動吸振器 - Wikipedia
高層ビルなどにもこの装置が使われているようですね。
アクアラインの通行料金は5分の1以下に。
東京湾アクアライン料金800円には条件がある!! | 灯台もと、暮らしいい
アクアラインの開業前の通行料金は、なんと5,050円に設定されていたそうです。開業時には償還期間を延長するなどして若干安いものになりましたが、目の飛び出るような高額な通行料金のため、遠回りでも従来の高速道路を利用する車が多く、通過車両は伸びませんでした。
そのため、2009年から、「社会実験」と称される大幅値下げが行われました。
その値段は、開業当初のなんと5分の1以下の800円!。
ETCの普及による人件費の削減などの要因はあったにせよ、あまりにも採算度外視の料金設定により、通過台数も増えました。
インフラとしての難しい「採算」。
1兆円以上をかけて建設した道路が、800円で通行できるというのは、採算が取れないことを意味します。
実際、通過台数は増えましたが、通行料収入は値下げ前より下がってしまったとのことです。
このように、「アクアライン」単独では収支が大幅な赤字になってしまうことは、よくないことだと思われると思います。
しかも、おそらく多額の税金が投入されたことでしょうし、納税者の理解を得るのも難しい点もあると思います。
将来への「投資」とみる考えもある。
しかし、税金が投入されているからこそできる考え方もあります。
つまり、道路単独では赤字でも、その地域が発展して経済が潤えば、税収が増え、将来的には投入した税金以上の果実が回収できるという考え方です。
通行料が安くなったことにより通過台数が増え、産業が発展、観光客が増えるなどの良い効果が期待できます。
しかし、この考えも、現在のところあまりうまくいっているとは言い難いものがあります。
「東京」と「千葉県南部」との「活気の差」が激しいのです。
そのため、東京から千葉に行く量よりも、逆にヒト、モノが千葉から東京に流出してしまっている可能性もあるということです。
また、道路があまりにも劇的によくなったので、鉄道を利用する人が減り、東京から房総半島に向かう特急電車などはかなり削減されています。
ここで、クルマを運転できないいわゆる「交通弱者」の方に対する、鉄道の利便性の低下という問題も出てきます。
これらは、短期的な観測ではとても測定できるものではありません。
これからまだまだこれらの要素は変化していくと思われますが、せっかく造ったアクアライン、東京、千葉両方に、恵みをもたらしてくれるインフラになってほしいと思います。