2017年8月26日、映画「幼な子われらに生まれ」公開!

映画「幼な子われらに生まれ」
この言葉、誰に向けられたものなのだろう…?
そんな気持ちから触れることとなった「幼な子われらに生まれ」。
この映画は「血のつながらない家族、血のつながった他人ーつまずき、傷つきながらも幸せを紡いでいく大人たちの、アンサンブルムービー」。
ミドルエッジ読者の方の多くは、人生における中盤戦を過ごしていることと思います。この映画には結婚、離婚、再婚、連れ子、大事な人の死と、私たち自身や身の回りで起きる様々なリアルがまるでドキュメンタリーのように描かれます。
仕事と家庭。建前と本音。理性と本能。
人生における”ひだ”とも呼べるかもしれない苦悩や葛藤。上手く噛み合わないもどかしさや形容しがたい遠慮。そんな日常、だけど必死で生きていくことの美しさ。
やがて訪れる、穏やかで暖かい幸せのカタチ。
まるで2時間モノのドキュメンタリーを観たかのような、そんな気持ちで自分自身を顧みつつエンドロールを眺める作品。
原作は重松清氏。そして「まるで初めて映画を撮るように挑んだ映画」と語った三島有紀子監督。
「幼な子われらに生まれ」公開を直前に控えた映画監督としてご活躍の三島有紀子さんに、ミドルエッジ編集部(ミド編)はインタビューの機会をいただきました。

三島有紀子さん
映画『幼な子われらに生まれ』公式サイト
「エンドロールを眺めながら心の中で感じていただきたい」
ミド編)「幼な子われらに生まれ」には実に対照的なオトナたちが登場します。彼らそれぞれに宿る心の葛藤…観る人によって琴線に触れる人物は様々になりそうな印象を受けました。

「幼な子われらに生まれ」出演者の皆さん
ミド編)まるで上質なドキュメンタリーを観たような錯覚に襲われました。
自分の人生を取り巻くいいことや悪いこと、きっと器用にコントロール出来る人なんていない。気が付けば全てをまともに食らいながら、それでも自分らしく生きようともがいている。
そんなことをこの作品を観て改めて感じて共感する。「あ、自分だけじゃないんだ」なんて安堵の気持ちを抱く人もいるかもしれません。
自身の幼少期の情景を思い起こす人も、現在の日常風景をシンクロさせる人も…。
私たちの世代はきっと自分自身で咀嚼をして「まあ明日からも頑張ろうかな」なんて家路につく、そんな作品が「幼な子われらに生まれ」だと思います。
ぜひ一度、劇場に足を運んでいただけたらと感じました。
「いつかは映画の国の住人になりたい!」三島有紀子監督

1969年生まれの三島さん
ミド編)人生の中盤戦を歩む人々に広く共感されそうなこの作品ですが、三島さんご自身は映画に直向に取り組んでいらっしゃる人生です。映画の世界に魅せられた、その原点はどこにあるのでしょう?
ミド編)4歳のときにもう、そのような感覚を抱かれたのですね。私は4歳の頃ですと東映まんが祭りの記憶しかありません(笑
「映画を楽しんでいるときは、全てを忘れて没頭出来る」
日本の映画監督といえば黒澤明、今村昌平、川島雄三、小津安二郎、、、先人たちの築き上げたその道は「やすやすと足を踏み入れられる世界ではない」と思いながらも「好きだからやりたい」想いが募っていったという三島さん。
中学校の卒業アルバムには「映画監督になりたい」と”小さく”書いていたのだそうです。
演劇を作っていた高校時代~自主映画を撮り始めた大学時代
ミド編)映画監督の道に向けて一直線に走り始めたんですね。
映画が撮りたかった三島さんが3年間で作った演劇。
1年次…「検察側の証人」
2年次…「幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬」
3年次…「西部戦線異状なし」
そう、どれも映画を演劇化したのでした。
大学進学後にはいよいよ映画サークルに入って脚本を書き始め、ついに自主映画を撮り始めることとなったのです。
NHK時代の11年で数多くのドキュメンタリーを企画監督~独立後に助監督を経て映画監督デビュー
ミド編)4歳の頃に憧れ、また現在第一線で活躍している映画監督として。三島さんご自身が描く映画監督像は変わりましたか?
映画を観てもらった方に喜んでもらうことはもちろんとても大切。自分自身の仕事ぶりとしては、NHK時代から一貫して、自分がどこまでやれたかを意識的に見つめていたという三島さん。ご自身の作品を振り返って、常に反省ばかりなのだと仰います。

「他人の評価よりも自分がどこまで到達出来たか」
「部屋のひとつひとつの灯りのなかに、小さなドラマがある」
「幼な子われらに生まれ」の舞台となるニュータウン、その撮影中いくつもの部屋の灯りを観ながら、三島さんはそんな気持ちになったそうです。
ご自身も独立後の助監督時代の葛藤など様々なドラマを生きながら、いまはようやく「映画王国」の門が朧げながら見えてきたかもしれないくらいのところかな、いや、そこまでもいけていないのかも、と笑って話して下さいました。
「いつか映画の国の住人になるために」三島さんの映画監督としての道は果てしなく続きます。
映画「幼な子われらに生まれ」2017年8月26日より全国公開です
映画『幼な子われらに生まれ』公式サイト