最初の2階建て新幹線 100系

100系新幹線の2階建て車両
新幹線100系電車 - Wikipedia

100系新幹線
100系新幹線 - 日本の旅・鉄道見聞録
現存唯一の2階建て新幹線「E4系」引退のプレスリリース(JR東日本)
2017年4月4日のJR東日本のプレスリリースでは、現在、唯一2階建て新幹線「E4系」が運行されている上越新幹線の車両を、新型のE7系(1階のみ)に、2020年度末までにすべて置き換える、というプレスリリースです。
E4系が他の新幹線に利用されることはないと思うので、事実上、E4系の引退を表していると考えられます。
E4系の先輩「E1系」

E1系新幹線
上越新幹線(JR東日本) - 日本の旅・鉄道見聞録
東海道・山陽新幹線100系と東北・上越新幹線の2階建て車両の目的の違い
消えゆく「2階建て新幹線」その廃止の理由とは (THE PAGE) - Yahoo!ニュース
東海道・山陽新幹線の100系の2階建て部分は、「1階建て車両より豪華な特別な車両」という位置づけだったようです。
消えゆく「2階建て新幹線」その廃止の理由とは (THE PAGE) - Yahoo!ニュース
E1系は、オール2階建てという、当時としては度肝を抜くような車両でした。

E1系新幹線
新幹線E1系電車 - Wikipedia

Maxの愛称で親しまれた2階建て新幹線
新幹線E1系電車 - Wikipedia
【JR東日本】老朽化を理由に2階建て新幹線「Max」5年後全廃: JRグループ研究情報室
E1系の反省点を克服したE4系
E1系Maxは、大変画期的な車両であったものの、12両編成という、やや中途半端な車両でした。
定員は12両編成で1,235人という性能でした。
このE1系は、お客さんが少ない時でも分割などができない仕組みであり、お客さんが多い時には座席が足りない、という、「帯に短したすきに流し」のような車両だったのですね。
そこで、この問題を克服するために、オール2階建て新幹線第2弾「E4系」は誕生しました。
E4系の最大の特長は、8両編成で作られており、普段は単独で8両で走り、お客さんが多い時には、2つの編成を連結して16両で運行できることです。
E4系を16両編成で運行する時の定員は、1.634人にものぼり、その輸送力は非常に強力なものです。
また、山形新幹線「つばさ」用車両と、福島まで道を共にするときにも、8両という長さは、ちょうどいいものでした。

E4系(8両+8両の16両編成)
E4系新幹線 - 日本の旅・鉄道見聞録
なぜE4系、そして2階建て新幹線を廃止するのか。
E1系、そしてE4系の計画された当時は、東北・上越新幹線においても、沿線に人口が増えており、新幹線通勤・通学の人もそれに合わせて増加していました。
2階建ての大収容力のE4系は、大活躍をしていました。
2つの問題点。
しかし、時代の移り変わりとともに、次第にこの画期的なオール2階建て新幹線は使いづらくなってきました。
1つ目の理由は、東北新幹線が、盛岡よりさらに八戸、新青森そして新函館北斗まで延伸したこと。
これにより、特に東北新幹線では、遠距離である青森や北海道に向けてはさらに高速の出せる電車が必要になってきたことによります。
E4系は、2階建てのため、まず車体の重量が大きくなります。
さらに、2階建てのため、背が高く、風圧が大きくなり、流線型の進化したE5系などの車両に比べて、速度が遅くなってしまう点です。
2つ目の理由は、いわゆる、「住民の都心回帰」あるいは「少子高齢化」により、新幹線通勤・通学する人の数が減ったため、極端な大量輸送をする必要が薄れてきたことです。
背が高く重量が重いE4系の最高速度は240km/h。それに対して、新青森開業に合わせて登場したE5系の最高速度は320km/hになります。
そのため、まず、青森、北海道へ高速で走る必要がある東北新幹線から、E4系は撤退し、距離の短い上越新幹線のみの運用となりました。

現在の東北新幹線の主力車両 E5系
新幹線E5系電車 - Wikipedia
2階建ての宿命
これはE4系だけではなく、在来線でオール2階建て車両である215系などにもいえることですが、座席に座るためには、オール2階建てなので、ドアを入ったら必ず車内の階段を上ったり下りたりする必要があることです。バリアフリーの進んだ現在、ハンディを持つ人にとって「優しくない」点があだとなってしまいました。
また、新幹線では、「車内販売」のワゴンが通路を通りますが、8両なり16両なりの車両1両通るたびに、重いワゴンを持って階段を上り下りしなければいけない点も、問題となりました。
このような理由で、現在の新幹線には、E4系の計画された当時の前提条件が変わってきてしまったため、今回、2階建て新幹線は引退することになった模様です。
後継の車両は、「E7系」

E7系車両
新幹線E7系・W7系電車 - Wikipedia
上のプレスリリースにもあるように、上越新幹線のE4系の後継には、現在北陸新幹線で運行されている「E7系」が務めることになりました。
新幹線の「原点回帰」とも言えるのか、「適度な人数を、快適に、速く運ぶ」という方針なのでしょう。
今回のプレスリリースでは、2020年「までに」E4系をE7系に置き換えます、ということなので、当然、それより早い時期にすべて置き換わってしまうことも考えられます。
東北・上越新幹線の一時代を支えた「オール2階建て新幹線・E4系」に乗るなら、今のうちですね。
【新幹線の変遷】車両一覧 - Middle Edge(ミドルエッジ)
新幹線車両の歴史については、こちらの方がまとめてくださっています。