サマーチューンである『サマージャム'95』だが、同じく夏を感じさせるアーティスト、サザンオールスターズの名曲から歌詞を引用している。
引用の該当楽曲は、1982年に発売されたシングル「夏をあきらめて」。発売は7月21日とこちらも夏ど真ん中で世に放たれたサマーチューンである。ただし、こちらは切ないバラードとなっている。
桑田佳祐が若い頃、歌詞に登場する「Pacific Hotel」という上原謙・加山雄三父子が、神奈川県茅ヶ崎市で経営していたホテルでアルバイトをしており、ホテルでの出来事を題材として取り扱っている。
「夏をあきらめて」が収録されたアルバム「NUDE MAN」(1982 Original Analog LP)
2番の歌詞に、女性とホテルの一室で過ごす様子を語る際に用いられた”熱めのお茶”と”意味シンなシャワー”というフレーズがあり、『サマージャム'95』でも”熱めのお茶””意味深なシャワー”というリリックが用いられている。
『サマージャム'95』の場合は、このリリックの前に、車に”キャワユイギャル乗っけて”ドライブをしており、そこで”サマージャム'95”をBGMに夢を語り、ウットリさせるという描写がある。
そして、”そーなるって事はもーあれだ”と含みを持たせた直後に、前述の引用したリリックが登場する。
つまり、ホテルでの男と女を歌ったシングル「夏をあきらめて」の歌詞を引用することで、ホテルへ直行したい健康成人男性の思惑をムフフと表現しているのだろう。
そう考えると、なんて危険なリリックなんだろう。当時最凶のギャングスタラップだったかも知れない。
『サマージャム'95』の次のシングルは「クライング・ドゥービーマン」!
『サマージャム'95』がシングルカットされる前年に、小沢健二との「今夜はブギーバック」のヒットがあった。『サマージャム'95』は、日本語のユニークなラップが一般に浸透し始めた頃のなんともユルい一曲であり、いまだに愛される名曲である。
ちなみに近年では、鎮座DOPENESS、環ROY、U-zhaannによる同曲のカバーも制作されており、日本語ラップのクラシックのひとつであることを改めて確認することができる。
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