【大学サボって勉強しなかった】お勉強コーナー【資本論】

【大学サボって勉強しなかった】お勉強コーナー【資本論】

私たちが大学の頃って、サークルやアルバイトに明け暮れて、何ひとつ勉強で身についたことってなさそうですよね。そんな不真面目な私は、当時留学生に難しいことを聞かれて恥ずかしい思いをしたことがあります。そんな方のために、一緒にお勉強しましょう。今回は、【資本論】を取り上げます。


お勉強コーナーについて

私たちの世代は、みんな高校までは、いい大学に入ろうと猛勉強して、浪人してまで行きたい大学に入ろうとしました。
大学はパラダイスでした。
楽しいサークルで学生生活を満喫し、アルバイトで必要なお金を稼ぎ、バラ色過ぎて留年、なんてこともありました。
大学は本来「勉強するところ」です。
しかし、実際は、「いかに単位の取れそうな授業を選ぶか」「出席しなくても簡単な試験を受ければ単位がもらえる授業の情報を集めるか」「いかに他人の書いたノートを集めるか」ということばかり考えていました。そんな人、多くないですか?
筆者も、大学で学んだことなど何一つ覚えていません。
また、バイト先で、海外からの留学生から、「商学部ならこれくらいは知っているだろう。このことについてはどう思う?」と聞かれ、恥ずかしい思いをしたことがあります。
今回、自分で、「資本論」を調べてみると意外と面白かったので、ご紹介します。

とりあえず「資本論」は、名前は聞いたことがあるのでは

カール・マルクス

カール・マルクスの著した「資本論」は、中学校の歴史で名前だけは習ったことがほとんどの人はあると思います。
しかし、その内容については、まったく知らない人も多いのではないでしょうか。
筆者もまさにそうでした。
論文ではないので、おおざっぱな記事になりますが、よろしければ読んでみてください。

資本論に書いてあることとは

資本論に書いてあることは、「社会主義」のことだと思っていましたが、実際はその名のとおり、資本主義のことが書いてあります。
「こういうわけで、資本主義はいずれ崩壊するだろう」という予言書のようなものです。

資本主義の欠点をこう指摘している。

マルクスが資本主義の「ここがいけない」と示した欠点はこうです。
「資本家は労働者から限りなく労働力の搾取をする。そのため、労働者は資本家の奴隷のようになり、富がどんどん労働者から資本家に移動し、格差が広がってくる」ということを問題にしています。
この問題点が現代の格差社会とシンクロして、今、資本論があらためて見直されているようです。
「働くのが死ぬほどツライ」と、よく筆者も思うのですが、いわゆる「うつ病的な」人の仕事への愚痴を書くネット掲示板も大盛況です。みんな、「仕事(労働)」=「会社からの搾取」という思考が働いているんでしょうね。どう考えたら仕事が楽しくなるか、資本論はそのヒントもくれています。

資本論を読んで、理想に燃えた人がいた

資本論をよみ、「資本主義は少数の勝ち組と大多数の負け組を作り上げるとんでもないシステムなのか!」という人たちが増え、次第に団結して、ロシアがソ連という「社会主義国家」になりました。
結果的にソ連は崩壊してしまいましたが、ソ連を作った当時は、指導者は「理想の社会を作るんだ!」という信念に燃えていたのです。それでは、なぜ社会主義はうまくいかなかったのでしょうか。

資本論に書いてあること

資本主義がいかに非人間的なものであるかを分析した本

資本論は、カール・マルクスによって150年前に書かれた古典です。
当時はまったく世の中に受け入れられなかった資本論ですが、やがて多くの言語に翻訳されていき、日本語版も累計400万部とも言われているほど販売されています。

資本主義では、「愛情」さえも商品に?

恋愛もお金次第?身も蓋もない話ですが・・・。

資本主義では、ありとあらゆるものが商品になっている、という定義が資本論ではなされています。「カネで買えないものはない」ということですね。
愛情でさえ、商品となっており、金で買えるという理屈も成り立ちます。
「いやいや、愛情はカネでは買えないだろう」と思われる方もいると思いますが、
「では、好きな人なら、どんな貧乏でもいいのか」という問いに答えてみてください。
「働くのが死ぬほどツライ」と、よく筆者も思うのですが、いわゆる「うつ病的な」人の仕事への愚痴を書くネット掲示板も大盛況です。みんな、「仕事(労働)」=「会社からの搾取」という思考が働いているんでしょうね。どう考えたら仕事が楽しくなるか、資本論はそのヒントもくれています。

商品には「価値」がある

商品には、使って役に立つという意味の「使用価値」と、自分にとっていらない商品と相手にとっていらない商品とを交換する「交換価値」があります。
昔は物々交換でしたが、貨幣の誕生により、モノを通さずカネを通して行う経済活動がほぼ全世界に広まりました。
本来は、いらない商品をお金に換え、そのお金で必要な商品を買う、「商品」→「お金」→「商品」という流れでした。
しかし、資本主義では、まず最初に「お金」が必要です。お金を払って商品を買います。
そしてその商品に価値をつけて、仕入れた金額より高いお金で売ることで利益を得る、という活動が主流になりました。
つまり、お金が先、よくお金を「先立つもの」などと言いますが、「お金」→「商品」→「お金」という流れへと資本主義では取引が変化したわけです。

価値をつけるためには、どうすればいい?

では、どうやって価値をつけるのでしょうか。
それは、広い意味での「労働力」を加えることによって、価値をつけます。
「労働力」という言葉ですと、「工場のベルトコンベアで機械を組み立てる作業をする」というイメージがありますが、頭の中で考えたことをカタチにして表現することも、労働に含まれます。

たとえばパソコンソフトを作る人を考えてみましょう。
最初にパソコンを仕入れます。パソコンソフトに必要なのは、パソコンと、頭脳です。
そこに「プログラミング」という労働力を投入し、価値をつけます。
そして造られたソフトウエアを販売することによって、パソコンを買ったお金を回収し、残ったものが利益になります。

つまり、私たちのお給料は、働くことによってあるものに価値を付けて、その価値の分からもらっていることになります。
価値を付けたのは自分なので、会社にはその分け前をあげているわけです。
なので、本来「会社」と「社員」は対等な立場なわけですね。

働くのがツライ人は、心の奥で、「会社がお金をくれるんだから、会社のほうがエライ」と思ってはいないでしょうか。
自分がより大きな価値を付けられるという分野で働いていれば、自然と、「自分のほうが会社に分け前をあげているんだ」という自尊心が育つと思います。
要は、「自分で自分の強みを知る」「自分に与えられた才能を知る」ことが、仕事がツライという悩みを解決する1つの方法なのでしょう。

経済格差の正体とは

ここで気づくかもしれませんが、今問題になっている「経済格差」は、このようなかたちで表現されます。
昔(戦後すぐがイメージしやすいですね)は、みんながお金を持っていなかったので、ある意味平等でした。みんなでベルトコンベアのような同じ仕事をして(当時は工業生産が盛んでしたね)、同じ賃金をもらって、同じ生活をしていました。

しかし現代では、ベルトコンベアの仕事は激減し、一人一人が違う仕事をしています。また、資本主義では、最初にお金を持っている人が、よいものを仕入れられるので、その点でも格差が出てきます。最初から不平等で、さらに労働の質も違うのでその人の持っている能力ごとに、付けられる価値も違ってくるので、自然と不平等になります。

誰にでもできることしかできない人は、希少価値がないので安い賃金しか得られず、そうした多数派の稼いだお金が、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスといったごく一部の天才が造ったものに流れていき、結果、一部の大富豪と大多数の貧民という格差が出来たわけです。

一番大きな理由は、資本主義では、「お金」→「商品」→(+労働力)→「お金」という流れになっているので、最初に持っているお金の面で、すでに格差が発生しているのです。

しかし、現代の資本家は、昔のように労働者を搾取しようとする考えの人は減っているのではないかと思います。そうした資本家は「ブラック企業」とたたかれ、自然消滅していきます。

むしろ、昔に比べて、社会生活に必要なものが変化したということがあげられます。今はパソコンがないと生活できません。スマホも、OSは無料ですが、アプリで課金することによって成り立っています。一部の人が開発したソフトウエアをみんなが使うので、大多数の人のお金が一部のソフトウェア開発者のもとに集まります。

なぜ社会主義はうまくいかなかったのか

一部の資本家が大多数の富を独占するのはおかしい!と、革命家のような人たちが理想に燃え、みんなが平等な社会主義国家が産まれました。
しかし、全体から見れば、社会主義国家はごく一部です。
社会主義国家の国民も、「世界の大多数は資本主義だけど、我が国は本当に社会主義国家でいいの?」という疑問が産まれます。

そのため、次第に社会主義国家の支配層は、国民に資本主義国家の良い面を知らせないようにしよう、社会主義は素晴らしいものだという情報だけ流そう、と、言論統制を始めました。

ロシアであればレーニンの後を継いだスターリン、中国では毛沢東などの「指導者」という人が産まれ、「社会主義革命は素晴らしい理想的なシステムだ。」という、「革命」に焦点が移り、指導者を批判することは、「革命をさせない悪い奴」というレッテルを貼り、次々と取り締まりました。
その結果、自由にものを言えない国家ができてしまいました。

「みんな平等」の弊害

資本主義では、個人主義で、自分が努力して得た利益は、すべて自分のものになります。
しかし、社会主義は、資本家がいないわけなので、国家が雇い主になります。
働いて得た利益も、すべて国家のものになります。
すると、自分のものにならないなら、工夫をしても仕方がない、ということで、人々は最低限の労働しかしなくなります。
その結果、生産性が下がりました。

そのため、「労働者はみんな平等」であるという理想に対して、現実は、「働いても働かなくても給料は同じ」という事態になってしまいました。

この現象は、日本でも起きています。この理想を支持していた日本の「国鉄」は、一方では「生活は国が保障してくれるから、働いても働かなくても同じだから、できるだけ働かない。」という考えが強く、経営側が「働け!働かないと給料を上げないぞ!」と言うと、ストライキをして抗議してきました。その結果大赤字となり、日本の発展に必要な鉄道の計画は次々と中断していきました。そして国民の怒りをかい、政府によって国鉄は民営化されJRとなりました。
国鉄が資本主義的な運営をしていたら、新幹線ももっと早く完成され、日本はもっと発展していたかもしれません。
つまり、「働いても働かなくても給料は同じ」というシステムは、どの国でもいずれ崩壊してしまうものなのでしょう。

社会主義は、資本主義の問題点を解決するどころか、国家を破たんさせてしまうとんでもない政策だったのです。

資本論の問題点とは

資本論は、資本主義の問題点を明確に暴き、それを読んだ人たちを興奮させました。そして読んだ人は理想に燃え、新しい国家まで誕生させました。
しかし、資本論の問題点は、「資本主義は悪い」という理屈は述べていますが、「ではどうすればいいのか」という答えが書いていない、という点でしょう。

そのため、「資本家が富を独占するのが悪い」と書いてあるので、それを読んだ人は「じゃあすべて平等にすればいい」と勝手な解釈をして、国家を作ってしまい、失敗してしまいました。

私たち世代にどうやって資本論を生かすか

私たち世代の大多数はサラリーマンであると思います。
会社で、「働いても働かなくても給料は同じ」と、サボることに重点をおいている人はいないでしょうか。
その考えは、歴史が示すとおり崩壊してしまうと思います。
資本主義では、「付加価値を多く付けた人が富を得る」というのが原点であるので、サボることではなく、いかに自分が高い付加価値を付けられるかに考えの重点を置くべきでしょう。
私たちが資本論から学ぶことは、それだと思います。

資本論をまとめてみて

今回、資本論をまとめてみて、今マスコミをにぎわせている「格差」の問題が、報道されているのとは少し仕組みが違うのではないかと感じました。
伝えられている「労働」のイメージが狭いのではないかと。
自分に与えられた才能を生かして仕事をしている人は、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブスのように、自分らしい豊かな人生を送れるのではないでしょうか。
資本論が書かれた当時のような「資本家のやりたい放題」には、現代では労働者を守る法律もできており、ちょっと仕組みを知れば、搾取される奴隷のような働き方をする必要はないと感じます。
仕事はツライもの、という意識から、仕事は楽しいもの、という意識に変えていきたいものです。

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