絵の背景にある優しい人柄
男鹿さんは背景画に、今まで以上に心配りをするようになりました。
例えば、メイがトトロの住処へ通じる穴を見つけ、トンネルを転げ落ちるシーンです。
ここではそのトンネルの出口に、たくさんの花や雑草が描かれています。
漠然と描かれているのではなく、幼いメイがシナリオの通り地面に転がり落ちても、怪我をしないようにと、意識して柔らかくふわふわした地面になるように描いたのだそうです。
まるで本当の人間の子役の子どもにするような配慮ですね。
そうした優しい配慮は、見ている私たちにも安心感を与えてくれるのだと思います。
穴ぼこから転がり落ちたメイ。となりのトトロのGIF画像 [GIFMAGAZINE]
サツキとメイの家
サツキとメイの家|愛・地球博記念公園(モリコロパーク)
高畑勲監督からのラブコール『おもひでぽろぽろ』
「メイが迷子になって、里山の風景がどんどん夕方になっていく、その積み重ねが素晴らしかった。トトロでの、男鹿さんの仕事の占める比重は大きいなと」
DVD『ジブリの絵職人 男鹿和雄展 トトロの森を描いた人。』ウォルトディズニースタジオ ホームエンターテイメント 高畑勲監督 インタビューより引用
鈴木プロデューサーの言葉を借りれば、「北の人(東北出身の人)と南の人の描く絵は空気が違う。北の人の絵は空気が澄んでいる。高畑さんは空気の澄んだ絵が好き」なのだそうです。
高畑監督からの依頼を受け、次の仕事は『おもひでぽろぽろ』の美術監督になりました。
高畑監督は、宮崎監督とは全く違うやり方で映画を作っていきました。
宮崎監督の下では、監督自身が自分で絵コンテまで描いてイメージを伝えてくるので、背景美術の人はそれを元に背景を起こすやりかたでした。
しかし高畑監督の場合は、自分では全く絵を描きません。そのため何度も話し合いを重ね、ロケハンに出かけ、同じイメージを共有する事から仕事が始まっていきました。
リアリティーあふれる山形の背景美術