映画「ラ・パロマ」娼婦を愛した貴族青年の苦悩と旅立ち

映画「ラ・パロマ」娼婦を愛した貴族青年の苦悩と旅立ち

映画「ラ・パロマ」は青年貴族が娼婦に恋をする、よくある恋愛物語とは少し違う。限りある命と死をもっても終わることのない献身的な愛が描かれている。主人公の青年はラ・パロマに翻弄され苦悩する。しかし閉塞感はない。彼女の死により、彼は何かから解放される。映画の最初と最後に現れる、「想像の力」なのだろうか。


映画「ラ・パロマ」は、スイス・フランスの合作で制作された

「ラ・パロマ」1974年8月28日にフランスで公開された。スイス・フランス合作の長編映画だ。
「ラ・パロマ」とは、スペイン語で鳩の意味。この映画の中では、イングリット・カーフェン演じる、娼館で歌う娼婦のヴィオラのことである。

映画「ラ・パロマ」の監督は、スイスのダニエル・シュミット。脚本を書いたり、オペラの演出を手掛けている。
2014年に 東京のオーディトリウム渋谷で「ダニエル・シュミット映画祭」が開催された。
現実と想像の間を感じる映像、映画「ラ・パロマ」では主人公の盲目的な偏愛がテーマになっている。

映画「ラ・パロマ」は、貴族のイシドール(俳優はペーター・カーン)と娼館の歌姫、娼婦ヴィオラ(ラ・パロマ)物語である。
青年貴族と高級娼婦との恋を描いた、フランスの作家、アレクサンドル・デュマ・フィス「椿姫」が思い浮かぶ。
日本では1977年に放送された、テレビドラマ『炎の中の女・椿姫より』が同様のストーリーだ。浅丘ルリ子と相手役の青年を演じた 谷隼人を思い出す。

ラ・パロマがいる娼館の風景

映画のはじまりの舞台は、娼館。
ステージでは、歌手が歌い、支配人のマダムが登場。
客たちはショーを見たり、賭けをして楽しんでいる。

そして、客席にいる一人の男が映し出される。

主人公の青年貴族のイシドール(俳優はペーター・カーン)の登場だ。
彼は、娼館のステージの演目をじっと見つめている。

娼館の場内にカジノがあり、賭けが行われている。
しかしそれがどこなのか、幻想なのかわからない、どこかで賭けは行われている。

ドミノの隣に積まれた賭け金と、指輪をとり掛け金として差し出す女。

最後の札を開けるとき、ピストルの引き金に手をかける男。

頭に銃を突き付けられた男。そして、銃声が聞こえる。

男は、左手は賭け金の山をにぎり、右手にピストルをもったまま、テーブルに頭を伏したまま動かない。

男の手から掛け金を抜く女。その表情は、何もなったようだ。

ステージでは、女性歌手が「上海」を歌っている。

この歌手が、ヴィオラ(ラ・パロマ)だ。

ここで初めて、この映画の重要人物ヴィオラ(ラ・パロマ)が登場する。
娼館の歌手、ヴィオラ(ラ・パロマ)が、『上海』を歌う。
演じているのは、イングリット・カーフェン。

「想像の力」の男

ラ・パロマ(ヴィオラ)のステージの後の演目は、「想像の力 」(la force de l'imagination)。
「想像の力の男」が登場し、バックではオペラのアリア聞こえる。

「想像の男」はステージが終わると客席に来て、イシドールの肩に手を置く。

何かの始まりを予感させるシーンだ。

ラ・パロマ(ヴィオラ)

イシドールは、黄色いバラの花束を手に楽屋のラ・パロマ(ヴィオラ)を訪ねる。

付き人の女性が、イシドールを追い返そうとする。
酒浸りの歌手、ラ・パロマ(ヴィオラ)は、タバコを吸い終わると、今日も酒を飲み続ける。
そして、酔いつぶれていく。

黄色いバラの意味

黄色いバラの花言葉は、嫉妬、友情、献身など、報われることのない一方的な愛の予感がする。

同じ黄色でも、黄色いリボンや高倉健さん主演の映画『幸せの黄色いハンカチ』の感動のラストシーンとは違うストーリーのプロローグだ。

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