謹慎処分中の松田優作vs本物の不良・クールス舘ひろし
映画『暴力教室』は後に「遊戯シリーズ」などで活躍していくことになるアクションスター・松田優作の原点的作品である。
共演者には、バイクチームでありロックバンドでもある「本物の不良」のクールスメンバーがズラリと並ぶ。
映画公開の前年には、矢沢永吉率いる「キャロル」の解散コンサートで親衛隊を務めるなど、名実ともにクールスの活躍が目立ってきた時期であった。
特にボスと呼ばれる舘ひろしと松田の劇中何度も行われる殴り合いのシーンは壮絶だった。

タイトルバック

主演の体育教師を松田優作が演じた!

単車を”転がす”舘ひろしら、クールスの面々

映画 『暴力教室』
また、主演を務めた松田は、前年のドラマ『俺たちの勲章』での九州ロケで事件を起こしていた。
ロケ先の撮影現場で、予備校生への暴力事件を起こし、逮捕され謹慎処分を受けていたのである。
この作品はその謹慎中の松田と、硬派・クールスとが「はみだし教師役と不良生徒役」という設定で対決するという触れ込みで売り出していた。
ちなみにサブリーダーの岩城滉一は出演していない。(併映の「暴走の季節」に主演している。)

舘ひろし率いる「クールス」
作品データ
監督 岡本明久
脚本 奥山貞行、岡本明久、神波史男、福湯通夫、
公開 1976年
配給 東映
時間 85分
出演 松田優作、舘ひろし、室田日出男、佐藤蛾次郎、山本由香利、安西マリア、丹波哲郎、小林稔侍など

映画 『暴力教室』
暴力全開の内容!あらすじをご紹介!
一流大学への受験合格率の高さを誇る私立高校に、一人の新進教師・溝口(松田優作)が転任して来た。
その足で校長の難波(名和宏)や、理事長の石黒(安部徹)に挨拶を済ませる。
その後、彼を待ち受けていたのは、優秀な生徒たちではなく、喜多条(舘ひろし)をリーダーとする学園の管理体制に激しく牙をむく落ちこぼれの非行少年の一群だった。溝口は学園側が手を焼く不良を更生させる為に招聘されたのだった。
教室での溝口の自己紹介の際に、ナイフを投げつけられるという洗礼を受けるが、溝口は投げつけられたナイフを逆に喜多条に向かって投げ返し、タフガイさを印象付ける。

溝口(松田優作)は自己紹介すらさせてもらえない!
暴力教室とは - goo Wikipedia (ウィキペディア)

何かにつけて溝口に反抗心を露わにする喜多条(舘ひろし)

荒くれの不良ども!バイクの違反行為や盗みを日常的に繰り返す!
校長はもみ消しをはかる為に屈強な溝口を利用する。
溝口はメンバーの暴力を受けながらも写真のネガを取り返すことに成功する。
このとき溝口はメンバーの一人の顔面を反射的に殴ってしまうが、あまりの鋭いパンチに疑問を持った喜多条は溝口の過去を調べる。溝口は元プロボクサーであったが、リング上で相手ボクサーを死なせてしまい、リングを去っていたのだ。
その後、喜多条はさらに反抗的になっていく。
喜多条は、溝口の妹・淳子(山本由香利)を犯す。
逆上した溝口は翌日学園で多くの生徒や教師が見守る中、喜多条に鉄拳制裁を浴びせる。1対1の対決を望んだ喜多条は仲間の介入を拒否するが、自らが不利と見るや愛用のナイフを取り出し溝口に切りかかる。ここで校長・難波が警察に連絡。溝口は自宅謹慎となり、喜多条は退学となる。

タイマンでボクサーの溝口の鉄拳に必死で喰らいつく喜多条
不良群の勢力が一時衰退した時をねらって学園側は、生徒会長・新田を筆頭とする体育会グループに対して、校内の風紀を改善する役目を与える。特別高等警察のような親衛隊組織が結成され、悪さをするグループに対し、片っ端から木刀で制裁を加えていく。
この対立構造で校内の正常化が図られつつあったが、この過程で学園の汚職が発覚し、花房悦子(安西マリア)が汚職追及に立ち上がる。
しかし、他の教師陣は自らの保身を第一に考え、非協力的だった。
校長は花房が不正を訴えるビラを刷るなどの行動を行っていることを知り、彼女を封じる為、新田らを利用する。
汚職追及の協力を求める為に溝口家を訪問した花房。「頼りになるのはもうあなただけ」と協力を依頼するが、溝口は日本酒をあおるばかりで取りつく島もない。

二人の激しい喧嘩が売りでもあった!
事件はその帰り際に起こる。
正体不明の覆面の集団が花房を尾行し、草むらに押し倒し、暴行する。
彼らはグループのトレードマークであるヘビのイラストがプリントされたジャンパーを着ていた。
その場からなんとか逃げ出した溝口の妹・淳子は途中、トラックに轢かれ、重体となる。
病院に運ばれた淳子を見守る溝口は喜多条らの仕業と勘違いし、病室に現れた喜多条を激しく殴打する。何も言わずに殴られ続ける喜多条だった。その直後、淳子は息を引き取る。
その後、溝口は学園側の罠だと知る。また、喜多条も新田の手下を拷問し、自白から事件のカラクリに気付く。そして、学園への怒りに震える。

自宅のベッドでナイフをいじる喜多条

ラストシーン