フォードプローブってどんな車?

フォードプローブは1988年から1997年の10年間にわたって販売された、日米共同開発のスペシャリティ・カーです。
当初はマスタングを日米共同開発で行おうとしていたことろ、諸般の事情でうまくいかず、プローブという新車種が誕生する運びになったようです。
リラクタブル・ヘッドライトの3ドアハッチバック・クーペで、アメリカ車にしてはさほど大きくなく、日本の道路事情でも扱いやすいサイズの車でした。
初代プローブ

初代プローブは1988年から1992年まで販売されました。フォードとマツダが共同開発して作った、FF仕様のハッチバック型スペシャリティ・クーペです。
シャーシなどのベース部分は、マツダ・カペラC2と共通しています。いわばカペラC2と初代プローブは姉妹車の関係になります。

欧米では2,200ccのNAとターボ、3,000ccのNAの3種類が販売されましたが、日本で正規販売されたのは、2,200ccの2種類のみです。
スペック的にはパワーはさほど大きくないのですが、車体の軽さも影響しているのか、非常に加速が良く、軽快な走りを楽しめる車になっています。
アメリカでは発売1ヶ月で10万台を受注するという、ヒット作となりました。
初代プローブのスペック
LX 2,860,000円
型式 E-1ZVT
全長×全幅×全高 4,520×1,725×1,315mm
エンジン型式 F2
最高出力 110ps/4,700rpm
最大トルク 17.9kg・m/3,000rpm
種類 水冷直列4気筒OHC12バルブ
総排気量 2,184cc
車両重量 1,280kg
燃費:10モード/10・15モード 8.0km/L
1988年9月カタログより

GT 3,230,000円
型式 E-1ZVT
全長×全幅×全高 4,520×1,740×1,315mm
エンジン型式 F2
最高出力 145ps/4,300rpm
最大トルク 26.2kg・m/3,500rpm
種類 水冷直列4気筒OHC12バルブICターボ総排気量 2,184cc
車両重量 1,320kg
燃費:10モード/10・15モード 9.4km/L
1988年9月カタログより
2代目プローブ

2代目プローブは1992年発売になりました。先代よりも少しボディサイズが大きくなり、より曲線を強調した優美なデザインになりました。
サイドのピラーがより細くなり、運転席の視界が非常に良くなったのも印象的です。シートも人間工学に基づき、長時間のドライブでも疲れにくいデザインになっています。
エンジンは直列4気筒からV6に変更され、相変わらずの加速の良さに加え、スムースな走りを実現させています。
マツダMX-6と多くの部分を共有する姉妹車となっています。

2代目プローブのスペック
GT 2,690,000円
型式 E-1ZVTB
全長×全幅×全高 4,560×1,785×1,305mm
エンジン型式 KL
最高出力 165ps/5,600rpm
最大トルク 22.1kg・m/4,800rpm
種類 水冷V型6気筒DOHC24バルブ
総排気量 2,496cc
車両重量 1,320kg
燃費:10モード/10・15モード 9.5km/L
1994年6月カタログより
プローブのライバル車たち
80年代後半から90年代初頭にかけては、バブル景気の到来もあって、華やかで活気ある時代でした。車の流行もリッチな4ドアサルーンや、スタイリッシュでスポーティーなスペシャリティ・カーが持て囃された頃です。
そんな時代に登場したプローブですが、当時の日本市場には強力で魅力的なライバル車たちがいました。ここでは少し、80年代後半に輝いていた、ライバルのスペシャリティ・カーとのスペックを比較してみましょう。
トヨタ・ソアラ

1981年から販売されているトヨタの2ドアスペシャリティ・クーペ。1986年発売の2代目ソアラは大ヒット車になった、バブルの申し子的存在です。
2.0GTツインターボ 2,990,000円
型式 E-GZ20
全長×全幅×全高 4,675×1,695×1,345mm
エンジン型式 1G-GTEU
最高出力 210ps/6,200rpm
最大トルク 28.0kg・m/3,800rpm
種類 直列6気筒DOHC24バルブICツインターボ
総排気量 1,988cc
車両重量 1,440kg
燃費:10モード/10・15モード 8.3km/L
1989年4月カタログより
日産レパード

1980年から1992年にかけて販売された2ドアクーペ。92年以降は4ドアセダンになってしまいます。2代目レパードはドラマ「あぶない刑事」に使用され人気になりましたね。
XS V20ツインターボ 3,067,000円
型式 E-GF31
全長×全幅×全高 4,695×1,690×1,370mm
エンジン型式 VG20DET
最高出力 210ps/6,800rpm
最大トルク 27.0kg・m/3,600rpm
種類 水冷V型6気筒DOHC24バルブICターボ
総排気量 1,998cc
車両重量 1,440kg
燃費:10モード/10・15モード 8.2km/L
1988年8月カタログより
ホンダ・プレリュード

1978年から2001年まで販売されていた2ドアクーペ。特に1987年発売の3代目プレリュードは、当時の若者のデートカーとして一世を風靡しました。
Si TCV 2,300,000円
型式 E-BA5
全長×全幅×全高 4,520×1,695×1,295mm
エンジン型式 B20A
最高出力 140ps/6,000rpm
最大トルク 18.0kg・m/4,500rpm
種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量 1,958cc
車両重量 1,180kg
燃費:10モード/10・15モード 10.4km/L
1989年12月カタログより
ソアラとレパードは、ツインターボがつくとかなり高スペックでスポーティーなのがわかりますね。
ソアラ、レパードは少し大人のスペシャリティ・カー、プレリュードやシルビア、セリカなどは若者のスペシャリティ・カーといった感じでしたね。
プローブはちょうど中間といったところでしょうか。
華やかなりし頃は遠く・・・

パーソナルにドライブを楽しむという、スペシャリティ・カーの概念が下火になってしまった現在、プローブはおろか他のスペシャリティ・カーをも目にする機会は激減してしまっています。
そのうえ、フォード自体が日本から撤退してしまった以上、これからみなさんがプローブに乗る機会は限りなく少ないとは思います。初代、2代目と乗り継いできた、プローブ乗りの筆者としては、個人的に淋しいかぎりです。
でも、もしも万一そのような事があった時には、キビキビとして優雅なプローブの走りをぜひ楽しんでみてください。